見出し画像

心霊抹殺Radiate

心霊抹殺Radiateラディエート

人間の恨みvs霊の恨み、どちらが勝つか実験だよ実験!


旅路と共に

 甲板の上で遠い景色である目的の島へ向かう。
人それぞれに目的があると建前があるものの、大体の人間は他人の目的を聞きたがる。

  遥伐ユウセイはこの船旅で質問されれば、口には出さないものの「こいつら暇だな。」と返事の際、感情を込めて

「企画です。」

 と答えておく。
今は様々な趣味を持つ人間が活発になっているから仕方がない。
他ならぬ遥伐もクリエイター活動の企画
と復讐代行業としての仕事を請け負っていた。

 クリエイターなんて今時遅れてる。
自分の中学、高校時代にSNSを利用してなんの役にも立たない肩書きを利用して頭の弱い人間から金を巻き上げている性根の腐った歳上連中を見させられてから遥伐はうんざりしていた。

 飽きられた今、その連中がどうなっているかなんて遥伐にとってはどうでもいいことだ。
もう同業者である他代行業の連中があらかた始末したあとかもしれない。
人間相手ならさほど難易度は高くはない。

 だが、今回の島にいる討伐対象はとっくに廃れたと思った「シンレイ」達だった。

 分かりやすく今回の遥伐が請け負った仕事の内容を説明しよう。

クリエイターとしての企画は

島の観光と名物である心霊スポットの紹介。

復讐代行業としての仕事は

シンレイの抹殺。

 遥伐は人の持つ二面性を専門学校時代、演技を学んでいたのである程度はできる。
クリエイターになったのも専門学校時代の友人を手伝ったからだ。

 なら復讐代行業は?
その説明は省かせてもらう。
遥伐がこちらに所属している理由は
「人間の負」を研究する、とだけ伝えておく。
しかし、多様化しているのは何も人間だけではない。

 シンレイは一切が謎に包まれた討伐対象だ。
島にいる人間が振り回されているタチが悪く、図鑑や博物館にも記録されていない生命体。

浮遊している。
憑依する。
恨みがある。

 と浸透しすぎて四十年くらい既存の設定を使い回された存在達だが、どうやらこちらは大方フィクションに近い連中らしい。

 依頼人が情報を盛っている可能性はあるが遥伐にとって、それは何も関係はない。

 陽と陰。
光あるところに影がある。

 島にある光の側面をクリエイターとして収益にあて、その裏に眠る怨恨や闇を祓う。
古き良きヒーロー達が昔からやっている憧れるが誰もやりたくはないリスクを遥伐が引き受ける。

 海水で痛まないようにカバーした愛読書を読み終えた時には島に着いていた。

 案内された場所では盛られていたと考えていた情報通りのシンレイ達が暴れていた。

「ノールールで人外相手を殴れるのなら好都合だ。」

 偶然なのか計算か…島の光を発信する前に汚れ仕事を片付ける必要がある。

「ここからの役割は喜んで引き受けますので、皆さんは避難してください。」

 依頼者にそう伝えて、シンレイ退治と洒落込む。

「好きに暴れられて、頭が悪いねえ。
もしお前達が死後の俺達であるのなら生者にとって覆したい現実だ。
大人しく召されてろ。」

 オカルトは役にたちゃしない。
それでも一通りの装備はしてきた。
後は自分自身を信じればいい。

 せめてある程度だけ強くあってくれと遥伐は願うのだった。
歯応えさえあれば対策は可能。
後の仕事が楽になる。

 こうして遥伐はシンレイ達と戦うのだった。
遥伐は内心、『生前の恨みなんて本当は言い訳だろう?それがないと成立しない話があるから。』と馬鹿にしていた。
何故なら生きている人間が貴重な青春時代を奪われ、成人せざるを得なかった恨みの方が強いからなあ!

 遥伐は思っていたよりも人間的なシンレイ達の暴れ方に安堵し、心置きなくシンレイ達を殴り続けたのだった。

島の方々には、お見せできない姿で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?