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平和を願う心をこめて――沖縄戦を描いた絵本『なきむしせいとく』第54回「講談社絵本賞」受賞


『じごくのそうべえ』などで知られる絵本作家の田島征彦さんが、40年以上沖縄に通いつづけ沖縄戦を描いた『なきむしせいとく 沖縄戦にまきまれた少年の物語』


2022年に刊行された『なきむしせいとく』は、第54回「講談社絵本賞」を受賞しました。この賞は、絵本において新分野を開拓し質的向上に寄与した優秀な作品に対して贈られる賞です。

先日、赤坂プリンスクラシックハウスにて「講談社絵本賞」贈呈式が行われました。


田島征彦さん


『なきむしせいとく』は40年以上にわたり沖縄で取材を重ねた田島さんが、その集大成として少年の視点から沖縄戦を描いた作品です。

贈呈式では、選考委員である絵本作家の長谷川義史さんが、選評を話しました。
「1年間に刊行される新刊絵本から1冊を選ぶことはとても難しいけれど、ぼくは圧倒的に『なきむしせいとく』がふさわしいと思いました。
実際には沖縄戦を経験されていない田島さんが、何十年もかけて現地の方と心を通じあわせ、子どもたち、大人たちにむけて、強い信念をもってつくったすばらしい作品」と本作を評しました。


田島征彦さん

つづいての受賞者挨拶で田島さんは、「こんなにつらい絵本制作ははじめてだった」と語りました。

戦時中、大阪の堺で少年時代を過ごした田島さんが、もし沖縄にいたらどうなっていただろうか、と、せいとく少年になって沖縄戦を「体験」していく困難な作業の中で、時には大声で叫びながら絵を描いていったといいます。

挨拶の最後、田島さんは「『なきむしせいとく』は決して過去の絵本ではない。」と、沖縄を取り巻く現状について、子どもたちの未来について、強い危機感を語りました。

その後の祝賀会では、選考委員の方々からのスピーチや、全国訪問おはなし隊の方によるよみきかせも行われました。

田島征彦さんが『なきむしせいとく』にこめた「平和を願う心」を分かちあうひとときとなりました。

刊行時の田島征彦さんのインタビューはこちら

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