やさしさに包まれたなら

ついこの間、つらいことがあったので仲のいい友人とその彼女に愚痴るついでに飲みについてきてもらいました。店で飲んだ後もその友人宅にお邪魔し、愚痴って騒いで夜深くまでその日は楽しまさせてもらいました。結局その日はそのまま泊まりました。朝起きてふといい匂いがするなと思っていると、友人の彼女が朝ごはんを作ってくれたと言います。何を作ってくれたのだろうかと楽しみにしていると、なんと切り干し大根の煮物でした。

その瞬間、僕は一生この二人についていくと決めました。思い返してみればそうです、前日の飲み屋で傷心の僕は確かに実家に帰ってお母さんの切り干し大根の炊いたやつを食べたいと確かに言いました。具材や作り方まで事細かに話しました。そんな大したことない話を覚えいてくれて、酔い疲れて寝ている僕のために朝早くから二人で具材まで買って一緒に作ってくれるのかと。友人は友人で僕よりも深刻な悩みを抱えているだろうに。そんな彼に対して僕は何もしてあげられていないのに。不器用なところもある友人が朝から僕のために人参を切ってくれたのかと思うと本当に感謝してもしきれません。

優しさってこういうことなんだと思いました。僕はあの二人にこれほど大事に思われているのかなと思い嬉しくてしょうがなかったです。でも同時に僕は彼らに何もしてあげれていないこと自分が情けなかったです。自分は大切な人に何ができるのか。話を聞いて笑って励ますことくらいしかできていないなと思います。自分の期待を超えたことをしてくれるということはやはりすごいことです。そんな当たり前のことをすることの難しさに最近気がつきました。何かしてあげたいけど、何をしたらいいかわからない。本当に大切に思っていれば、わからなくても考え続けてすべきことも見つけることができるのか、だから僕は本当にその人たちのことを大切に思っていないのか。こんな考えが最近頭の中をぐるぐる回り続けています。周りの人たちは優しいからお前はこのままでいいよって言ってくれる気がします。けどいつまでのその人たちの優しさに甘えていたらだめですよね。そんなことくらいは分かっています。

大学生になってから頭を使わなくなったなと思います。相手は本当はどう思っているのかとか、何をしたいのかとか、そんなことを考えず、お互い意見をぶつけようぜなどと楽な方に逃げていた気もします。それが悪いとは思っていませんが、もう少し頭を使って真剣に考える必要がある気がします。

その日の朝食べた切り干し大根の炊いたやつは人生で一番美味しく心に沁見ました。その優しさを忘れないでいたいと思います。


切り干し大根の炊いたやつの作り方
材料(2人前)

切り干し大根:あればあるほどうまい
人参:切り干し大根の量と相談
お揚げ:2枚くらい?
大豆:お好みで入れなくてもいいけど入れた方が絶対うまい
出汁・酒・みりん・醤油のいつメン:自分の感覚を信じて入れろ

作り方
鍋に全部入れて炊く

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