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カーステン・ソルハイムさんと竹林隆光さん

今回も、ゴルフクラブの魅力についてお話ししたいと思っています。
だんだんと話がマニアックになっていきそうですが、皆さんに引かれない程度に深く掘り下げていきたいと思っています!

まずは、僕がこの世界に入って最も影響を受けたゴルフ界の巨人 2名をご紹介したいと思います。
それによって、ゴルフクラブの形状の見方、掘り下げ方をお伝えできるかなと思っています。

このお二方は、間違いなく、世界の、そして日本のゴルフクラブの発展に大きく寄与した方だと言い切れます。
もしこの方たちがゴルフ業界に現れなかったら、今のゴルフクラブの進化は無かったと思っています。
もしかしたら、僕はこの業界にすらいなかったかもしれません。

それでは、どんなところがすごいのか、お一人ずつご説明させてください。

カーステン・ソルハイム氏

PING の創始者の方ですね!
ご存じの方も多いと思いますが、カーステン・ソルハイムさんが、ゴルフクラブに、初めてといっていいと思いますが「科学」を用いました。
それまでも科学に近いことはあったと思いますが、物理の法則に基づき、それをきちんとゴルフクラブに活用し、かつ、そのクラブが機能したことは、ものすごい業績だと思います。
ゴルフにノーベル賞はありませんが、ノーベル賞もの!といってもよいのではないでしょうか?

なんといっても、PING EYE2 というクラブはおそらく世界で一番売れたクラブですし、少なくとも、一番長い期間販売されたゴルフクラブであります。

パターのANSER シリーズも、誰もが一度は手にしたことのあるパターだと思いますし、今現在なお、このANSERの形に近い、いわゆるPING型と呼ばれるパターが、ツアーでもアマチュアの方にも主流であることもほぼ間違いないでしょう~

ゴルフクラブに「慣性モーメント」という考え方を持ち込んだ、もしくは広めたのは、間違いなく、カーステン・ソルハイムさんだと思っています。
いわゆる、トゥ・ヒールバランスですね!
そして、これはキャビティーバッグという考えにつながっていきます。

前回、その形からそのヘッドを作った人の考えることがわかる、というお話をしたと思いますが、この PING EYE2のヘッドは細部にまで創意工夫がされていて、見れば見るほど、へ~とか、ほ~とか感心することばかりです。

キャビティーの角度も計算されていた様子がうかがえます

年代を経るごとに、細かい改良は加えられていたようですが、違うモデルに見えるほど大きな変更は見受けられないので、おそらく、これがカーステンさんの考え抜いた上での理想の形だったと思われます。

その機能上の数値も特筆すべき点が多く、まさにそれを実現するための、この形状だったんだ!と気づくとわくわくします。

すごく、わかりやすいんですよね~

たとえば、キャビティーの形状も、深く掘ることが目的ではなくて、重量をどこに多く盛りたいのか?が目的で、結果、深いキャビティーになっているということだと考察できます。
また、トゥ・ヒール方向だけではなく、重心から遠いところすべてに重量配分しているのでは?と見ることができますね!

ヒール側も特徴的です。
重いホゼル重量を考慮して、いわゆるネック部分のふところが、強度ぎりぎりまで細くなっています。

僕の中では、カーステン・ソルハイムさんは「重量配分の父」と考えています!

まだまだ、語れば語りつくせないほど工夫されているポイントはあるのですが、、、またの機会にしましょう~

続いて竹林さんのお話に移ります!

竹林隆光氏

ご存じの方が多いと思いますが、フォーティーンの創始者の方です!
同じく、ゴルフクラブに科学を用いた方ではあるのですが、僕の中では、ゴルフクラブヘッドの「重心」に関して、さらに深堀された方という印象が強いです。

「有効打点距離」や、「重心距離」、「重心アングル」という言葉も、竹林さんが広めたと記憶しています。

フェース面上の重心位置(参考図)

世の中にある、さまざまなクラブをどう比較・評価するのか?ということは非常に重要です。
「重心位置」や「重心アングル」などの数値を横並びで比較できると、これらの数値を見るだけで、ご自身が打ちやすい球筋が判別できるようになり、その結果、使うべきクラブが選びやすくなったと言えるでしょう。

他社のOEMなど、様々なメーカーのクラブを設計されてきた竹林さんだからこそ、気づくことのできた数値基準だったと考えています。

当方は、この数値基準でのクラブ評価が広まっていったころに、ちょうどブリヂストンスポーツのゴルフクラブ開発部にいたので、これらの数値を測定し、他社のクラブや前作のクラブとの差別化を目指すべく開発陣にデータを送り続けていたことを思い出します。

たとえば、球を上げたい!という方は、重心の低いモデルを探せばよいですし、スピン量を増やしたい!となれば、深い重心のものを探せばよいとすぐにわかります。
現在のドライバーは、大きさの差は小さいですが、それらの重心位置を形状で示している場合が多いです。
重心の低いモデルは、ヘッド自体の厚さが薄いヘッドだったり、重心が深いモデルは奥行きの大きい(上から見た時の幅が広い)ヘッドだったり、見た目から重心位置を想像できるものが多いです。

ということで、僕の中では、竹林さんは「重心位置評価の父」ですね!

もちろん、竹林さんにも代表作がたくさんあります!
挙げればきりがないほどですので、またの機会に語らせてください!

いかがでしょうか?

カーステン・ソルハイムさん、竹林さんによって、今のゴルフクラブの設計の礎を築かれたことがわかっていただけたでしょうか?

偉大なお二人がひろめてくれた、まさに「基礎」があるからこそ、たくさんのクラブを目にすることができるようになり、また、自分にあった最適なクラブを選ぶことができるようになっている、と言っても言い過ぎではないと思っています。

※個人の見解になりますので、ご参考になれば幸いです。


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