ハウツー動画プロジェクト

ハウツー動画をコストからインベストへ

2018年夏、Googleの検索コアアルゴリズムが更新され、検索結果ページの上部に関連度の高い動画枠が表示されることが増えてきました。これはまだテスト段階のようで、同じワードで検索しても動画枠が出たり出なかったりします。
もしこれが今後の検索結果のスタンダードになるなら、現在SEOで競合他社に負けている企業でも、検索結果上位に表示されるチャンスになるかも知れないと思い、お付き合いのある企業の動画担当者の方々と、「ハウツー動画プロジェクト」と銘打って実験してみることにしました。

カスタマーサポートのためのハウツー動画

ハウツー動画プロジェクトを始めるにあたって、考えの整理をしました。
企業が提供するハウツー動画というと、大半は、自社製品の使い方(操作マニュアル)やメンテナンス方法などが主な内容だったはずです。
その目的は、お客様がより良く自社製品を使えるようにすることであったり、或いは、営業担当者やカスタマーサポートセンターへの問い合わせ件数を減らしたいということになってきます。そして、その動画を視聴するのは、自社製品を購入している顧客、ユーザーです。

たとえば、こんな動画です。

こうした動画は、まだ製品を購入していないユーザーが、自社製品を指名検索したり、自社と競合製品とを比較するために検索、視聴する可能性もあります。ただ、母数としては多くないので、既存顧客をメイン視聴者とするハウツー動画は、制作しないよりは制作した方がいい、どちらかというと「コストコンテンツ」(っていう言い方するんでしょうか?)だったのではないでしょうか。

リードジェネレーションのためのハウツー動画

今回のアルゴリズムの更新ニュースを知って試したかったのは以下の二点です。

●クエリにきちんと応えるハウツー動画を制作することのSEO効果
●そうした動画をページに埋め込んだときのSEO効果

特に前者のハウツー動画は、コストとしてのハウツー動画(指名検索+◯◯の仕方)ではなく、リードを獲得するためのハウツー動画制作を目標にしました。そのため、キーワードを具体的な商品名などではなく、一つ上のレイヤーの「カテゴリー」「ジャンル」のワードで動画を制作してみることにしました。

コストとしてのハウツー動画
目的  :カスタマーサポート
視聴者 :顧客、自社製品のユーザー
想定クエリ:食品、盛り付け方/食べ物、盛り付け方など
撮影対象:自社製品

インベストとしてのハウツー動画
目的  :リード獲得
視聴者 :見込客(競合他社の見込客も含む)
想定クエリ:食品、盛り付け方/食べ物、盛り付け方など
撮影対象:自社製品(と他社製品も含むかも)

対象としたハウツーと動画

ハウツー動画を制作するにあたり、以前とある地域の特産品の盛り付け方動画を制作したことがあったので、この動画を活用することにしました。

ハウツー動画を見て頂きたい視聴者は、食品メーカーのマーケティング担当者や食品ECの担当者を想定しました。自社製品の美味しい盛り付け方を知ることで、自社の販促活動に役立てて頂けるような動画制作を目指しました。

対象とした食品は、和菓子、うどん、佃煮、干物、刺身、果物、日本酒、ジュースの8種類です。以下、どんな動画になったか、一部ご覧ください。

そして、これら8つの動画を一つのページに埋め込んでみました。

このページもまた、食品メーカーのマーケティング担当者や食品ECの担当者を対象に、美味しそうに見える食品の盛り付け方を、動画とテキストで紹介する、という内容になっています。

テスト実施3週間後の結果と学び

動画を公開したのが2019年3月28日。このページを公開したのが2019年4月1日です。ブログ上の公開日が2月19日になっていますが、動画を埋め込んだのが3月31日でした。このnote記事を書いている本日は、2019年4月19日で、以下のような結果が出ています。

圏外と書いてあるのは3ページ目を見てもなかったものをすべて圏外にしています。よろしければ掲示しているワードで、みなさんも検索して見てください。

日々変化していると言われるGoogleの検索アルゴリズムがどのようになっているかわからないので、以下はあくまで一事例における仮説としてご覧ください。(ちなみに、広告などは一切出しておらず、会社のSNSなどでも告知はしていません)

●動画再生回数が一桁二桁でもYouTube検索結果の上位に表示される。
●同じく通常の検索結果でも「動画タブ」で検索結果上位に表示される。
●検索結果が上位表示されても動画再生されていないので、再生される工夫が必要(例:YouTubeのサムネイルをクリックしたくなるクリエイティブに変える)
●動画を埋め込んだページも2ページ目にまで上がってきた。

動画を埋め込んだページの検索結果が上がってきている理由について、
知人のSEOに詳しいマーケッターに聞いてみたところ、ページを見ている人が動画を視聴することで、ページの滞在時間が伸び、それが評価されているのではないか、ということでした。
ページの滞在時間を伸ばすために記事中にグラフなどの画像を入れている方も多いと思いますが、画像の代わりに動画を入れることで、滞在時間を今以上に長くすることができるかも知れません。

この他、私といっしょにハウツー動画プロジェクトに関わっている企業さんからは、以下のようなコメントがありました。(※まだ社名が出せないのでコメントのみになりますが、ご参考まで)

●ノベルティの購入ページに動画を置いたところ、問い合わせが6倍になった。
(ただ、再生数は伸びていないので、動画がページにあることの安心感というか信頼感があるのかな?)
●既存の介護用品の商品紹介動画を、「◯◯の使い方」等のワードにリネームした。
●リネームしたことでYouTube内の検索結果が向上している。再生回数が10%ほど上がった。

一か月後に状況がどうなっているかは公表したいと考えていますので、
この結果は鵜呑みにせず、中間報告としてご覧頂ければ幸いです。

運用上の注意点

ハウツー動画を制作して自社サイトへの流入を強化したいとお考えの方に要注意ポイントです。今回、PCとスマートフォンで検索結果に表示された動画を再生してみましたが、PCはYouTubeに遷移するのに対し、スマートフォンは動画の再生プレイヤーだけが表示され、ディスクリプションなどの情報が表示されません。

これはけっこうな痛手かと思いますが、せめてPCではYouTubeの設定やディスクリプションの表示テキストエリア内に、遷移させたいURLは入れておくべきでしょう。

最後になりましたが、私はSEOに関してド素人です。動画を活用してSEO効果上げたいぜ、という方がいらっしゃいましたら、SEOに関する知識と、ハウツー動画プロジェクトの成果やプロセスを等価交換させて頂ければ幸いです。

【2019年9月3日追記】
上述してきたハウツー動画を、SNSマーケティングで活用した事例とノウハウを紹介するセミナーを、宣伝会議主催のアドタイデイズ2019秋で開催することになりました。

ゲストは、ピンクのバスでおなじみのWILLER株式会社、eコマース Dept. マネージャーの福島絵里子さん。

下記に掲示したような、なんの変哲もないアクセス動画で、なぜRTやいいねが増えるのか?SNSで動画を活用するための制作方法、クオリティ基準、発言のトンマナなど、貴重な意見を対談形式でお伺いしますので、ぜひご来場ください!

みんな来てね~

明日、動画を活用せよと言われた時に役立つフレームワーク、切れば血の出る事例、ビジネスアイデアを紹介していきます。zoomを使ったオンライン個別相談にも対応していますので、お気軽にメッセージください。 https://www.1roll.jp/demo/