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VRの映像が粗い理由

PS VR2をやってみた感想として「やっぱり解像度が足りてないな」と思ってしまったので、その理由を考察します。前から思ってはいましたがちゃんと計算したことは無かったので一度やってみました。
ちなみに、今PSVR2の映像としてYoutube等にアップロードされている映像は、レンダリングされた映像をそのまま出力しているので、当然ながら超綺麗です。実際にはVRゴーグルで見るのでそこまでではありません。

解像度の限界

iPhoneのRetinaディスプレイが発表されたときに話題になりましたが、「人間の目には把握できる解像度に限界があり、それ以上に解像度を上げても認識できない」という説があります。
これは実は一説に過ぎず、異論反論などもあるのですが一般的・体感的にも使って問題がなさそうな俗説です。

iPhoneのときに発表されたのが「1 feet離れた場所で300ppiが限界」とのことでした。これがどういうことなのかざっくり計算してみます。

ざっくりした絵

1 feetはざっくり30cmなので300mmとします。300mm離れたところの1 inchに300ピクセル入っていても人間は認識できるということになります。1 inchもざっくり2.5cmとして25mmとしてしまうと、25mm / 300 pixel = 0.08mmのピクセルサイズなら判別可能ということになります。髪の毛の太さが平均0.08mmなのでそんなものでしょう。(逆にこの太さから計算された数値のような気がしますが)
では距離が伸びるとどうなるでしょうか。単純な比率なので、距離がLとした場合、判別できる大きさx は x : L = 0.08 : 300 の比率で変化するので、x = L × 0.08 / 300 となります。これが25mmの間に何個あるかを数えれば距離がLのときの必要ppiが出せるので、25 / ( L * 0.08 / 300) を計算すれば良さそうです。

テレビの解像度

試しに一般的なテレビの解像度を考えてみましょう。50インチのテレビを2mの距離から見ていると考えます。限界となるppiは上記の公式から46.875ppiとなります。ざっくり47ppiとしましょう。50インチなので横幅が43インチと算出し、(16:9の比率)掛け算すれば、だいたい横幅で2015px必要ということが分かります。
フルHDだと1920px、4Kなら3840pxなので、確かに4Kの方が綺麗だと見分けられそうです。(2.5kぐらいでも良さそうですが)
ちなみにiPhoneも最近は400ppiを超えてきているので、実際には1feetで300ppiよりも多く必要なのかもしれません。

VRゴーグルの必要解像度

さて、ではVRゴーグルの必要解像度はどのぐらいなのでしょうか?そのためにはVRゴーグルのディスプレイ面までの距離を知らなければなりません。
このあたりの情報が意外と無かったので、PSVR2の情報から逆算します。

またしてもざっくりな図

PSVR2のディスプレイは片目で3.36inchとのことでです。ざっくり84mmとなります。計算するときは半分の長さが必要なので42mmとします。
視野角は110度とのことなのでこれも半分だと55度になります。
ここからコサインを計算すればざっくりディスプレイ面までの距離が出せそうです。cos(55度)に42mmを掛け算すると24mmとなりました。2.4cmの距離です。凄く近い気もしますがそんなものでしょうか。。。

PSVR2の解像度

さて、先ほどの公式に入れて必要ppiを計算してみます。
25/(24*0.08/300) = 3906.25 となります。とんでもない数字ですね。
PSVR2のppiは850ppiなので全然足りていません。5分の1ぐらいしか無いわけです。今のiPhone 14 Proだと縦の解像度が2556pxですが、5分の1だと511pxしか無いことになります。初代iPhoneが480px、iPhone 4で568pxなので、それぐらいのピクセルのままiPhone 14 Proの大きさまで引き延ばしたことになります。

ただ、これは使用してみると「まぁそんなもんだな」という感覚があります。初代のPSVRが386ppiだったのに比べれば圧倒的に美麗ですし、スマホをハコスコにした場合もせいぜい400ppiしかないのでそれと比べたら2倍以上綺麗です。ただし、普段テレビでゲームしたりスマホでゲームしている人からすると解像度が落ちてしまったと感じるのはどうしようもないでしょう。

今後の展望

VRゴーグルはずっと劣化映像を見ている気分になるのでしょうか?
そんなことはありません。今後発売が予定されているMeta Quest Proは1050ppiとなります。また、Pico 4 Proは1200ppiまで高解像度化します。加えてAppleが計画している(らしい)Reality Proでは3000ppiを越えるとも言われています。
どこまで信憑性があるかはさておき、今後解像度が増えていくことは間違いありません。2000ppiを越えてくると普段使っているスマホやテレビに見劣りしない映像体験が実現できるようになるでしょう。
また、PSVR2ではその映像体験だけでなくハプティクスフィードバックや音響効果、そもそものゲーム体験などが非常に魅力的です。解像度は今後どんどん上がっていくのを期待して、今はゲームだけでなくVR/AR/MR技術の拡がりを楽しむのが良いと思います。


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