【特集】近藤亨先生の偉業をこの目で

人生は、行動実践 先にありき

(第一部)やってきた人に学ぶ
(第二部)動く人間をつくる

2009年2月の対談(季刊『道』160号)以来、親交を深めてこられた近藤亨氏(ネパールムスタン地域開発協力会理事長)と、宇城憲治師範(UK実践塾代表)。
お二人の再会は、2009年7月、宇城師範が近藤氏の活躍する秘境ムスタンの実践農場を一目見に訪れる、という形で実現いたしました。  文・木村郁子

「まさに今日本は、近藤先生のような理想を現実にできる人、すなわち、行動先にありき、の人に充電してもらう時期にあると思います」(宇城師範)
 秘境ネパールムスタンの農業指導、開拓に、70歳からたった一人で命をかけ戦ってきた近藤氏の18年にもおよぶ行動と実績。その行動の重みは、多くの方に感動と勇気を与えたばかりでなく、日本の農業のあり方、政治や教育、家庭のあり方を、根本的に問い直すものでした。
 一方宇城師範は現在、空手や一般を対象とした塾生のほか、プロ・アマ問わず多くのスポーツ指導者、選手に対し、「気」というメソッドによって、他人に頼る「他力本願」ではなく、「自分自身を信じる」力、すなわち「自信」を自らのなかにつくり出す指導を展開しています。
 それはまた、近藤氏のような生き様を、ただ「すごい」と驚き感嘆するのではなく、かつての日本人がそうであったように、その人の生き様に素直に学び、その感動を行動へのエネルギーへと転化させる教えでもあります。
「やってきた人の生き様を自分の生き様と照らし合わせ受け止めていく、そうやって確認していくんです」
 本特集、第一部では、前回の対談だけでは伝え切れなかった近藤氏のムスタンでの活躍をお知らせするとともに、第二部では、近藤氏の行動、実績から、今私たちが何を学び取るべきなのかを、宇城憲治師範が自らの生き様で受けとめた、その心と情熱を通してお伝えしたいと思います。
※所属や肩書きは、季刊『道』162号に掲載当時のものです。
※このレポートの映像版 DVD『近藤亨先生の偉業をこの目で』発売中


近藤氏が開拓してきたネパール・アンダームスタンの実践農場に見学へ

不毛の台地
ムスタン農場をこの目で

 今年89歳になる近藤亨氏が70歳より秘境ムスタンに単身定住し農場開発を始めてから今年で18年。15年間活躍したJICA(国際協力機構)時代の果樹栽培、園芸開発指導を合わせると、ネパールでの活動は33年にもおよぶ。
 ネパール中西部にあるムスタンは、アンナプルナやダウラギリ連峰といった8000m級の山々の北側に位置する山岳地帯、年間150ミリという極端に降水量が少ない乾燥地帯だ。その上ヒマラヤ山脈からの強風が一年中吹き荒れる、農業にはまったく不向きの不毛の台地である。
 平均寿命45歳前後という過酷な生活を送る現地の人たちに、なんとか満足な野菜や果物を食べさせてあげたいと、近藤氏が開発を手がけてきた大農場は大きくわけて二つある。
 ひとつはアンダームスタンという、ジョムソン空港近くの標高2700mの地域と、そこからさらに1000m高い標高3700mのアッパームスタンと呼ばれる地域である。
 近藤氏はまず、秘境ムスタンでの第一歩として、アンダームスタンの村々でリンゴの技術指導を開始し、しだいに野菜づくりや植林、養鶏、魚の養殖、酪農と成功させていった。その成功例をもって、さらに高地のアッパームスタンで、4倍の農地200ヘクタールを開拓し、世界最高地での米の栽培や、ホルスタインを育てての酪農を成功させている。
 それだけではない。近藤氏はこの18年のあいだに、小学校、中学校を合わせて17の学校をつくり、現地では考えられることもなかった学校給食を始め、病院までつくっている。
 今回宇城師範とその一行が訪れたのは、近藤氏が実践農場を展開したアンダームスタンの農場と学校だ。

 現地へは、首都カトマンズから、ネパール第二の都市ポカラに飛び、ポカラからジョムソンへと飛んだ。ジョムソンへの飛行は、早朝の6時から9時頃まで。これは現地ヒマラヤの風が強く、午後になるととても飛べる状態ではないからだ。当日は、朝5時半から飛行許可が出るのを空港で2時間ほど待ち、乗ることができた。天候に恵まれない人は、空港で一週間も足止めをくうというから、一回で、しかも雨季に飛べたことはなんともラッキーだった。
 有視界低空飛行する16人乗りの小型飛行機で、右に雄大なアンナプルナ峰、左にダウラギリ、自然の偉大さに圧倒されながら飛行すること20分、ジョムソン空港に到着。ここに、近藤亨氏が開拓された農場や学校がある。

カリガンダキ河川敷を開墾。植林地、果樹園、養殖池などの眺望

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