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坂根弘基 京都府合気道連盟理事長

故田中万川と京都の合気道

合気道京都演武大会の進行運営で忙しくされているなか、京都府合気道連盟の理事長・坂根弘基先生にお話をうかがいました。坂根先生は、昭和9年、京都府生まれの67歳。京都合気道の発祥の地、頂妙寺道場で合気道を始められ、現在の京都の合気道では最も田中万川先生の身近におられた方です。武道センター道場、登り助育センター道場で指導されている坂根先生に、故田中万川師範のこと、受け継がれたその技と心についてお話しいただきました。
(聞き手 広部和朗)
※所属や肩書きは、季刊『合気ニュース129号』に掲載当時のものです。


(財)大阪合気会と京都府合気道連盟

―― 先生、今日はよろしくお願いします。

 はじめまして、よろしくお願いします。

―― 実は、はじめてではないんです。私、京都万誠館道場の出身で、武道センターに出稽古に寄せてもらって、何度もご指導受けているんですよ。

 そういえば覚えがあります。

―― 当時は回転投げをよく学びました。私の回転投げは先生の影響が非常に強いと思います。回転投げが先生の得意技ですね。

 回転投げは好きな技ですが、得意技といえば呼吸技です。気の技ですな。気は指先に一番よく出るんです。一番好きな技は呼吸技です。

 私ら京都で合気道を指導しているものはみんなそうですけど、亡くなられた田中万川先生を師事してましてね。今、京都の道場で指導者といわれる人すべてが、田中先生の教えを受けている弟子です。もうそろそろ孫弟子といわれる方も一部出てきているようですけど。

 田中先生が、大先生にご指導を受けられ、大阪を中心に合気道の発展普及に努められ、その後(財)大阪合気会を設立された。その傘下に所属しているのが、京都府合気道連盟です。

気で投げる田中先生の小手返し

―― 田中万川先生について聞かせてください。

 優しい人でしたな、包容力があり、う~ん、どんな人にも万遍なく接する優しい人でしたな。

 京都府合気道連盟の創始者である広瀬二郎先生が、田中先生より一年ほど先に亡くなられたのですが、何かにつけて思い出され、話が出るたび涙されていた人間味のある姿が印象的ですね。またお酒が好きな方でした。

 若い頃の小手返しなんかそりゃすごいものでしたよ。5メートル位飛ばされたような感じです。その小手返しは手首を極めて投げる技ではなく、気で投げる技でしたね。手首はまったく痛みを感じませんでした。

昭和57年7月18日 高野山夏期合宿にて
田中(中央)、広瀬(その左)先生と共に


―― 坂根先生ご自身のことをうかがっていきたいと思いますが、合気道を始められたきっかけは何ですか?

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