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コミュニケーションのプロに教わった、モデレーターのコツ

学内でも大人気Strategic Communicationsの授業を教えているMatt Abrahams教授に教えてもらった、モデレーターやQ&Aのファシリをする際のコツをメモに残したいと思います。

先生によると、”モデレーターはツアーガイド”
きちんと目的、テーマ、時間を自分がコントロールすることで、締まりのあるイベントにしましょう。

◎イベントの目的を考える

Information / Emotion / Actionの枠組みに沿って考えるとわかりやすいです。

どんな情報/Informationを持ち帰ってほしいか、
どんな感情/Emotionで終えてほしいか、
どんな行動/Actionに繋がってほしいか

これらを明確にすることで、スピーカーが話したいことでもファシリテーターが描きたいストーリーでもなく、観客が聞きたい話に焦点を合わせることができます。

◎テーマ・質問を考える

▷テーマ設定
セッションの長さに応じた個数のテーマ(30分のパネルなら3-4個)、それぞれについて数個の質問を考えましょう。この時重要なのは、実際に話すときにどうテーマの間を繋げるか。”では話題を変えて今度はxxについて話しましょう"と急転換するより、うまく次のテーマに繋がりそうな質問ができると良いですねね。

▷質問の書き方
一般論→具体例→実際の質問
という流れでまとめるのがおすすめ。モデレーターの話を聞きに来ているわけではないので、キュッとコンパクトにしましょう。声に出して練習もしてみることで、実際話してみるときにどう聞こえるかも確認できます。

◎事前のコミュニケーション

▷いつパネリストに質問を共有する?
パネリストに質問を送るのは1週間前程度がベスト。早すぎると忘れられるし、遅すぎると準備する時間が無くなってしまいます。

▷パネリストには何を共有する?
完璧に準備された質問リストだと当日のライブ感がなくなってしまい、逆に大枠のテーマだけだと話す内容が準備できません。妥協案として、テーマと想定質問の例のみを送るのが良い塩梅です。当日はそれに沿いつつも、全く同じ質問はしない方がより生の声が楽しめるセッションになります。

*もちろんモデレーター側ではしっかり細かい質問や流れの原稿を書いていいのですが、パネリストに共有するのはもう少し抽象度の高いものが良いという意味です

▷質問共有時の確認事項
「このテーマの中で触れたいお話はありますか」とパネリストに確認しておくと、大枠の話題はこちらでコントロールしつつもみんなが納得できる会話をすることができます。

パネリストの方も最近の取り組み等色々と話したいことはあると思うのですが、ある程度事前に決めたテーマの枠の中に限定しなければ話題が広がりすぎてしまい、参加者にとっても目的が分からないイベントになってしまいます。

◎本番中の対応

▷はじめかた
「本日は●●パネルにお越しいただきありがとうございます。私はモデレーターを務める●●です」という超無難な始め方は出来れば卒業したい!(私もこれまでそうしていたので反省・・・)

面白い統計、有名なセリフ、質問を投げかけ挙手してもらう、Zoomならアンケートや絵文字機能を使う、など。最初から観客を巻き込んでセッションに引き込みましょう。モデレーターの自己紹介は簡単で良いので、そのあとにさらっとしましょう。

▷パネリストの自己紹介
参加者はきっとパネリストのプロフィールを事前に見てから来てくれています。なので、自己紹介よりここでしか聞けない話に時間を割きたい!方法は問いませんが、とにかく長すぎないのがベスト。
"1ツイート程度の長さで"”30秒で"など具体的な目安を提案するのもわかりやすくて良いかもしれません。

▷パネリストの話の掘り下げ方
モデレーターの仕事はそこでしか聞けない生の具体的な話を引き出すこと。特にパネリストの方が事前に回答を考えていなかった話題の場合は抽象的な回答が出てくることも多いです。そんな時は、具体例を話してもらうように質問を投げかけられると、より深い内容になります。

▷パネリスト間の生の会話
モデレーターが提示する質問に順番に答えてもらうのも良いのですが、せっかくなのでパネリスト間で自由な会話があると盛り上がりますよね。その場合は、事前にパネリストに「何かコメントしたいことがあればいつでも飛び込んでください」と声を掛けると良いかもしれません。

▷話す量のバランス
盛り上がるのは良いですが、パネリスト間の発言量のバランスが崩れてしまった場合は困りますよね。しかも大体の場合はパネリストがモデレーターより年上だったり地位が上だったり、なかなか話に割り込むのは難しいです。。そんなときは、勇気を出して飛び込んで言い換えてスポットライトを他のスピーカーへ。きちんと話してくださった内容を言い換えてつなげるというのがポイントです。例えば「田中さんがおっしゃっているのはxxということですよね、山田さんはこの点についてどうですか?」と他のパネリストに話を振りましょう。

▷観客の巻き込み方
私たち、皆さん、我々、など観客も含んだ表現を使いましょう。例えば、「私たちの多くがxxについて気になっていると思います」
「皆さんもご存じの通り・・・」など。

▷時計は視界に!!できればタイムキーパーがいるとなおよし。

▷締め方
最後の締めはしっかりモデレーターが主導権を握りましょう。

◎番外編:Zoomイベントならではのコツ

とにかくカメラをしっかり見るのが一番大事。ついつい画面に映る他人の顔を見たくなりますが、ぐっとこらえてカメラを見ましょう。

▷具体案
・ズームのウィンドウ自体を小さくして、デスクトップの上の真ん中(カメラの真下)に設定し、相手の顔を見てもカメラを見ているように見えるようにする
・パソコンの後ろの壁にカンペを貼ってそこを見ざるを得なくする
・事前に録画して自分がどう映るかをチェックするのも良いですね。
(恥ずかしすぎるくらい適当な図を作ったのでご参照ください)

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特にZoom上では目線がわかりにくいので、回答してほしいスピーカーに「田中さんはこれについてどうお考えですか?」と呼び掛けたり、最初に「それではこの質問は山田さん、田中さん、村上さんの順番でお答えいただきましょう」などはっきり名前を言うのも大切です。

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学んだことは以上です!!これまで何度もモデレーターをしたことはあるのですが、ここまできちんと意識したことはなくて今回改めてベストプラクティスを知れて目から鱗でした。今後何かでモデレーターをする機会があれば私も使ってみようと思います。

参考になったり、他にも大事なコツがあればぜひコメントください!



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