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アトピー性皮膚炎 治療薬2024


 今年もでてくる,新しい治療薬.皮膚科医でもどの薬が何歳から使えるかわからなくなってくるため,2024年2月時点での適応をまとめました.

①注射(デュピクセント,ミチーガ,アドトラーザ)

 2018年デビューのデュピクセントは7年弱が経ち,2023年末から6ヶ月の赤ちゃんから使えるようになっています.5kg-15kg: 200mg月1,15-30kg: 300mg(成人と一緒の注射)月1,30-60kg: 200mg月2,60kg以上は成人と一緒の量となり,医療スタッフは間違いのないように投与していき,その子の体重が増加したタイミングで変更していく必要があります.
 そして,200mgシリンジが新しく発売され1.14mlと量が少ないため(300mgは2ml),痛みが少ないかもしれないと期待されていましたが・・・全然普通に痛いです.小児科の先生,気の紛らわせ方など,いいアイデアがあったら教えてください.

 ミチーガは13才以上,月1回ずつ投与,痛みが比較的少ないですが,皮膚炎がしっかりでます.しっかりケアできる方か,皮疹をあまり気にしない派の人向けです.

 アドトラーザは15才以上,1回目1mlを4本,それ以降2本ずつ投与.効き具合はマイルドデュピクセントです.確率は低いですが,結膜炎もでる人はでます.

②内服(オルミエント,リンヴォック,サイバインコ)


 オルミエントは15才以上,円形脱毛症で最近はよく使われます.

 リンヴォック15mgは12才30kg以上,30mgは15才以上,サイバインコ100/200mgは12才以上ですが,両者とも,効果が早くよく効く印象,しかしIgE,TARCも皮膚炎も抑えきれずに上がっていく方も多く,短期で使用する方針がいいかもしれないと最近では思うようになりました.そして注射にくらべて,中止後にすぐ痒みの再燃があるため,やめるときに工夫が必要なことが多いです.

③外用(プロトピック,コレクチム,モイゼルト)

 プロトピックは小児用が2才から,成人用が16才からとなっており,元祖ノンステロイド外用です.今でもプロトピックはまだまだ現役で顔首には非常に効果的です.2020年に報告されたAPPLES試験では,海外約8000人の小児患者を最大10年観察し発がんリスクの上昇を認めなかったこと,本邦でも小児患者918人の観察で悪性腫瘍がなかったことが報告されて,安心度がもう一段あがりました.

 コレクチムは2才から使用できるようになり,広く使われているNewノンステロイド外用です.アトピー性皮膚炎の皮膚炎だけではなく,他にも効果が期待できそうな雰囲気をもっています.

 モイゼルトはなんと,最年少の3ヶ月の赤ちゃんから使えるようになりました.色素沈着,メラニン活性化の可能性がありますが,食物アレルギー予防のための乳幼児皮膚炎をコントロールするとき(寛解導入には,どうしてもまだ,ステロイドの力が必要です)に,やはりノンステロイドは安心感が違います.私は最近,モイゼルト軟膏とプロペトを混合して広く塗れるように処方しています.塗布量の上限がないことも,安心の一つです.

④新規薬剤(イブグリース,タピナロフクリーム)

  4つめの注射として今後登場予定のイブグリース.情報が入り次第,紹介していきます.なんだか,期待がもてそうです.

 タピナロフクリームは前回紹介していますが,そろそろ登場の気配です.Newノンステロイド外用3つめです.



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