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完全栄養食の是非

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
最近、実際はジャンクフードだけど添加物で栄養調整されたり、様々な食材を加工して混ぜ合わせた、様々な形の「炭水化物置き換え食」や「完全栄養食」を謳う製品が増えています。

一方で小林製薬さんの紅麹サプリメントに想定外の異物混入によると思われる健康被害が起きている、と言うことから、「サプリメント的な完全栄養食って大丈夫なの?」と思う方もいらっしゃる様です。

その様な問い合わせに対して、「ウチの製品はサプリメントじゃ無く『食品』なので問題ありません」と言う様な回答をされてる業者の方もいらっしゃる様ですが、少し回答内容がずれていると言えます。

製造工程から判断するのであれば、元々偏った栄養の加工食品に、必要な栄養素を添加して作られる完全栄養食はサプリメントに近いと言えますが、栄養バランスを最適化する為に様々な食材を加工して混ぜ合わせた製品は、加工食品と言えます。ただそれが安全かどうかとはまた別の話です。

製造後の衛生管理の問題で起こった、無添加手造りマフィンの食中毒事件があった様に、食品だから安全とは言えません。牡蠣やアサリなど二枚貝によるノロウイルス感染症もありますし、非加熱や加熱不十分な食材による食中毒も起こり得ます。
適切に衛生管理され製造され、乾燥状態の完全栄養食であれば、水に溶かしたりするまでは保存性は高いとは思いますけどね。

そもそも食品加工における衛生管理レベルで作られた物なのか、医薬品製造における衛生管理レベルで作られた物なのか、によっても判断は異なります。
食品加工レベルよりも医薬品製造レベルの方が、より厳格な衛生管理基準に沿っていますので、医薬品製造レベルの衛生管理で作られたサプリメントや薬品は、一般的な食品より安全性が期待できる、と言うことです。

また、工程が多いほど異物混入のリスクは増えます。保存性を高める添加物を使ったり、保存性を高める様な処理や包装、必要な温度管理などがされていなければ、付着したり混入した雑菌による腐敗が進んだり、生成された毒素により食中毒が起こる訳です。

タブレット型に賦形されたお菓子やサプリメントであれば食中毒リスクは減りますが、添加物や主成分に対するアレルギー反応、ならびに製造工程で混入した異物による健康被害のリスクがある訳です。

では、健顧問医師的にサプリメントや完全栄養食はどうなのか、と言うことですが、食事で不足する栄養素を応急処置的に補うであったり、マトモな食事が手に入らない様な災害時などの非常時に、栄養的に偏った非常食と併用するか置き換える形で一時的に使うことは、良いと思います。

しかしながら、普段の食事の栄養を気にしないままサプリメントを常用したり、面倒くさいので完全栄養食を常用する、と言う様な使い方は、健康的とは言えないです。

元々の食材の形や色が目に見える様な食事を、よく噛んで唾液と混ぜ合わせて飲み込む、と言う過程を省略してしまい、事前に粉砕され混ぜ合わされた加工食品を口に入れて飲み込むだけ、と言うことをしていると、十分な唾液が出ないままですし、咀嚼に関わる筋肉も弱りますし、成長期であれば顎骨の発達が悪くなり、歯並びが悪くなるなどのリスクとなります。

科学的に同定された栄養素だけに着目した完全栄養食やサプリメントには含まれない成分が、自然な食材には多々含まれており、食材の健康効果には、その様な成分が関わっている可能性もあります。抽出された単一成分だけで、食材を食べたのと同じ健康効果を得られるとは限らないと言うことです。

そう言う意味では自然な原材料だけを加工して作られたサプリメントや完全栄養食は、その他の合成材料を混ぜ合わせた物よりは良いかも知れません。

上記の様なことを理解した上で、必要に応じて応急処置的に使うのであれば、サプリメントや完全栄養食を否定するつもりはありません。
そして不調の原因が食べ過ぎの場合には、サプリメントや完全栄養食を使うよりも、満腹感の高い食事にするとか、食べない時間を作りダラダラ食べ続けない、と言う様な工夫も必要になります。

そして栄養バランスは毎食完全にする必要はありません。1週間単位でバランスが取れる様な意識を持っていれば、そこまで厳格に管理する必要はないと言うことです。
特定の病気や不調を改善させる為には、厳格な食事管理が必要な場合はありますけどね。

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