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【健康と食について2023】

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。

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健康意識の向上に伴い、「糖質」が多い食事が体に悪いらしい、「低糖質」や「グルテンフリー」が良いらしい、と言う様な情報を目にしたことがある人は多いと思います。最近は「レクチンフリー」と言うのもありますね。

「グルテンフリーって健康に良いんですかね?」と言うご質問を受けましたが、正直に言ってしまうと、「人による」と言う感じです。
「低糖質」「グルテンフリー」「レクチンフリー」など、健康と食についてまとめてみますので、年末年始の健康管理の参考にして頂けたら幸いです。

【「糖質」とは】

まず簡単に「糖質」の説明をさせて頂くと、ブドウ糖を含む糖類、消化を経てブドウ糖に分解されるデンプン質を合わせた呼び方です。すぐにエネルギー源として使える効率の良い栄養素です。

【「低糖質」が必要な場合】

通常であれば、糖質は効率の良いエネルギー源ですから、適量を食べていればむしろ元気に動く為に有効なのですが、問題になるのは必要以上に食事を食べた場合に、糖質は中性脂肪に変換され蓄積されてしまい、動脈硬化や高血圧、脂質異常症、糖尿病などを引き起こしやすくなります。

特に体重(kg)を身長(m)の二乗で割ったBMI(Body Mass Index)と言う数値が25を超えていると上記の様な生活習慣病のリスクが倍以上になるので、肥満症として治療対象になりますし、35を超えると早急なダイエット(いわゆる減量)が必要になって来ます。

身長170cmの人を例にすると、BMI25は体重が72.25kg、BMI35は体重が101.15kgです。

その様な方達によく指導されて来たのが「カロリー制限」や「低脂肪食」であり、同時に消費カロリーを増やす為の運動指導でしたが、最近ではコレらはむしろ体を飢餓状態に追い込み基礎代謝を下げる上に食欲を刺激するので、痩せにくく強い食欲に耐える苦しみがキツイので長続きせず、リバウンドする事が問題となっていました。

様々な検証で、単純なカロリー制限は、栄養失調を招くだけであり、低脂肪食もホルモンや細胞形成に必要な脂肪酸が不足する事で逆に不健康になる、と言う事が分かって来ました。

加えて体の総消費エネルギーは、食事や運動をどんなに頑張って変えたとしても、誤差範囲でしか変わらない、と言うことも、様々な動物や人種を比較検証した研究で明らかになりました。

体重コントロールをするには食事を調整するしか無い、と言う事です。そこで有効なのが、「糖質制限食」なんですが、どれくらい再現すべきかは、現在のBMIや持病により異なります。
ガン患者さんや一部の難治性の不調に悩んでいる方には、かなり厳格な糖質制限が有効な場合がありますが、現在の食環境ではほとんどの人がかなり糖質過多であることは間違いないです。

そして糖質過多である一方で、「蛋白質不足」「脂質バランス不良」「微量栄養素欠乏」である人も多かったりします。コレはBMIが18.5未満の低体重の人にも言える事です。

【ケトン比を使った糖質制限食の考え方】

糖質制限食でよく使われる指標に、
ケトン比=脂質(g):(糖質(g)+蛋白質(g))
という物があり、病気の症状を抑えたりする目的の為に考え出された極端な低糖質食である、ケトン食(ケトン産生食とも言われます)では、ケトン比が2:1だったり原法では4:1だったりします。

日本で大阪大学で臨床研究として行われたいるやり方は、導入期に2:1と強めの低糖質を行い、少しずつ緩めにして維持期には1:1とする様なやり方が行われています。それを参考にして一般人も行うのであれば、糖質を1日50-100g以内とした上で、ケトン比1:1を目安にすると良いでしょう。

【容積比を使った糖質制限食の考え方】

計算が面倒くさいという場合には、大阪市立大学が糖尿病患者さん用に提唱している、食事の主食:主菜:副菜の比率を容積比で1:1:1にする、というのを参考にするのも良いです。
主食とは米、小麦、芋類などのエネルギー源となる穀物や芋類のことです。
主菜とは蛋白質原や脂質源となる鳥獣魚の肉や卵などを材料とした料理のこと。
副菜とは食物繊維やビタミン、ミネラル源となる野菜、海藻、果物などを材料とした料理のことです。

農水省や厚労省はこの比率を3:1:2にしようとした提言をしていますが、糖質過多と蛋白質不足が多いことを考えると、1:1:1を目指すのが良いでしょう。容積比ですので、お弁当の中を3等分にして、そこに主食、主菜、副菜を入れるイメージですね。

ケトン比であれ容積比であれ、コレを守れば量は気にしなくて良い訳ではありませんが、どれだけ細かい計算をしたところで、消化率や体内代謝を正確に反映することは出来ませんので、目安としては体重1kgあたり30kcalと言う数字を参考にしながら、実際に食べた後の体重変化を見ながら、体重が増えたから食べる量を減らそう、逆に減ったから増やそう、と言う調整を行うのが現実的でもっとも確実なやり方です。

【「グルテン」とは】

ではグルテンフリーの「グルテン」とはなんでしょうか。コレは小麦粉加工食品に含まれる蛋白質であり、アレルギーの原因になる場合があります。蕁麻疹や呼吸困難などの即時型だけでなく、疲れやすいとか頭が重いと言う様な遅延型として症状が出る場合があり、グルテン不耐症と言う「セリアック病」と言う病気の原因でもあります。

難治性の不調の方の中にも、この様に小麦グルテンが含まれている食事が原因となっている方がいるので、グルテンを含む食材を避ける様にすると、実際に長年苦しんでいた不調が良くなる方がいます。

グルテンは種類に限らず小麦全般に含まれ、大麦やライ麦にも小麦に比べると量は少ないですが含まれます。もち麦は大麦の一種ですので、グルテンフリーとは言えません。

意外と忘れられがちなのが、「お麩」です。水で練り込んだ小麦粉を水の中でデンプン粒子を洗い出す作業をして作られる純粋なグルテンが、お麩なんですよね。生麩であれ乾燥した車麩などであれ、グルテンの塊ですので、グルテンフリー食には入れない様にしましょう。

米にはグルテンは含まれていませんが、アレルギーのある人の場合には、雑穀米として白米などに混ぜる製品の場合には、もち麦などが含まれていないか、確認しておく必要があります。

一時期米国ではミネラルウォーターに「グルテンフリー」と記載して売れ行きが大幅に上がったと言う事がありましたが、そもそも水にグルテンは含まれていません。見た目で使われている物が分からない加工食品の場合には「グルテンフリー」表記を参考にすべきですが、本来グルテンが含まれない物については記載されていなくても大丈夫ですので、マーケティングに踊らされない様にしましょう。

人によっては、現代の品種改良された現代小麦では無く、スペルト小麦などの原種に近い小麦の粉であれば症状が出ない、と言う人もいたりしますので、本格的なアレルギーでは無いが小麦粉加工品を食べると調子が悪い方は、代替品として検討してみるのも良いと思います。

また、米粉やトウモロコシ粉を使った代替料理の場合でも、つなぎとして小麦粉が使われている場合もありますので、ラベルを確認したり調理すら人に確認をしておく様にしましょう。

そして小麦粉加工品を食べても特に問題が無い場合には、無理にグルテンフリーにする必要はありません。とは言え、グルテンフリーを試してみたら、お腹がもたれなくなった、などと言う体調の改善を感じる方もいますので、興味がある方は試してみるのも良いと思います。

【オマケでカゼインについて】

また、グルテンが不調の原因になっている場合に、乳製品に含まれるカゼインも悪さをしている事があるので、症状を落ち着かせる目的がある場合には、グルテンフリーに加えてカゼインフリーもするのが良いとされています。

症状が落ち着いてから、発酵乳製品などを再開してみて体調に問題なければその後食べても良いです。ナチュラルチーズや、寒天などで固めただけでは無い自然に発酵させたヨーグルトは、大丈夫と言う方も多いです。

【「レクチン」とは】

最近は「レクチンフリーダイエット」と言うことも目にする機会で増えていますが、この食事法自体は米国の心臓外科医であるDr.Gundryが、難治性の不調に苦しむ人達に対応していく中で作り上げた概念です。

元々レクチンとは、細胞表面の糖鎖に結合する蛋白質のうち、抗体や酵素ときて機能する物を除いた総称で、あらゆる生物の体内に存在します。Dr.Gundryの言うレクチンは、「植物が身を守る為に作り人間に害のある蛋白質の総称」として使っているので、グルテンも含まれます。レクチンを含む植物を食べた草食動物やそれを食べた肉食動物の筋肉にも、レクチンが蓄積しているとされており、レクチンフリーダイエットの場合、それらも一定期間は食べない様にします。

とは言え、レクチンフリーを厳格にすると、体に良いとされる野菜もほぼ全てダメになるので、食べられる物がほぼ無くなります。なので、穀類や豆類は浸水し加圧調理をしたり、ナス科植物などはレクチンの多い種と皮を除いて使う、などを行いながら許容していたりします。

糖質制限やグルテンフリーをしても良くならない様な体調不良を改善する為の選択肢のひとつとして、試してみるのはアリかと思います。

【その他の様々な食事法も基本は同じ】

その他にも「地中海式食事法」とか「DASH食(Dietary Approach to Stop Hypertension 高血圧を止める為の食事法)」、MIND食など多々ありますが、心血管系の病気のリスクを減らす為、高血圧を改善させる為、認知症を改善させる為、と言う目的で考案された食事法なので、健康な人が無理に実践すべき様な事ではありません。

とは言えコレらの食事法を見てみると、細かな違いはありますが、共通することもとても多いですので、結局のところ健康の為の食事はこんな感じなのかな、と確認するのには良いかも知れません。

そしてどんな食事も「食べ過ぎれば太る」と言うことは共通しています。完全菜食のヴィーガンだと言う人でも、植物油で揚げた野菜チップや何やらを間食したりしてむしろ太めの方もいたりします。

大切なのはどんな食事法を選んだとしても、
・蛋白質はしっかり摂れているか(体重1kgあたり1日1-1.5g)
・良質な脂質は摂れてあるか(ω3脂肪酸を含むエゴマ、魚など)
・ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含む野菜、海藻、果物は摂れているか
・糖質過多になっていないか(ケトン比1:1、容積比1:1:1)
と言うところを意識しましょう。

そして「体重が増えたら食事量を減らす」と言う大原則を忘れない様にしていれば、体重コントロールは難しくありません。もし難しいのであれば、「糖質依存症」になっている可能性があるので、少しずつ低糖質食にしていくと良いです。

【意外と大事な「食べない時間」】

そして意外と忘れがちなのが、「食べない時間」の大切さです。寝ている間はもちろん食べていないでしょうが、寝る時には胃の中は空っぽなのが理想です。寝る前2-3時間前までに食事は終わらせておき、消化の負担になる固形物は摂らない様にしましょう。

朝起きてすぐにカロリーを摂らないと頭が働かないと言う情報もありますが、コレはマーケティングによる刷り込みに過ぎません。むしろ寝ている間に起動している脂肪燃焼回路を活用する為に、無理に食べない方が良いとも言えます。

寝ている間に失われている水分を補う為に、水は飲む様にしましょう。お茶やコーヒーも構いませんが、お水を飲んだ後にしましょう。

運動前や活動前に食事をしないとエネルギー不足で動けないと言うのも昔から言われていますが、ラマダン期のイスラム教徒のアスリートを対象にした研究では、特に差がない事が分かっているので、運動後24時間以内にしっかり食事が出来ていれば、心配する必要はありません。

睡眠時間と合わせて16時間以上食べない時間を作ると、細胞内の老廃物をリサイクルするオートファジーが活性化し、細胞内のミトコンドリアなどがリフレッシュされる、と言う報告もありますし、長寿遺伝子と言われるサーチュイン遺伝子の発現が活性化する、とも言われています。また、糖尿病の原因とされる「インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)」も改善することも報告されています。

必死になって「◯◯を食べると良い」とされる食材を次々に追い求めるよりは、この様な食べない習慣を作る方が、お金もかからず効果が期待出来ます。

【体重コントロールと運動は関係ない】

そして最後に大切なことを書いておきます。
体重を減らそうとしている時に激しい運動をすると、体は危機だと判断してストレスホルモンを分泌し、しっかり回復させる為に食欲を増やす反応をし始めますので、精神的にとてもキツくなりますし、食欲に負けた後にリバウンドにもなりがちです。

もし体重を減らそうとしている場合には、まずは目標体重に行くまでは無理な運動は控えておきましょう。特にBMI35を超える様な方の場合、膝や腰などの関節を傷めてしまう可能性が高いので、上記の様な食事管理を行いBMI25前後に落ちてから激しい運動をする様にしましょう。

運動は総消費カロリーは増やしませんが、総代謝の中での消費は増やすので、余分なエネルギーで起こる体内の慢性炎症や免疫暴走を抑える効果があると期待されています。

ボディバランスを整えたり、何らかの種目に出る為に鍛えたいと言う方は、BMIを適正値にしてから行う様にしましょうね。

長くなりましたが、最後まで読んで頂き有難うございます。是非何度も読んで頂いて参考にして頂けたらと思います。

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