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No.3【ネタバレあり】戦いの指揮者と才能

※写真は30巻よりお借りしました。

キングダムでは、信は天下の大将軍を目指して強くなっていく。

秦が中華を統一する物語としてキングダムは壮大であるが、奴隷として農村で働いていた少年が夢として抱いていた大将軍に駆け上がるストーリーにもまたロマンがある。

物語の中の武将には位があり、100人将から1000人将、3000人将、5000人将と上がり、その次が将軍となる。

1万人規模の軍勢を率いる将軍には様々な武将がおり、十人十色のキャラクターが登場するが、今日はその武将の特性『知略型』『本能型』という2分類について考察し、コロナ対策に役立てたい。

『知略型』の将軍

さて、『知略型』の将軍は、緻密な計画で戦いの全てを掌握し、相手の動きや戦局に応じた準備をあらかじめしておき、先を読むことをその特性とする。もちろん将軍なので、その他の基本スペックは高いことが前提である。物語の中では李牧や王翦(おうせん)が最強の知略型武将である。戦いの指揮を現場で取りながら全てを想定内に収める力に優れる。

新型コロナが自分の地域でアウトブレイクする前に如何に組織にあった対策計画を練り、準備を進めて、実戦に移せるか、これが各組織のリーダー達に求められている。

我々の業界ではその計画書がBCP(Business Continuity Plan)と呼ばれており、危機管理の手法として普及している。

BCPの策定は難しく、医療コンサルティング企業が引き受けていることが多いが、それは万人うけする『戦マニュアル』である。

策定したBCPを地域や組織に合わせ、起こりうる災害にアジャストできるかどうかが重要である。他人に作ってもらった戦いの手順書ではすぐには動けないので訓練も重要になる。

オーバーシュートを一旦免れた日本では、コロナ対策のマニュアルがきっと出回るであろう。マニュアルを『絵に書いた餅』にしないことが重要であり、それらを活かせる知略型の武将がいるかどうかが問われる。

では知略型の武将が居なかったらどうしたらよいか。結局、育てるしかないのである。それはどうやってか?災害医療や防災の勉強や訓練がそれにあたる。訓練を重ね、戦いの中で育てていくしかない。(別の回で記載)

『本能型』の将軍

次に『本能型』の将軍の話をする。
本能型の武将は知略型と違い、計画にはないような前兆や予感を重んじる。主人公の信も本能型であると言われるが、その最上級の武将に麃公(ひょうこう)将軍がいる。麃公将軍は戦の中で重要な分岐点を『炎』と表現する。炎が出た場所をいち早くみつけ、そこでの戦いに全力を注ぐことで勝利を導く。

戦いの戦局が動く兆しは、知略型の武将では気付くことが難しい。戦いを繰り広げる中で感じる違和感に気付けるかどうか、である。それは戦いのセンスのように物語の中で描かれている。

新型コロナとの戦いで実はこの本能型の力も重要になる。医療崩壊とは戦の敗北を意味するため、いかにして崩壊前の予兆をつかみ、大炎が生じた場で全力で戦えるかが重要になる。クラスター発生については分かりやすい炎であるが、実は通常の医療システムの壊れ方は地域によってバラバラであるし、1話で話した介護福祉も含めた戦局については、かなり敏感になっておかないといけない。さまざまな変化を数字化したり言語化して計画を立てようにも、対応するには膨大なパラメーターの変化に結局は意味を見出せないといけない。

どちらのタイプの人間かは、確かに分けられる印象がある。私は間違いなく本能型である自覚がある。どちらがいいか、どちらが強いかに関する分析は次回に持ち越そうと思う。

大事なこと

大事なことは戦い方にもリーダーの個性が反映されるし、それにより部隊の性格も決まるということである。『これをすることが今は大事だ!』と自分や上司が言ったとき、それは知略型の頭で考えての一言か、本能型の頭で炎を見た際の一言か考えてみてほしい。

コロナの戦いにおいては現場におけるリーダー(武将)の判断がかなり重要になる。それは何故かというと、王や軍師にあたる知事や医療政策官が現場からかなり遠いのだ。

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※鄴攻めの戦いの際に昌平君が王翦に言ったのは、戦局によっては自分が考えた戦略は忘れてよいということであった。県はクラスター発生を阻止せよ、3密を避けよというが、地域の実情に合わせた戦略は現地の指揮者が考えないといけないのだ(写真は46巻より引用)。

本文を読んで気づかれたりしたことや、別の解釈をされた方は遠慮なくコメントを頂戴したい。現場の誰かを批判したりするつもりは全くなく、あくまでキングダムに感謝するイチ医者が書き留めた記録としてご覧になられたい。

Dr.RISHIN

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