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我が子の病気に無力な理由(言い訳)


家庭内での僕の立ち位置

僕たち医師は、
一般の方に比べ
こどもの医学や
からだのことについての
知識をもっていると思います。
(当たり前だけど)

僕はしがない一般内科医ですが
当然、小児学についても
座学をしたり研修を受けたりは
しているので、
ある程度子供の不具合には
医師としての対応の予測はつきますし、
病院に連れて行ったほうがいい場面の
察しもつきやすいと思います。


でもだからといって
家で子供が怪我をしたり
病気になった時に
頼りにされるのは
僕ではありません。

当然かもしれませんが、
母親であり、実家のばあばです(^^;)

というのも
子供の病気や怪我のことは
ともかくとして

子供は、
「痛い」とか
「しんどい」とか
「つらい」といった
感情に寄りそって欲しい場面
の方が日常多いので、

そういった対応に関して
僕は極めて苦手なんで
寄り付いてこないのです💦
(ツライ。。。)

その点、
妻やばあばは
繰り返し繰り返し
共感したりなだめたりしていて
本当に感心します。

僕にはこれがうまくできない。

僕の性格的な問題かもしれませんが、
これには少し訳があると思っています。

「共感」の大切さと危うさ

日常的に病気を患っている方や
苦しんでいる方に囲まれて
仕事をしているためか

いつの日か僕は
自分の感情と人(患者さん)の
感情の距離を
自然と保つ
ように
なっていきました。

共感」と「同情」を間違えると
自分まで病気になった気分になり
とても患者さんの事を考えるどころでは
なくなっていく感覚があったから
です。

医師になってしばらくしてから
「つらい」という感情は理解するし
そうだそうだと思いますが、
そのせいで自分まで暗くて悲痛な感情になったり
つらくて涙する
といったことはなくなりました。

これは僕が特別冷たい人間だから
なんだろうと思っていたのですが、

精神科の研修をしていたときに
指導医の先生にこう言われました。

「人間は共感の動物だから
自分と相手の感情の境目がわからないと
相手の感情に振り回されて
同調してしまうことがある。

例えば、
重度のうつ病の患者さんの感情に
寄り添いすぎて自分もうつ病になってしまい
仕事ができなくなった同僚もいたんだ。
だから、
相手との感情の距離を適切に保てた方が
僕たちの仕事はやりやすいし
続けやすい
よ。」

医師になろうとする人たちの半分くらいは
元来思いやりや共感力の高い人達だと
僕は思っています。
本当に人間として素晴らしい資質を持っているな
と学生時代にはよく思っていました。

でも、そんな人たちが
実際に仕事が始まって
どんどん変質していく様子も
数多く見てきました。

とても心優しく
いつでも丁寧に接していた共感性の高い
うつ病で自殺してしまった尊敬する先輩もいます。

僕が相手との心理的距離をはかるようになったのは
自己防衛本能からだったのだろうと思っています。

余白が生まれた事で意識できた

ただ、問題は
このスタンスを
我が子や家族相手になった時に
うまく切り替えられていない事でしょう(-_-;)

こうやって自分を振り返る時間ができてから
少しずつ意識的に切り替えるようにしていますが、

もし僕が激務の勤務医を続け、
日常のほとんどを医師として生活していたら
このような考えにはならなかったのかもしれません。

今はもう一歩相手の感情に近づいてみる練習中です。
これは日常診療でも少し意識していますし、
プラスの効果も生まれている気がします。

いい歳になりましたが、
まだまだ人生修行すべきことがたくさんありますね。

子供から学ぶことも本当にたくさんあります。

それでは、また。


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