見出し画像

(すべての方向け)大病院にいればいるほど、患者さんの方をむいていられなくなる訳


患者さんの大病院志向

以前にも似たようなことを書いたかも知れませんが、
僕が現在フリーランスとして
大規模な病院〜中小規模の病院やクリニックなど
様々な環境で働いていると

患者さんは有名病院や大病院が
医師よりも好きだなー
と思います(笑)

「俺は〇〇大学の教授に見てもらった」
「私の前の担当医は〇〇科の部長の先生でした」
「評判のとてもよい〇〇病院でみてもらいたい」

など、、、
毎日のように患者さんから言われます。

もちろん、日本はフリーアクセスなので
よほど適正でない場合を除いて、極力患者さんの希望を
かなえるように動くのですが、、、
内情わかってないんだろうなぁ
思ったりもします
(わからないのが当たり前ですね)

大病院勤務医のアタマのナカ

大病院では
臨床能力は
評価基準のひとつにはなるけど
そのウェイトは中小規模の病院に比べ
格段に低いんです。

大きな基幹病院では
どれだけ患者を救ったか
も、もちろん評価基準にはなるでしょう。

しかし、
教授や院長先生や管理職の方々をみても
失礼ながら臨床能力が極めて高いと思わせる方は
少数派なんですよね。

ただそういった先生方は
学術的なヒエラルキーの中では相当上位にいたり
学閥の中では相当力を持っていることがほとんどです。

そう、
医師の中の価値基準では
臨床能力は
あくまで1つでしかない
のです。

では
臨床能力よりも重要なものは?

たぶん、
「同僚や上司からの評価」でしょう。

ほとんどの臨床医は
なりたての当初は
より多くの患者を救いたい
よりよい状態にもっていきたい

と考えていると思いますが、

大きな病院に長年いると
だんだん
同僚や上司からの評価の方が
気になってくる
ではないかと思っています。
(もちろんそうでない
素晴らしい先生も稀にいらっしゃいますが😅)

というよりも、
普段の生活においては
同僚や上司の評価は
カンファレンスや学会や論文発表の際などで
常日頃からされるのに対し、

自分がチームの中でうまく立ち回れている
とか
自分のチームの臨床成績がよい
ということは
明示されたり、褒められたりすることはないので
極端な話、
やめるときになって初めて
自分の評価を知れたりするんですよね(^^;)

(まぁでも以前にも書いたように回り回って
自分が評価されていることは役に立ったりもしますので
無駄だとは思いません!)

最近、一般企業では1 on 1
外部コンサルタントと対話して
客観的な立場の他社から評価を受けたり、
自己認識を深めたり内省する

なんていう試みもあると聞いています。
とてもよいことですね。

僕が所属していた病院でも
メンターと面談する
というカリキュラムはありましたが、
普段の上司がメンターになっていて
言えることはあまりなく
効果はほぼなかったです😅

話を戻して、、、

もちろん患者さんからの感謝の言葉などは
あるので、評価がまったくないわけではありません。

ただ一方で、
自分のプライベートな時間や
多大な労力を割いて
過去の事例や論文を調べ上げ、
ベストな治療を施したとしても
思うような結果が出ず、
患者さんや家族からクレームが直接くることもあります。
(絶対に失敗しない医師は現実にはいません)
また、
病院内部の事情で
ベストだと思った治療が選択できない

ということもまぁまぁあるでしょう。

どんな職業でもこういう事はあるでしょう。
何も医師だけが特別ではないと思っています。

でも
医療に関するクレームは
訴訟に発展することもあったりするので
1撃がけっこう重たいんですよね。。。
その結果、
報酬と負債のバランスはどんどん崩れていき

「自分は患者さんに尽くしても評価してもらえない」
という認識になってしまうことは多いように感じます。

実際、
これまで何人もそういった負のスパイラルに
陥っていった同僚を見てきたし、
自分自身も危ういところだった
と思っています。

患者ファーストを貫き続ける難しさ

結果として、
大病院の勤務医は必然的に
医師同士のヒエラルキーのより上位に立ちたい、
そのための行動により熱意と時間を割いていく
ことになりがち
です。
かくゆう僕もそうだったのではないか
と振り返って思います。

自分の担当患者さんをないがしろにしている
つもりは毛頭ない
のですが、
こういう状況下で
全身全霊で目の前の患者さんにだけ
取り組めるかといわれると
難しいよなという本音もあります。

これが患者さんの大病院志向の
最大のデメリット
だと思っています。
(もちろん中小病院やクリニック特有の
デメリットもたくさんありますが)

もしこれを読んでくれている医療従事者の方
で同じような境遇の方がいたとすれば、
今の認識は
かなり環境によって歪められている
のかもしれない

と改めて考えてみてもらえればうれしいです。

それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?