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僕がクリニック開業しない理由 3


僕がクリニック開業しない理由

前回の続き。

今回でこのシリーズはいったん最終回にします。

理由4 人間関係の悩みとストレスが常につきまとうリスク

これは皆さんも聞いたり見たりしたことがあると思いますが、
僕の周りの開業医の皆さんが1度は必ず経験しているのが
・スタッフ同士のトラブル
・無断離職、休職などによるトラブル

です。

なかでも一番恐れるのは
スタッフの"集団化"です。

クリニックで働くスタッフの多くは女性ですが、
女性特有のコミュニケーションスタイルで、
良くも悪くも集団化しやすい
というのがあるそうです。
この集団ができてしまうと、
うまく回る時はいいのですが、
集団同士の争いに発展してしまうと。。。

いっぺんに離職されては大変なので
院長は必死に仲裁することに追われます。

また、集団化したスタッフの不満の矛先が
院長に向かう、というのも稀ではないようでして(^^;)

僕はただでさえ
これまでの人生で
そういう人間関係が苦手でしたので、
話を聞くたびに
むいてないなぁ
と思ってしまうのです。

理由5 周辺住民から常に"監視"されるリスク

これは特に職住近接している場合、
つまり自宅とクリニックが近い(または併設)している場合
に問題になることがあるようです。

僕の住んでいるような地方では
地域の中高年の皆さんの間では、
びっくりするくらい
口コミ情報が早く出回ります。

先日はある高齢のクリニックの先生が
病気で入院したそうで、
「〇〇病院の〇〇先生が△△でどこどこに入院してるらしい。
もうご高齢で跡取りもいないから、、、」
というのを入院して1日しか経っていないのに
僕に教えてくれました💦

新規開業しているクリニックでは、
安心と信頼を獲得するために
院長の顔写真やプロフィールなど
公表している
上、
「開業している医者は儲かっている」
という固定概念も手伝って、
地域では嫌でも目立つ存在です。

したがって、良い噂も悪い噂も立ちやすいんですね。
別の言い方をすれば
常に地域住民から好奇の目に晒されている
といっても良いと思います。

これはほとんどの方にはストレスになるでしょう💦
「落ち落ち近所の居酒屋にも入れない」と言っていた
院長先生の話を思い出します😅

理由6 医業以外の圧倒的な事務仕事量に追われる

事務作業って好きな方いますかね?
僕は大嫌いです(^^;)

大きな基幹病院では
・レセプト作成&チェック
・医療品+事務用品の物品発注
・スタッフの勤怠管理、給与計算&振り込み処理
・スタッフの採用面接&選定
・広告掲載打ち合わせ
・年末調整、決算処理
・近隣施設への挨拶回り

などはすべて医師以外の事務員さんや院長先生がやってくれています。
(勤務医がやることといえば源泉徴収票をちょこっと書くくらいでしょう)

開業するとこのほぼ全てをやることになるわけですが、
僕の同年代で開業したほぼすべての友達は
このことを甘く見ていたと後悔しています。
(まぁそのうち慣れてくるのでしょうけど)

僕は小さな法人を持っているので
勤務医のみをしている時よりも
少しは上記の大変さを理解しているつもりですが、
開業医の先生の大変さは比べるまでもありません。

例えば
決算処理などは
税理士に丸投げしておけばいい

と思う方もおられると思いますが、
残念ながらそんなことはありません!

最低でも月1回は会って
・経費の勘定項目についての確認
・減価償却するべき資産の確認と書類作成
・未提出の資料がないかの確認や再提出

行い、決算期には
・銀行提出用の決算書の作成の草案とブラッシュアップ
が待っています。

大部分の実務作業は代行してくれますが、
イチイチ判断していくだけでも
かなりの時間を要します。

またスタッフ採用のためには社労士さんとも
いろいろ相談していくことになりますし、
個々の状況に応じて勤務条件を変更していったり
契約を更新したり
と、

まぁおよそ1人でできる仕事量ではないのでは。。。

話を聞くだけでも僕はゲンナリしてしまいます。

理由7 借金返済に追われる感覚

様々な情報から
開業にかかる費用は、
個人の背景状況やその科の特性によって
かなりばらつきがありますが、

医師家系でもない僕が
もしも既存のテナントを借りて
改装して新規開業するとしたら
(事業継承は考えない場合)
少なく見積もっても
おそらく3000万円~5000万円の
借入が必要になるでしょう。

事業の多くの場合は、返済期間は10年です。

仮に5000万円を金利2%、返済期間を10年とすると
月に46万円の返済になります。
月々の固定支出として、
スタッフ4名(事務2名、看護師1名+パート看護師1名)の
人件費概算は最低でも月100万円程度はかかってくるでしょう。
そのほか
・スタッフの社会保険料負担
・光熱費やテナント代
・器械のリース代

などもかかってくるはずですから。。。
毎月の返済額は相当になるはずですよね。
これが完済するまでは毎月毎月押し寄せてくる。


体が元気で
クリニックが軌道に乗っていれば
全然問題ないのでしょうが、、、

理由2にも書いたように、
ほぼこういった新規事業の立ち上げなど
未経験の素人がチャレンジするには
かなりロットが大きいように感じてしまいます
😅

以上になります。

以上の理由から
僕は開業医の先生が
勤務医の何倍も稼いでいても
当然だろうと思います。

ハイリスク、ハイリターン
なのですから。

僕にはその胆力がなかったわけですね。
もちろん、今後この考え方は変わるかもしれません。

ご参考になれば幸いです。

それでは、また。


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