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僕がクリニック開業しない理由 2



前回の続きです。

僕がクリニック開業しない理由

理由2 圧倒的に不利な状況での起業である事

よく言われているように、
開業とは、起業であり、
新規クリニック開業の医院長というのは
ベンチャー企業を立ち上げる社長
とほぼ同義
だと
僕は考えています。

起業をするためには、
最低限
・理念
・顧客マーケティング
(ターゲットとなる顧客のペルソナ設定や集客範囲、単価設定など)
・人事に関するノウハウ
・経営戦略(どうやって同業他社と差別化するのか)
・提供できるサービスの選定
・店舗運営のノウハウ
・税務

くらいは考えていく必要があると思います。
このうち、
僕たちがこれまで長々と鍛錬を積んできたのは
提供できるサービス=医療 の質の向上

のみでしょう。
事務処理はやっていたとは思いますが
大半は病院事務の方が処理していたり
会計業務もレセプト請求も
僕は全然やってきませんでした。
税務に関してもせいぜい確定申告する程度。
顧客マーケティングに関しても、
人事に関しても、
経営戦略に関しても、、、
ほぼすべての領域に関して
ズブの素人な訳です。

そのため多くの開業医の方は
開業立ち上げサービス提供を行う業者の利用や
門前薬局との共闘作戦

を前提に立ち上げ準備を行う訳ですが、
提供された資料やデータを
はたしてどれだけ経営者目線でジャッジできるでしょうか?

鵜呑みにして
開業して、もし外れても
誰も責任をとってくれません。
サラリーマンと違って、仕事は降ってはきません。
客が来なければ廃業なのです。

このプレッシャーは相当なものだと思います。

さらに今後は開業する医師は増えると思います。
働き方改革の影響で、
当直やバイトで食いつないでいた
大病院の勤務医や大学病院の医局員の
大量離散のリスクが高まるため
です。

この圧倒的不利な状況での起業となれば、
そうとうな経営戦略を練らなければ
勝ち残り続けるのは
今後難しくなってくるのではないかと思います。

もし僕が取り組むとすれば
・顧客マーケティング
(ターゲットとなる顧客のペルソナ設定や集客範囲、単価設定など)
・人事に関するノウハウ
・経営戦略(どうやって同業他社と差別化するのか)
・店舗運営のノウハウ
・税務

これらの領域に対する勉強や調査に
数百時間の時間と費用を
費やす必要があるでしょう。

これは簡単なことではありません。

理由3 ブランドが使えない

これは理由2にも関連することですが、
僕たちが基幹病院や大学病院で診療をしていると
常に外来に患者は溢れかえり、
逆紹介してもしても外来患者は膨らむ一方で、
入院待ちの患者のコントロールに精神をすり減らし
絶え間ない緊急入院に忙殺されることになります。

そこで働いていた期間が長ければ長いほど
"自分"には患者がついて来る
という感覚が無意識のうちに刷り込まれるのは
当然だと思います。
僕もそうでした。

しかし、一度出てみると分かりますが、
どんなに自分のファンだといっていた患者さんでも
その病院の肩書がなくなった自分に
ついてきてくれる人はびっくりするくらい少ないのです。

そして今までと同じことを言っていても
患者さんに対しての説得力は
半減してしまいます。

病院というブランドに
皆かかっている訳です。

この傾向は僕たち医療者が思っているよりも
強く、強固で、抗えないものです。

開業をして患者を獲得するというのは
新しいブランドやコミュニティを立ち上げて
買いに来てもらうくらいの一大イベントなのです。

ノーブランドの新規開業医が
どのようにセルフブランディングするのか
いろんな面で常に情報を収集、アピールしていかないと
すぐ追随する同業他社に顧客を奪われることでしょう。
(患者さん達はあっさりかかりつけ医を変えます)
まさに生馬の目を抜くような世界です。

どうだったでしょうか?
僕の考えるリスクはこれで終わりません。
まだまだ続きます💦

それでは、また。

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