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不思議な葉っぱ

これは私が中学生の頃の話。私は、部活が終わって家へ帰る途中だった。帰り道の最後の方は、1km以上の連続した登り坂。ママチャリでは立ち漕ぎでもキツく、いつも諦めて押し歩きをしていた。そして、旧道と合流する場所で休憩する。旧道を通る車を見たことはなく、居るとしてもきっと林業など必要に応じて入る程度だろう。だからこそ、その旧道への分岐点はちょうどいい休憩地点となっていた。
自転車の押し歩きに疲れていた私は、溜まっている落ち葉に目をやる。すると、その中に不思議な葉っぱがあった。落ち葉といえば大抵は茶色だが、その葉っぱは白かったのだ。
白い葉っぱといえば、理科の光合成の実験で見た、斑(ふ)入りの葉を想像するかもしれないが、あれは一部が白いのだ。その時見付けた葉っぱは、全体が白かった。

そう、それは葉っぱの葉脈だけが残ったものだった。
重曹を入れて葉っぱを煮ることで、葉脈だけの葉っぱ「スケルトンリーフ」を作ることが出来るが、その時見付けたそれは天然のスケルトンリーフだった。
あれから、もう一度だけ天然のスケルトンリーフを見たことがある。だが、歩くより遅いペースで探さないと見つけられないもので、成人してからは一度も天然のスケルトンリーフを見掛けていない。それは思い出の栞のようになってしまった。