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#136 ゲゲゲの女房(2010)-延々と続く貧乏エピからの脱出で感涙

NHKアーカイブズ紹介文

昭和30年代、島根・安来。10歳年上の売れない漫画家・村井茂と見合いをし、わずか5日後に結婚した飯田布美枝。新婚生活はどん底の貧乏。それをまったく気にせず漫画と格闘する夫の姿に「この人とともに生きよう」と決意する。漫画家・水木しげるの妻の目から見た、夫婦の歩んだ長い道のりの物語。

ドラマの大半が『貧乏』

当時のNNKの朝ドラは、全26週×月~土=156話構成でした。その26週のうちの15週までが極貧生活の連続でした。特に茂(向井理)との結婚のため、布美枝(松下奈緒)が調布に引っ越してきてからは、貸本漫画が売れず、戦記物の詐欺に遭ったり、先輩紙芝居士に有り金全部渡したり、家を追い出されそうになったり、貧乏神に取りつかれたりと、散々でした。このあたりは、水木しげる大全集にも忠実に描かれていました。調布の質素な家も実物に忠実に再現されていたようです。散々待たされた後の成功(テレビくん、悪魔くん、ゲゲゲの鬼太郎)に涙した視聴者も多いことでしょう。

自転車でよく深大寺でデートしてましたね~

優しい感動(1)

まずは前半部、布美枝の生家の描写が素晴らしかった。厳格で人情もろい父親(大杉漣)、一家の大黒柱的存在の母親(古手川祐子)、第1週のキーパーソンのお婆(野際陽子)。この3人と布美枝との関わりがとても和やかで癒されました。お婆が亡くなって精霊流しをした際に号泣した大杉漣さんの演技は迫真でした。また、いまでは「朝ドラあるある」ですが、亡くなったお婆が以降のナレーションを務めたのも粋な計らいでした。

あまりにも早すぎる退場でした

優しい感動(2)

娘の生活を心配して上京した父親(大杉漣)に対し、貸本漫画仲間が茂の良いところを見せようと画策しますが、父親にウソを見抜かれ険悪な関係に。ここで布美枝の名台詞「うちのお父ちゃん(茂のこと)は…」が飛び出し、父親はすべてを理解し、安心して故郷に戻ります。極貧生活続きの16週のド真ん中の第8週でのこの演出。視聴継続意欲を大いに掻き立てられました。

この後にあの名台詞が…

優しい感動(3)

茂の才能に惚れ、ずっと支援してきたのが戌井慎二(梶原善)でした。テレビくんが表彰され、一気にスターダムに上がった茂の祝いに多くの仲間が訪れた際、気後れして家に入れなかった戌井を茂が個人的にもてなします。極貧生活を乗り切った二人の友情に胸が熱くなりました。

なくてはならないバイプレーヤー・梶原善

優しい感動(4)

このドラマの軸であった厳格な父親(大杉漣)も最終週には介護状態になり、最期は家族に看取られて亡くなります。序盤で母親と死別し号泣する漣さん、終盤で穏やかに家族と別れる漣さん、存在感抜群でした。

いいお父さんでした(涙)

優しい感動(5)

よく「伏線の回収」と言いますが、このドラマでの回収も見事でした。第1話で森の中で妖怪ベトベトさんに追われる幼い布美枝を青年が救います。

初回に貼られた伏線

その青年が実は茂であったことを、最終回で布美枝が思い出します。ふたりがその想いを共有するところで「完」となります。とても余韻のある終わり方でした。泣けたなぁ。

最終回で回収された伏線

ありがとう(いきものがかり)

良い楽曲でした。ドラマの内容、楽曲中の映像(自転車)とピッタリでした。朝ドラの復権(視聴率復活)に相応しいシンボルとなりました。

最期になりますが、聖地巡礼、やってきました。鳥取・境港の水木しげるロードと調布の商店街を訪れました。とても叙情豊かでした。

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