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#137 秘密(2010)-切なさの極致にあなたは耐えられるか?

テレ朝紹介文

ごく平凡な3人家族を襲った突然の“悲劇”。 すべてはその瞬間から始まった。 妻と娘を乗せたバスが崖から転落。 妻は死亡し、娘は奇跡的に助かる。 ところが… そのとき誰もが想像すらしなかった事態が起こっていた。 助かった娘の体には妻の魂が宿っていたのだ! その日から、一家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まる。大人気作家・東野圭吾氏がブレイクするキッカケとなった感動のロングセラー傑作長編ミステリー『秘密』。 母親の魂が宿った女子高生・杉田藻奈美を演じるのは志田未来。 そんな娘(=妻)の存在に大きく揺れ動く男・杉田平介役には佐々木蔵之介。 25歳差の演技派2人を迎えて珠玉の名作『秘密』が連続ドラマとなって蘇ります。妻の魂だけが娘の体に入り込んだとき夫の妻への愛、娘への愛はどう変化していくのか。 「人生が終わった」と一度は感じた妻は愛する娘の可能性を消費してしまえるのか。 「伴侶を失った」と一度は絶望した夫は愛する妻の苦悩を理解できるのか。

原作は知らんけど

妻(石田ひかり)の意識を宿してしまった女子高生の娘(志田未来)と父親かつ夫(佐々木蔵之介)の関係性の切なさに号泣必定。夫婦としての会話は成立するが、愛し合おうとしても、目の前の相手の身体は女子高生。苦しむ父を見て、自分の意識から母親を追い出し、娘として、父親との関係を取り戻そうと努力する娘。これが前半のキモでした。高校生の身体のまま、母親の意識を演じ切れる天才子役・志田未来の才能に驚愕しました。

事故に遭う直前、バス乗車を見送る風景

後半の展開がヤバい

母親の意識と娘の意識が交互に現れるようになり、父親(=夫)との会話を成立させるため、変わりゆく記憶を日記に書き留め、何度も見返しながらふたつの記憶を維持しようとする娘。そして意識交代の間隔が短縮化し、徐々に母親の意識が消えつつあることを自覚し、おそらく母親の意識が完全に消えるであろう時期を測って、夫婦の思い出の地・山下公園でデートを楽しむ中、やがて訪れる最期の時。静かに眠りに落ち、母親の意識が途切れる。ここで終わっても良かったのに、もっとすごい展開が待っていた。

母親の意識が時切れ寸前のデート

秘密の意味

周囲の人に悟られてはいけない秘密。ひとつは、妻であり娘である志田未来と夫であり父親である佐々木蔵之介との関係。もうひとつが、交互に意識が入れ替わり、やがて娘に戻っていくプロセス。これらが「秘密」の本質だと思って見ていたら、もうひとつ、戦慄の秘密が待っていた。ドラマ中、母親の意識を取り戻した娘が夫との思い出の指輪をぬいぐるみから取り出して懐かしむシーンが何度もある。このシーンの描写は日記には書かれておらず、娘の意識の中には存在しない。しかし、娘(志田未来)と伴侶(田中圭)の結婚式の際、父親(佐々木蔵之介)は娘の指に光り輝く思い出の指輪に気づく。その父親をまるで妻のような面持ちで見つめる娘。
え、え、えーーーーっ、となった。

重大な秘密に気づき、フリーズする父

考察が入り乱れて思考がマヒ

山下公園でのデートを終え、数年後の結婚式に至るまでの間に妻の意識が完全に戻ったのか、それとも、断続的に戻り、それが結婚式の機会に合致したのか?もしそうならSFと言える。しかし、もしずっと妻の意識なままで、父親を安心させるために、妻の意識が消えたような演技をしていたのなら、その優しさに胸が熱くなってしまう。どっちやねん!?と悩みつつも、余韻を楽しむため、私は後者の考察を選択した。

騙されたと思って観て泣いて欲しい隠れた名作!


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