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『プリズム』参加者レポート(17)

レポート作成者:山川恭平 さん

ワークショップというと、講師の人が居て、その人から技術なり助言なりを貰う、という形になりがちで。WSでないお仕事の現場でも演出家なり監督なりの言うことを聞く、もしくは顔色を伺う、トップダウンのやり方にどうしてもなりがちです。
でも創作って本来良いものをみんなで創りたいってだけなので、立場で上下関係が生まれるってのはおかしな話で。それでも人は悪意がなくても、空気を読まねばという空気を醸成しがちで。
それを最初から意図して無くそうと、主催者の我々もフラットに!と宣言されてるドラマチック界隈のコンセプトに強く賛同の気持ちを覚えたので参加させて頂きました。

講師はエンニュイの長谷川さん。台本を使ったWSがとりあえず大筋が合っていれば良くて、語尾や細かい言い回しは変わってよし、何ならその時の気分や体調によって思ったことを瞬間的に言って脱線しても良い、という内容でした。目的としては役と演じている役者本来のパーソナリティを混ぜていく、といったことでした。エンニュイの公演は失礼ながら未見だったのですが、凄く芸人さんらしい発想だな、と思いました。漫才を作る時の感覚に近い気がする!と。漫才作ったことないけど。

台本を読む前にとりあえず漫才やってみようのコーナーも良かった。初対面の方と自己紹介を兼ねながら漫才をやる、という内容で、相手のことを知らないから相手のことを引き出さないといけないし、自分のことも適度に語って相手に伝えないといけない、なおかつそのやりとりの様子を見ている人たち(他の参加者たち)に漫才としてお届けしないといけない、と文章にしてみるとなかなか高度なことをやっていた気がします。でもその日の参加者たちの空気として、聞く耳を皆さん持ってる感じがあったので、安心してやれました。相手を必要以上に傷つけたり貶めたりするのはナシ、というルール付けも良かった。

10年以上も演劇をやっていると、どうしても「〇〇しなければならない」という呪いに幾つもかかっていて、しかも自分でも無意識にかかっていることも多くて、それに気付いて愕然とするということが多いです。なので、最近の個人的なテーマとしては「自分にかかってる呪いを外して自由になりたい、のびのび表現したい」を掲げています。今回のワークショップは台本はあるけれど台本から離れても良い、という内容だったお陰で、「役者は台本の台詞を一言一句間違えないように言わないといけない」という呪いから解放された気分になりました。その気分のまま、改めて台本通りにお芝居を作ってみたら、またどうなるのでしょうか。
ルールを呪いにして自分の考えをどんどん凝り固まった方向に持っていくのではなく、制約の中で自由を見つけていく柔軟さを常に持っていきたいな、と思った次第です。

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