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生産者の顔が見える

生後半年の娘がいる。
離乳食を1ヶ月ほど前に始めたばかりだ。

食べさせているものといえば、お米や野菜をペースト状にしたもの。
そして、離乳食に限らないが、我が家の食卓に並ぶ野菜はすべて近所の無人販売所で購入したもの。つまり、近所の人が作ったもの。

無人販売所とは言うものの、生産者の方が店番をしている時もある。特に私は週末に野菜の買い出しに行くので、彼らと顔を合わせる機会が多い。そんな時は他愛もない会話を交わす。娘を連れているので、たいていは「〇〇ちゃん、もうにんじん食べれるのかい?」などと、娘の離乳食の話題になることが多い。


日本人は食品の安全性にうるさい。トレーサビリティーという言葉もかなり昔から耳にする。スーパーでも、ファミレスでも、ハンバーガーチェーンでも、食材の安全性をアピールしようと、生産者の写真がでかでかと掲げられている。だが、食事をする時に、生産者の顔が浮かんだことあるだろうか。このレタスやトマトはこんな人が作っているんだーとしみじみと思い返したことがあるだろうか。少なくとも私は一度もない。なぜなら、顔(容姿)は見えてるけど、顔(人間性)が見えないから。

今は顔がはっきりと見える。
だから、野菜をすりおろしている時、自然と生産者の顔を浮かべながら感謝している自分がいる。もう少し娘が大きくなれば、彼女も”あの人”が作った野菜だということを理解するだろう。そして、食物への感謝の気持ちが当然のようにわいてくるはずだ。

一方で、作り手側にとっても、食べる人の顔が見えるというのは良いことだ。赤ちゃんが口にするもの、育ち盛りの子どもが食べるもの。より安全で美味しい野菜を届けたいという気持ちになるはず。こうして信頼関係、好循環が生まれる。

無人販売所で野菜の盗難に悩む農家がある、というニュースを以前に耳にしたことがある。これ、犯人は地元の人ではないと思う。だって、精魂込めて畑を耕している姿を少しでも目にしていれば、どんなに空腹だったとしても、とても手をかけられない。
一方で、数年前から流行っている、グリコのお菓子のオフィス販売。あれの回収率は90%代前半、という記事を見たことがある。つまりお金を払わずに、お菓子を持って行っちゃういい大人が数%いるということだ。なぜ、こういうことが起きるかといえば、生産者(困る人)の顔が見えないことが要因の一つだと思う。子どもの頃、駄菓子屋で万引きする悪友がいたが、私はブレーキがかかった。それは、バレたらどうしようというハラハラ感からではなく(実際隙だらけだった)、後で盗まれたことに気づいたら、おじちゃん悲しむだろうなという想像力が働いたから。

人間の性善説と性悪説。
それぞれに言い分があり、どこまで行っても結論は出ないと思う。
この無人販売というシステムにしたって、「日本以外じゃ成り立たないだろう」と勝手に思い込んでいたが、調べてみたらどうやら海外でも同じような事例があるそうだ。

結局、何が言いたかったのか収拾がつかなくなってきた。
妻の実家に近いという理由で引っ越した、都心の職場から1時間30分かかる我が家と生活。最初はデメリットばかりが目についたけど、今はかなり満足している自分がいるということだけは確かなのだ。


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