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じゃない方の「De Tomaso」

みなさんこんにちは! 乗り物の話になると長くなるドリガレです。
DREAM GARAGEに納めたい2台目の車は・・・
じゃない方の「De Tomaso」で有名なこの車です!

ダイハツ シャレード DeTomaso

う〜ん 痺れますね〜
ハッキリと押し出したキャラクター感
いかにも走るぞ!っと感じさせてくれますね。

ダイハツ CHARADE DeTomaso

初期型のシェレード自体も動体数は極小と思われますが、このDeTomasoグレードに至っては今や現存車は国内に2〜3台と思われます。
発売当初は結構売れた車でして、ドリガレの住む町内だけでもこのDeTomasoグレードが同時期に4台いました。 そのくらい人気があったんですけど どこへ行ってしまったのやら。

シャレードってこんな車

ご存知の方も、ご存知ない方もシャレードを軽く振り返ってみましょう。

初代シャレードは1977年のデビュー。
シャレードという車名はフランス語で「謎解き」という意味だそうです。
ネーミングの由来は『新しい時代の、車のあるべき姿を解いた車』ということらしいです。 新しい時代の車のあるべき姿はどんなか?という部分が『謎』という意味合いのようですね。
今となってはその意味合いも謎が深まるばかりですが・・・

そしてデビューから5年が経ち、シャレードが大掛かりなアップデートを行った
1981年に事件は起きます! ダイハツがエラいものを出すぞ!と超話題となった事件。

そう今回のテーマとなる「シャレードDeTomaso」が東京モーターショウに展示されました。
DeTomasoといえばスーパーカーを語る上では外せない珍車!・・・
改め、エキゾチックカーです! そのDeTomasoの名を冠した小型車なんて
当時の若者が鼻血を出して狂喜乱舞したとかしないとか。

ドリガレの近所のお兄さんたちも鼻息荒めで自慢げにいつも洗車してたなぁ〜

話を車に戻しましょう。
シャレードDeTomasoのベースとなったのは初代シャレードG10系の最後期モデル
ちなみにベース車両はこんな感じ
↓↓↓

初代ダイハツシャレード 後期型


全長 3460mm
全幅 1510mm
全高 1360mm
ホイールベース 2300mm
車重 630~660kg

この時代では当たり前でしょうが、今の感覚からするとめちゃくちゃ軽いですね!

エンジンは
水冷直列3気筒 OHC6バブル ターボチャージャー(IHI製)
排気量 993cc
最高出力75PS/5500rpm
最大トルク10.5kgf-m/4000rpm

今となっては大した事のないエンジンのようですが、当時の工業地帯の接続道路や河川敷の直線道路では、フロントタイヤをホイルスピンさせながら
カッ飛んでいたお兄さん達がたくさんいましたし、その顔は結構必死の形相でしたので、なかなかパワフルに感じたんだと思います。

残念ながらドリガレは2代目DeTomasoこと3世代目のシャレードベースのDeTomasoにしか乗ったことがないので、初代をぜひ当時の性能で体験してみたいものです。

初代シャレードDeTomasoの痺れるポイントがいくつかありまして

まず、目に飛び込む赤と黒のマッチョなカラーリング! もちろんイメージソースは、本家 DeTomasoパンテーラGTSです!

DeTomasoパンテーラGTS

さすが本家! パンテーラの話はまた別の機会に!必ずや!!!

話をシャレードに戻しましょう。
赤に黒のボトムライン なかなか日本のデザインでは採用しなさそうなこのツートーンカラーリングがたまりません。

そしてシャレードDeTomasoの痺れるポイント、続いてはホイールです。
こちらも本家にならってカンパニョーロホイールです。


しかもマグネシウムホイールという本気っぷり!
なんと装着タイヤは当時のスーパースポーツ御用達のピレリP6です!

そしてステアリングはMOMO社の3本スポークを採用

やはりエアバッグなしのMOMOステアリングは美しいです


シートも専用デザイン、サポートが強めのリクライニング式セミバケット
シートにはDeTomasoの刺繍が入ります。

シートも赤黒のツートーン 見えにくいですがDETOMASOと刺繍されています

どうでしょう、誰もが手が届きそうなコンパクトカーに、DeTomasoというエッセンスをぶち込み奇跡のケミストリーが生まれたこんな車。
あぁ乗りたい。

スッキリとしたデザインのシャレードにとてもよく似合ったコラボレーションだったなとつくづく思います。

奇跡のコラボが生まれた背景

ダイハツといえば、1969年にトヨタ傘下に入る以前から独特のポジショニングで素晴らしい車を世に出していました。
モータースポーツへの参加も積極的なメーカーで、トヨタ傘下入り直後も
当時の大衆車コンパーノをベースに「ダイハツP-3やP-5」といったレーシングカーで海外勢を迎撃する高性能車を排出していました。
とはいえ・・・・
時代は流れて1980年代。 日本車が世界一の生産台数を記録した時代とは言っても、傘下入りをしたメーカーです。

それが当時の名門イタリアンスポーツカーとコラボなんて!不思議ですよね。
このコラボにはDeTomaso側のとある事情がありました。

イケイケのDeTomaso

1975年以降のDeTomaso社はそれまでの高性能車開発だけではなく、ビジネスとして次のフェーズに入っていました。 DeTomaso社によるイケイケの企業買収が盛んになった1970年代後半から1980年代は、なんとあのマセラッティやバイクの名門ベネリ、イノチェンティ社を次々に買収していきました。
マセラッティは言わずと知れた、イタリアンエキゾチックカーの名門
ベネリは今でもマニアがたくさんいるイタリアンバイクメーカー
そして当時のイノチェンティはイギリスのBMC miniのイタリア版ノッキング生産企業といったところ。
イノチェンティ社は企業としても車としても特に目立ったところはないのですが
このイノチェンティ社買収がなければ、後のシャレードDeTomasoも誕生しなかったと言える重大トピックなのです。

イノチェンティ社を1976年にDeTomasoが買収(一部国営)
1977年にはイノチェンティミニにDeTomasoグレードを設定して、この雰囲気が後のシャレードDeTomasoのエッセンスと言える仕上がり。

ー余談ですがー
日本にはこのイノチェンティミニDeTomasoがガレージ伊太利屋によって結構な台数が輸入されました。 1980年代後半には東京都内や横浜エリアで意外なほど頻繁に見かけることができました。
小さな躯体に野太いエキゾーストはミニらしいそれですが、角目ライトやエッジの効いたシルエットがとてもモダンで素敵な車でした! いい時代だ。

イノチェンティ・ミニ DeTomaso


運命の時はジワジワと近づいてきます。 イノチェンティを買収したものの肝心のエンジン供給に困ったDeTomaso社が頼ったのが小型車開発に実績のあるダイハツでした。
ダイハツとしても、これは最高のチャンスだったでしょう。
トヨタ傘下に入って以降、なんとなく目玉のない日陰を歩むようなムードが長かったダイハツにとって、シャレードDeTomasoはとてつもない起爆剤になったはずです。

DeTomaso社はエンジンを得て、ダイハツはアイコンを得た双方win-winなコラボのではないでしょうか。 ドリガレから見たらwin-winどころかダイハツに大きな遺産を残せたのではないかと思います。

ダイハツの変態っぷりがすごい

大人気を得たシャレードDeTomaso誕生から3年 ダイハツはこの勢いに乗って
シャレードでWRC(世界ラリー選手権)を目指します。
しかも目指すクラスは「グループB」そう!ラリー界のF1と言われたグループBをシャレードで目指しました。
しかし993c cの既存ターボエンジンでは格上の1600c cクラスの車とガチンコ対決となり不利は目に見えていました。 そこでダイハツはシャレードの排気量を下げる方法を取ります。
そうして誕生したのが「シャレード926ターボ」です。

ダイハツシャレード926ターボ

シャレードDeTomasoのような派手さは一切なく、まさにホモロゲートカーとしてのシンプルな佇まい。 ノーマルと見分けられるのはサイドデカールと前後のターボバッジ、そしてバンパーに入る細いホワイトラインだけというシンプルさ。

グループB参戦を目指すダイハツには、どうしてもこの車を誕生させなければならない理由がありました。
その話はもう少し後にすることにして・・・・

シャレード926ターボについてサラッと解説します。
エンジン 926c c シングルターボ
最高出力 70馬力
最大トルク 11kg -m

あれ?って思った人【鋭い!】 シャレードDeTomasoの諸元と見比べれば一目瞭然 なぜか5馬力落ちている。 こんなエンジンでグループBを本気で目指すのか? もちろんこれには裏があり、メーカー公表値というのはいつの時代も鵜呑みにできないもので、実際にはこのシャレード926ターボ、120馬力ほどの出力を誇ったそうでかなりピーキーなエンジンだったそうです。

このエンジンには、燃焼室経の小さい海外仕向エンジンが使われ、ピストン、ピストンリングは専用のもの、カムシャフトは高速使用に耐えるものが使われたいわばスペシャルエンジン。 ただのダウンサイジングではなかったんです。

そうまでしてこのシャレード926ターボをダイハツが作り上げたのは・・・

超魔改造シャレード

ダイハツが愛情たっぷりの変態っぷりを最大限に発揮して作り上げたのは
「シャレード926R DeTomaso」

シャレード926R DeTomaso

オリジナルの面影が残りつつもスーパーマッチョなブリスターフェンダーでアピールマックス。
そして後輪の少し前方上側にある二つの穴に注目です。
鋭い人ならもうおわかりですね! そう何を隠そうこの「シャレード926R DeTomaso」はリアエンジンなんです。 正確にいえばリアよりも少し前にエンジンが載っています。
先ほどの926ターボ同様のエンジンをリヤミッドに搭載してテスト走行では200キロを超す速度でかっ飛んでいたそうなのでかなり高性能だったはずです。

しかし、時代の神様というのは意地悪なもので・・・
この「シャレード926R DeTomaso」が世に出る前に、グループBは度重なる大事故でカテゴリーが消滅。 そして日本も徐々にバブル崩壊へと向かい始め残念ながら市販車の販売も実現せず存在も消滅してしまいました。

たらればですが、ルノー5ターボⅡやMGメトロといった庶民派ホットハッチの魔改造軍団の中でどんな戦いを見せたのか、見てみたかったですね。

現在トヨタから発売されているGRヤリスなんかはむしろシャレード926R DeTomasoの焼き直しとも言えるかもしれませんね。

がんばれダイハツ

このようにダイハツって魅力的な車を作れるメーカーです。 そしてスポーツカーとして高性能車を作る高い能力も持っています。
最近の不祥事でダイハツは窮地に立たされていますが、こんな時こそ本来の車づくりを取り戻して、「トヨタ傘下のダイハツ」ではなく「ダイハツらしいダイハツ」として改めて魅力的な車づくりをしてほしいなと、いちファンとして強く願います。

では、ドリガレ的に何を選ぶか?
魔改造シャレードも気になるところですが、やはりここはオリジンこそ最高ということで
シャレードDeTomasoをDREAM GARAGEに入れたいと思います。


何度見ても、このバシッとハッキリしたキャラクターがしびれますねー。

さて、DREAM GARAGE第2回は「ダイハツシャレードDeTomaso」を取り上げました。
あなたの妄想ガレージにも追加してみたくなりましたか? 
初代シャレードの魅力が伝わっていたら幸いです。 
ではまた次回 ドリームガレージでお会いしましょう!
ドリガレの長い話に最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。


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