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我ニ追イツクグラマンナシ~それから2 by 御美子

ここは、おかまバー「しろうさぎ」。
カランコロン。
「お邪魔します」
「あら、待ってたのよケイさん」
「自分を待っててくださったんですか?」
「ええ、ケイさんの意見を聞いてみたくって」
「自分に分かることでしたら、何なりと」
「あの世にも伝わってるかしら? 2023年度の日本の防衛費のこと」
「防衛費が倍増したそうですね」
「そうなのよ。ケイさんたちが特攻隊員役で映画に出て、戦争の悲惨さを訴えたのに」
「今は、あの時代とは違って、抑止のための軍備だと言われてますからね」
「そんなの詭弁に決まってるじゃない」
「終戦直後から現在まで、現役で活躍されてるママが仰ると重みがあります。自分も同感です」
「ところで、ちょっと引っかかってることがあるのよ」
「新型ミサイル日英共同研究のことですか?」
「そう。防衛上の秘密って、アメリカとだけ共有してると思ってたんだけど」
「そうでもないんです。特にアメリカの防衛費が頭打ちになって以来」
「アメリカさんも景気が悪いのかしら?」
「景気が悪いというより、アメリカの世論がうるさいみたいです。防衛費を削れって」
「あら、日本と逆を行ってるのね」
「提携国に武器を売りつけたり、研究費を捻出させることも忘れてませんし」
「アメリカの提携国って?」
「F35戦闘機の運用に関して言えば、英・伊・蘭・北欧東欧の一部・アジアの一部などです」
「そんなにいい戦闘機なの?」
「通常離着陸型、短距離離陸で垂直着陸型、戦艦での離発着型と、二刀流以上の性能です」
「まあ、凄いのね」
「だから、多くの提携国で採用されてるんです」
「あら、逆に物騒ね。多くの国々がアメリカ製の戦闘機を持ってるってこと?」
「それが回りまわって、ミサイルの共同研究へと繋がってるんです」
「ミサイルって、別の国と共同で作れるものなの?」
「例えばミーティアというミサイルは、英・伊・西・独・仏・スウェーデンで作ってます」
「え? そんなに多くの国が関わってるの?」
「今回の日英共同研究は、このミーティアに日本のシーカ―技術を応用するってことなんです」
「世界の防衛事情が、想像以上に凄くて実感湧かないけど、勉強になったわ」
「全部ネットからの受け売りですけどね」
「それに、ケイさんの話し方。この世で生きてた時より饒舌で素敵」
「恐縮です」
「堅い話は飽きちゃったから、恋バナしましょ? あの世で浮いた話はないの?」
「それが、ないこともなくて」
「そうこなくちゃ。今夜も楽しくなりそうね」


前作はこちら↓
我ニオイツクグラマンナシ

我ニオイツクグラマンナシ それから


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