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過去に帰るとカエルが変えるby網焼亭田楽

毎度バカバカしいお笑いでございます。

最近は森の中で遊ぶ子供というのを見かけなくなってまいりましたが、昔は森といえば子供の格好の遊び場でございました。

昔々、ある小さな村に住む少女がおりまして、その名をさちこと申しました。彼女の心の中には、ある特別な存在がございましてそれが何とカエルだったのでございます。
カエル好きの少女なんて最近ではもの珍しく思えるのですが、昔はそうでもありません。カエルどころかヘビが好きなんて少女も珍しくありませんでした。

さちこはいつも、村の池でカエルを見つけては、その姿に心を奪われていたのでございます。そう、カエルです。あのゲロゲロ鳴くカエル。ヌルヌルっとしたカエルです。さちこちゃん、現代なら結構変わった子に分類されたのではないでしょうか。
 池の中にカエルは何匹もいたのでございますが、さちこのお気に入りのカエルだけは、他のカエルとちょっと違っておりました。何とお尻のあたりに尻尾がついていたのです。
 まるで、おたまじゃくしがそのまま大人になったようなカエルでした。
そのため、他のカエルたちからは仲間はずれにされているようでございましたが、さちこはそのカエルが大好きでございました。
どこか自分に似たものを感じたからかも知れません。
さちこはそのカエルを見るたびに「頑張れ、負けるな!」と応援するようになっていたのでございます。
言うなればさちこの推しカエルです。

そんな事を忘れてさちこは大人へと成長していたのでございますが、心のどこかに何かしっくりこないものを感じていたのでございます。
そんなある日、さちこは森の中で道に迷ってってしまいました。
いつも通る道なので間違えるはずはないと思い、今来た道を戻ってみると、何と過去の時間へと迷い込んでしまったのでございます。
そこで彼女は若い頃の自分に出会います。
忘れかけていた自分の笑顔や夢を再び感じ、さちこは失われた希望を見つけたのでございます。
その時、さちこは一匹のカエルに出会っておりました。尻尾のある不思議なカエル。それは彼女の心の支えであり、過去の自分と未来の自分を繋ぐきっかけとなったのでございます。
カエルはさちこの心を癒し、彼女が大切にしてきた思い出を励ましてくれたのです。そして、さちこは過去の経験を通じて成長し、未来に向かって歩み始めることができたのでございます。
その時から、さちこはカエルを通じて繋がる不思議な力を信じ、彼女の人生はより豊かなものとなったのでございました。

そんなさちこも結婚してやがて自分の娘ができました。
「さやちゃんは、どんな動物が好きなの?」
「あれ!」
さやちゃんは、水槽の中の尻尾のついたカエルを指さしたのでありました。
過去に帰るとカエルが未来を変えてくれたというお話でございました。

お後がよろしいようで。

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