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学びが凝縮されていた中華料理店での体験 その10

オープンして2日目、また凄まじい争奪戦が繰り広げられたランチバイキング、何度やっても慣れそうにない、この世の醜い部分を覗き見ているようで、耐えられなかった。

やっとピークが終わった頃、マネージャーと元夫が大喧嘩を始めた。

そして頭にきた元夫は「もうレジ担当は辞める!明日からは洗い場担当する!」と宣言したのだ、大人の口喧嘩は端から見ていて本当に見苦しい、どうして沢山の人前で あんなに敵意を剥き出しに自分の意見を押し通せるのだろう?譲り合う精神は微塵も無い人達が哀れだった。

元夫は店長を任されていた、だから主にレジを担当して、閉店後売上金を預かり、お金の計算をすることになっていた、初日は夜遅くまで元夫は計算していた、しかしそれがマネージャーには気に入らないらしい、お金にルーズな店長に会計を任せていたら、売上金を横領されてしまうと妄想しているようだった。

その事で大喧嘩になり、元夫はあっさりお金を管理する立場を退いてしまったのだ、これが失敗の原因になった、あの時悔しくても店長として我慢してくれたら、違った展開になったかもしれない、売上金はマネージャーと会長が管理することになり、大阪の自宅へ持ち帰ることになったのである。

3日目から元夫は洗い場担当、寒い時期なので、足にもカイロを貼り付け、寒さ対策をして張り切っている、ところがいざ洗い場に立つと、元夫の癖でじっとしていられず、余計なことをして、主任や副主任に怒られるパターンが続く、肝心の洗いものが溢れている時に、どこかへ行ってしまい、暇な時に戻って来る、最早洗い場担当とは言えない有り様なのだった。

洗い場からは、店内を見渡せるので、元夫はマネージャーの行動を逐一チェックして、文句をブツブツ言っていた、3日目でもうこの中華料理店の末路は決定された感がある。

飽き性の会長は既に料理を作るのに嫌気が差し、すっかり主任と副主任に任せて、厨房には顔を出さなくなった。

そして調理の補助として雇われていた、年配の男性は、3日目からは解雇されて来なくなった、会長が売上金で思った以上に厳しい現実を知り、早々に辞めさせたのだった。

清掃業者の女社長からの紹介で臨時スタッフとして雇われた人達も、たった2日間で全員辞めた、この時のアルバイト料はちゃんと支払われたらしいので、この人達はラッキーだったのだ、この先はタダ働きになっていく運命なのだから、2日で辞められて大正解。

このスタッフとのことで忘れられない思い出がある、彼は私より10歳くらい年下だった、介護の仕事をしているらしい、今回は清掃業者の女社長に頼まれて、手伝いに来てくれたそうだ。

彼は自分の能力に自信を持っていた、つまり接客は完璧だったのだ、素早い動きでおしぼりと水を持って行き、オーダーを厨房に伝え、お客様が席を立つと素早くそのテーブルを片付ける。

そこで私は目に止まった、彼は片付ける時、お客様が使った後のおしぼりでテーブルを拭いていたのだ、私はマネージャーから注意されて学習していたので、彼にも伝えてあげた方が良いと判断した。

それで暇な時間を見計らって彼におしぼりでテーブルを拭くのはNGだと伝えた、彼は完璧主義者だ、だから顔を赤らめやってしまった!!とショックを受けた表情をした。

私は少しでも彼の気持ちを和らげたくて「大丈夫です!実は私もマネージャーに2回もおしぼりでテーブルを拭いて怒られたから」と冗談っぽく打ち明けた、すると彼はみるみる表情が明るくなり、笑顔になってくれたのだ。

彼が手伝いの期間(2日間)を終えて、この店を去る時「ありがとうございました、楽しく仕事出来ました!ずっと応援しています、頑張ってくださいね」と言ってもらえた。

私はこの人も大天使ミカエルだったのでは?と思っている、彼は身をもって教えてくれたのだ、相手に間違いを指摘する時、威圧的に伝えるのではなく、自分の失敗例を交えながら伝えることが大切だと。

マネージャーはその真逆の人だった、私におしぼりでテーブルを拭くのを鋭く指摘して、絶対にテーブル拭き専用の布巾で拭くようにと命令した、私はその時からしっかりルールを守った、そしてマネージャーを見ると、なんと!マネージャーはお客様が使ったおしぼりでテーブルを拭いているではないか!!やれやれ┐(-。-;)┌リーダーがこんなにブレブレだと説得力ないよなあと思った。

私はこの中華料理店に不快な部分を多数見つけていた、リーダーが軸を持たずブレること、そして飲食店なのに衛生面がいい加減なこと、お客様に対して誠意が込められていないこと、それが原因で 余計に酷い悪質なお客様を呼び寄せる結果になっていたのだと思う。

私の理想は、精一杯の愛情を込めたサービスを提供して、お客様を大満足させること、ここに来たらシアワセでまた来よう!と思っていただけるような、オアシスのようなお店にすることだった。


続きます。

幸せをありがとう♡


ここまで読んでくださって感謝します。


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