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球団ヒストリー61.動物園⁉

即戦力の入団

2013年の新入団は15人。新卒でブランクのない選手も多い。
全国大会に出場したことでチームの魅力が高まったのか、久しぶりに華やかな経歴を持つ選手も入団してきた。

実力もあり、まだまだ体力気力とも上り調子な若い選手たちは、もちろんほとんどが即戦力。
チームは若返り、個々の能力もグッと上がった。
期待大だ。

個々の強さとチーム力

ところがコトはそううまくは運ばなかった。

当時のキャプテン北迫太樹さんの言葉を借りるなら「まるで動物園でした」。
かなり個性強め?で元気な選手の集まりだったという。

個人としては能力の高いプレーヤーだが、チームプレーができない。
打席に立つと誰もがホームランを狙って大振りするような状態だったという。

技術も実績もあるだけに、独自の野球論のようなものは持っていただろう。
しかし野球は団体競技。”チームとして上を目指す”には、他者との協力が欠かせない。長打を打てばヒーローになれるような場面でも、チームとしては次につなげる単打や、自身はアウトになっても走者を進めるバッティングのほうがいい場合は多い。
しかしなかなかそれが徹底されなかった。

キャプテンの孤独

キャプテン就任一年目の北迫さん。このチームをまとめるのは至難の業だったに違いない。

「孤独でしたね」
扇の要であるキャッチャーだからこそ、全体の動きが見える。
チームとして結果を残したいというはっきりとした目標を持ち、ストイックな性格も相まっての苦悩を振り返り、そんなふうに呟いていた。

当時からチームを見守り続けていたマネージャーの順子さんも同じことを言っていた。
「太樹は自分にも他人にも厳しかったから、孤立してたんじゃないかな…」

ふるわぬ戦績

「これなら毎年全国いけるんじゃないか?」とまで感じた2012年だったが、選手層が厚くなったにも関わらず、2013年の戦績は振るわなかった。

都市対抗野球大会一次予選は初戦敗退、前年優勝した全日本クラブ野球選手権九州地区予選では一勝したものの二回戦敗退。

この年の公式戦は、この3試合(1勝2敗)のみ。
前年は同じ2大会出場で9試合(6勝3敗)を戦ったのに、だ。

当時は公式戦といえばこの2大会だけで、勝ち進まなければ試合経験を積むことすらできなかった。

試合数が、如実にチーム状況を裏付けていた時代。
過去の戦績一覧を見ても、公式戦がたった3試合だったのはこの2013年だけだ。

個々の能力が高くても、試合に勝てるわけではない。チーム力が上がったとは言えない。
選手の力をどう活かしチームの勝利につなげていくか。
多くの課題を残した一年となった。

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