『日本インテリジェンス史(2022)』 読書メモ#2

本書は日本のインテリジェンス・コミュニティーの変遷を、終戦直後から現在まで追った本である。
ここでインテリジェンスとは分析・評価された国家の政策決定や危機管理に関わる情報のことを示す。

以下が大まかな通史
・戦前にインテリジェンス・コミュニティーの中心にいた陸海軍は解体、旧軍人は政権から遠ざけられる
・戦後、吉田政権時代に欧州に準じた中央情報機関を立ち上げようとするも吉田の政治的求心力の低下などにより構想は当座、権限の弱い内調と小規模な組織が各庁に分立
・その後の政権がインテリジェンス改革に消極的で改革は進まず
・冷戦期、日米同盟のため日本は独自の外交・安全保障を追求する必要がなかった。日本のインテリジェンスは米国の下請けとして機能した
・冷戦後、阪神・淡路大震災やオウム事件、北朝鮮ミサイル実験などの出来事から日本国のインテリジェンス体制の改革の必要性意識が高まる
・第二次安倍政権時代に、特定秘密保護法の導入や国際情報収集ユニットの装置など本格的なインテリジェンス改革が実施される。NCS/NSSが設置され、情報と政策の連帯が進み、内調が機能しだす
・今後の課題として、サイバー対策や分析官能力の強化など述べられている

日本のインテリジェンス組織について歴史から学べる良書と感じた。

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