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限界集落

この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。


 長野大学の大野晃教授が唱える「限界集落」とは、今後十年以内に消滅する可能性がある集落を意味する。少子高齢化による人口減少や財政難で集落としての機能が維持できなくなる。危機的状況である。国土交通省の調査では、こうした集落は全国で423、九州で53と見込まれている。集落から村人がいなくなる。実に驚くべき現象で、ときに恐怖すら感じる。

 脈々と続いてきた集落には、さまざまな天災や人災を、集落の人々の協力によって乗り越えてきた長い歴史がある。栄枯盛衰があるとはいえ、強制されるわけでもなく自然に集落が消えてゆく。いったいどういうことなのか。

 グローバル化によりポスト工業社会へと産業構造が激変したことが根本にある。学歴や能力に見合った就職先が少ないため、多くの若者が不本意ながら集落を去る。物質的に豊かな生活や人生を求めた結果、希望のもてない職業を子どもに継がせたくないという親心も無視できない。親が子を大切に思う気持ちが、地域の産業を衰退させる事態を招くこともある。

 2005年から06年にかけて、北海道内の限界集落の候補地を調べた。主要産業は農業。集落の住民たちは隣の集落と統廃合されることに反対の姿勢を貫いている。その理由は、第一に、生活に必要なサービス提供機関(簡易郵便局、駐在所、診療所、農協、小・中学校、保育所、病院、公共交通機関など)が利用しにくくなるからである。

 第二に、統廃合を受け入れたとしても、問題の本質が変わらず存在しているため、またすぐに限界集落になることが見えているからである。「統廃合したら悪循環。人が入ってこないから抜けていく。活性化しないから離農する。離農するから活性化しなくなる」(住民からの聞き書き)

 問題の本質とは何か。それは、古くて新しい問題、家業である農家の後継者問題であった。

2007年10月3日


2020(R2)年に総務省の過疎対策室が実施した調査の概要(https://www.soumu.go.jp/main_content/000678496.pdf)をざっと見ると、日本国内で限界集落と定義される集落は、2015年から2019年の4年間で微減しています。新陳代謝がうまくワークしていない印象をもちました。

該当する過疎地域の住民は、多少不便を感じながらも、ご先祖様から継承したものを守り続け、暮らし慣れた土地で工夫したり助け合ったりしているようですね。しかし、その、ご先祖様から継承したものを次の世代にバトンタッチできていないケースが増えてきているのでしょうか。

どんなものを継承したか、にもよりますが、現代のように変化が激しい時代には、その継承したものをただ「守る」だけではなく、「守・破・離」していく必要性があるようです。具体的にはグリーンとデジタルですね。

ちなみにこの調査では「過疎地域自立促進特別措置法」において過疎地域に指定された集落を対象にしています。ここでいう集落とは、行政村ではなく「自然村」のようなものであり、一定の土地に数戸以上の社会的まとまりが形成された、住民生活の基本的な地域単位、とのことです。

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