drkiriko2005

社会学を生業にしています。好きな言葉はセレンディピティ。最近のマイブームは、3-min…

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社会学を生業にしています。好きな言葉はセレンディピティ。最近のマイブームは、3-min-sit-up💪, 15-min-tidying-up🧹, コチュジャン🇰🇷 (Updated on Apr 9, 2023.)

最近の記事

荒ぶる侘び

この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  最近とても気になる人物がいる。松永安左エ門(長崎県壱岐生まれ、1875-1971年)である。「電力の鬼」と呼ばれたことで大変有名な経営者で、晩年は茶の湯に夢中になり松永耳庵と名乗った。四十代で女性に、五十代で登山に、そして六十代で茶の湯に夢中になった彼が晩年にたどり着いたのは「荒ぶる侘び」だったのではないか。  私が彼に強く興味を示すようになったきっかけは、自叙伝にある一枚の写真であった。92歳の松永

    • 茶の湯の魅力

      この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  一年ほど前から茶の湯に夢中になっている。茶の湯は日本文化の総合芸術と言われている。だがこの点も含めて、別の意味でも魅力を感じる。それを感覚的に表現すれば、単純に癒されるから。  茶室で時候の茶花や茶道具に囲まれ和菓子と抹茶を頂く。私の物覚えの悪さをありのまま受け入れた上でお稽古をしてくださる先生の寛容さに感謝しつつ、先輩の流れるように美しいお点前を拝見しながら催眠状態へと導かれる。最高の「癒し」である

      • 男性問題

        この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  男性学が面白い。たとえば働き盛りのサラリーマンの過労死や自殺率の上昇。熟年男性の定年離婚や妻に依存するだけの濡れ落ち葉。1990年頃から、こんな悩める男たちの存在が注目されている。いわゆる男性問題の登場である。  子どもが大人へと成長するさいに、男らしくあるいは女らしく育つように周囲から期待され、内面化しつつ成長していく。一部のフェミニズムや女性学の専門家によれば、その結果、「男は外、女は内」といった

        • 社会的ジレンマ

          この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  多くの人々が、他人に協力せずに自分の利益だけを追求して行動した結果、社会全体が好ましくない状況に陥り、結局のところ、個人にとって不利益となって跳ね返ってくることがある。個人利益と社会利益の二律背反である。このような状況は、「社会的ジレンマ」もしくは「社会的蟻地獄」と呼ばれている。  ここで、「囚人のジレンマ」のモデルを紹介したい。何か事件がおきたとする。捜査した結果、二人の被疑者が捕らえられた。だが十

        荒ぶる侘び

          消滅か存続か

          この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  今後10年以内に消滅する可能性のある限界集落。人口減少時代のなか、市街地へ集住させるコンパクトシティを推進させるべきか、それとも集落を存続させるべきか。消滅か存続か。地域によって、あるいは判断する人の立場によって、難しい選択となる。  コンパクトシティとは、行政の財政状況や経済効率性を重視して、へき地の住民に市街地に移り住んでもらうという概念である。既存の地域開発が人口増加を前提に推進されてきたことを

          消滅か存続か

          限界集落

          この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  長野大学の大野晃教授が唱える「限界集落」とは、今後十年以内に消滅する可能性がある集落を意味する。少子高齢化による人口減少や財政難で集落としての機能が維持できなくなる。危機的状況である。国土交通省の調査では、こうした集落は全国で423、九州で53と見込まれている。集落から村人がいなくなる。実に驚くべき現象で、ときに恐怖すら感じる。  脈々と続いてきた集落には、さまざまな天災や人災を、集落の人々の協力によ

          限界集落

          十二単の意外性

          この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  あるデパートで開催された京都西陣織展で、モデルとして舞台で十二単 (ひとえ)を着る機会があった。平安貴族の女性が着ていたという十二単。最近では、女優の藤原紀香さんが婚礼のさいに着用して話題になった。着物好きの私はうれしくて、前夜は興奮して眠れないほどであった。  十二単とは、正式には「五衣 (いつつぎぬ)、唐衣 (からぎぬ)、裳 (も)」のことをいうそうで、十二枚の着物を羽織るわけではない。じっさいに

          十二単の意外性

          セレンディピティ

          この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  寄り道は楽しい。意外な発見が期待できるからだ。もともと探している物や本来の目的があるのに、その過程で、自分が想像する以上の、別の何かと偶然にも出合えるかもしれない。刺激的である。  「セレンディピティ」という言葉がある。好きな言葉の一つだ。意味は、偶然何かを発見する能力、偶発力、偶然幸福発見能力などとされている。関連書籍として「偶然からモノを見つけだす能力―『セレンディピティ』の活かし方」(澤泉重一著

          セレンディピティ

          知的労働生産性

          この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  自分の研究スタイルが確立していなかった大学院時代、研究の道を志したときに、どんな生活態度を身につければ、いい研究が出来るのかと、真剣に考えていた。いわば、知的労働生産性を高めるコツである。成功したければ成功した人に聞け。というわけで、身近で尊敬できて成功している研究者たちに、このコツについて聞き取りをした。  質問項目を挙げると、睡眠時間、就寝・起床時間、水分補給の仕方、食事・アルコール・デザートのと

          知的労働生産性

          社会診断の難しさ

          この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  社会問題とどう向き合うべきか。「社会診断」(M.リッチモンド)の概念を参考に考えてみたい。  社会診断とは、医者が患者の病気を治療するのと同じように、社会問題を克服するというものである。医者が患者の病気を治すとき、病原体を特定化してふさわしい処方箋を示す。その結果、患者は病気を完治させることができる。これと同様、社会学者も「社会診断」を行う。すなわち、社会問題を引き起こしている原因を追究し明らかにする

          社会診断の難しさ

          2007年に私が選んだ13テーマ

          最近、ゆる〜く瞑想的な思考を重ねているのですが、ふと気づいて実行したら楽になったことがあります。それは、自分が消えた世界を想像しながら、自分が存在している世界で行動することです。 その手始めに、昔のUSBを整理しました。そこで興味深いものを見つけました。それは、2007年にiPhoneが発売された年、私が社会学者として、地元紙に連載したエッセイです。 とりあえず、13テーマのタイトルのみ公開してみます。随時、リンクを貼っていきます。 自己成就的予言、2007年7月11日

          2007年に私が選んだ13テーマ

          読書の醍醐味

          この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  読書の醍醐味とは、いったいどのようなものだろうか。  いろいろな意見があると思うが、最近、わたしが感じるのは、第一に「手段としての読書」である。それは、本に書いてあることを完全に理解することを目的とするのではなく、すでに自分の頭の中に、ある程度、蓄積されている知識やアイデアの引き出しを整理整頓してくれるための手段にすることである。  別の言い方をすれば、バラバラに点在している知識や経験が、「手段とし

          読書の醍醐味

          自己成就的予言

          この記事は、16年前の自分へのツッコミというスタイルで書いています。  多くの学問分野があるなかで、なぜ社会学者の道を選んだのかと聞かれたら、それはきっと社会学の魅力に取りつかれてしまったからと答えるであろう。研究者を志した当時、「自己成就的予言」(R・K・マートン)の概念と出合ったことが大きいかもしれない。  自己成就的予言とは、「ある思いこみや信念が予想していた通りの状況が実際に生起する場合、その当時の思いこみや信念をさす概念」(有斐閣「新社会学辞典」より)である。

          自己成就的予言

          金髪への道

          コロナ禍を機にヘアをブリーチして金髪にした。金髪はニューノーマルとなっている。 似合うかって?  「習うより慣れろ」という諺を応用すれば、”似合うより慣れる”と言える。 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 結局、3回ブリーチした。 1回目のブリーチ後は「中途半端な不良みたいだ」と周囲から言われた。 2回目のブリーチ後は「元々の髪の色との関係でどんな色が出るかわからない」という美容師さんの言葉を聞いて、ブリーチ剤と釉薬は似ているなと感じた。「まるで陶芸の釉薬みた

          金髪への道