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#59【弱】「無敵の人」を生み出さないために②

「無敵の人」を生み出さないために。
第2弾です。

↓前回記事


社会で蓋をしている構図


『JOKER』は本当によく(日本の)社会問題をよく描き出していると思う。
アメリカ映画なので、たまたまリンクしたのか、アメリカも同様の社会問題を抱えているのかは定かではないけど、
少なくとも日本の現状・乗り越えなければならない課題はこの映画にヒントがあるように思う。

まず、主人公の設定。
一般に近年「社会的弱者」と言われているのは女性・障がい者・LGBTQ+の人々。
しかし、この主人公は男性だし、
病気を持ってはいるが外からはなかなか分からない。
女性を愛する場面もある。
つまり、表向き支援が比較的行き届いている(ように見える)「社会的弱者」ではないのだ。
けれど、確かに彼は社会的孤立の状態にある。

そして、「不条理」が繰り返されること。
よく、犯人の動機をメディアを通じて耳にすると
「そんなことで周りを巻き込むなよ」
「短気なのではないか」
「忍耐が必要」
という外野からの言葉が返ってくる。
けど、犯人の動機はおそらく一行で説明できるような短絡的なものではなくて、
多くの出来事が折り重なって積み上げられてきたものなのではないかと感じる。

日本の犯罪とJOKER

下記にあげるような、日本で起きた犯罪にも絡めてみたい。

秋葉原通り魔事件2008/6/8
加藤智大25歳

京アニ放火事件2019/7/18
青葉真司44歳

小田急線殺傷事件2021/8/6
対馬悠介36歳

京王線殺傷・放火事件 2021/10/31
服部恭太24歳

安倍元首相銃撃事件2022/7/8
山上徹也42歳

もちろん、これらの事件を同一にひっくるめてよいとは思っていない
動機も犯人の背景も細かく見ればそれぞれだけど
あえてまとめて考えてみたい。

犯人像を見るといずれも男性で、年齢は20~40代。
バックグラウンドを見ると、
家庭環境・学校環境・社会人で複数回の「不条理」を経験している。
1回ではなく「複数回」だ。
彼らの中には精神鑑定を受けて精神障害を認定された人もいるけど、
いずれも外からよく見える障がいを抱えているわけではない。
つまり、前述した「目に見えない社会的弱者」なのである。

国として・社会としての大きな枠組みであれ、個人的関係としての小さな枠組みであれ、僕らはこういう「目に見えない社会的弱者」を無意識・意識的に排除してはいないだろうか。

おそらく「差別」としても取り上げられていないような
「支援」の対象にならないような
「社会的弱者」
の存在が残忍な事件によって明らかになっているように思う。


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