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骨盤は動くのか?

仙腸関節は不動か?可動か?
synarthrosis or diathrosis?

未だに職種によって議論があるようですが、実はすでにこの議論はほぼ以下という形で収まっていたりします。

関節面からは不動、機能的には可動。

解剖的に捉えたら不動とも言えますし、実際の機能解剖生理としては可動とも言えるので見ている目線が異なると同じものでも異なって見えるという見解になるのでしょうか。

また、その曖昧な見解となる要因として関節面上では形態的に不動として捉えられ、
機能的には骨盤周囲の線維性組織の伸張性により若干の可動が可能となることとされています。

実際の可動自体は各方向に2-4㎜だったり、高齢の検体だったら1㎜以下というくらいという報告がされています。

実際のトレーナー、指導者、選手などは解剖学者ではないので機能的な捉え方で骨盤帯を見るのが良いのではないでしょうか?

骨盤帯は複雑な線維の構造体で、個人差、性差、競技特性の影響もあるために正常な骨盤とは?というのを定義づけるは困難な場所です。


文献上でも同じ人の腸骨の大きさも左右差があるなという方向もあります。

別の記事でも紹介しましたが骨盤が歪む?

というのは物理的に複雑な骨盤の線維構造が破綻するくらいの力学がかかる歪みが起こることは考えられませんが、機能的に線維組織の伸張、短縮などで線維周囲の感覚受容器の感覚が変化する=歪んだようにアンバランスになる。ということがありうるでしょう。

また実際のケースですが、小児期に急激に背が伸び片脚だけ大腿骨が反対に比べて数センチ伸びたお子さんが、肩甲骨が片方上がるなど側弯症のサインがありました。
レントゲンを撮ってみたら上記のような状態で股関節が伸びた大腿骨側で挙上し、骨盤もそれに伴い挙上し仙骨から腰椎にかけて腰部の側湾を形成していた。
というケースもあります。

骨盤帯はこのように腰椎や股関節と切り離せず、LPHC腰部股関節骨盤複合体という単体としての機能ではなく複合的に関わり合う機能単位として考えられています。
下肢からの力学的な力を股関節、仙腸関節部から腰部へと力が伝わり、その力学的なストレスへの物理的な耐久と固有感覚受容器としての機能が要求されます。

機能的に骨盤を捉えるには上記の複合体としての機能、感覚受容インプットなどを頭に入れて置かなければなりません。

「骨盤歪んでますね~」などと言われても機能的に問題がなければ、過度に気にせずに。。。

J Anat 2012 Dec;221(6):537-67 The sacroiliac joint: an overview of its anatomy, function and potential clinical implications
Wong M, Sinkler MA, Kiel J. Anatomy, Abdomen and Pelvis, Sacroiliac Joint. NCBI. 2018.

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