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アスリートのケアを20年近く続けてます。MLBプレーヤーからプロ野球、Jリーガー、オリ…

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アスリートのケアを20年近く続けてます。MLBプレーヤーからプロ野球、Jリーガー、オリンピアン、日米でのアスリートケアの経験と知識をシェアします。博士を2つ持ってます。 またスポーツ医科学での研究者としての一面から現在のスポーツ障害の多角的な情報をシェアします

最近の記事

こむら返りと肉離れ

運動していたらふくらはぎが痙攣してつった。 ただ攣っているのか?肉離れか? しかし、こむら返りと肉離れ違うものです。 英語で言うと、こむら返り=Muscle cramp、肉離れ=Muscle strainになります。 肉離れとはどんなものか。 筋に強い収縮が起きたときに生じる伸張ストレスにより血管や筋線維、腱膜、筋膜の損傷が生じることとなっています。 しかし、意外なことに「どの原因によって起こるか」という明白なメカニズムは今もはっきりとは解明されていない状況です。 ふ

    • 痛み止めとの付き合い方を考える

      Xの方でも言及しましたが、怪我をした際の痛み止め。 積極的には勧められていません。 ただ痛いのは我慢しきれない。 痛み止め飲んだほうがいいのか? 飲むのは避けたいけど痛い。どうしたらいい? 今回はこれを考えたいと思います。 こちらの記事でも書きましたが、現在の怪我の対応のPEACE&LOVEの中の「A」Avoid anti-inflammation drug抗炎症痛み止めを避ける。 怪我をした際には状況により微小から深刻な損傷まで少なからず組織の損傷を伴います。 その際

      • ハムストリング肉離れの分類まとめ

        ハムストリングの肉離れは私の研究分野のど真ん中なので文献を多々読んでいるのですが、Risk factor, modifiable risk factorなど疫学など年々少しずつ修正されたり、アップグレードされたりしています。 分類などはその最たるもので完全断裂、部分断裂などグレード1−3の損傷度合いだけの分類分けから色々な考えが提起されています。 最近用いられている分類 グレード0から4まで(0ってどういうこと?という感じですが) またタイプA,B,C タイプAは筋筋膜、

        • スウェー動作と股関節に関わる大腿直筋の付着部を考える

          歩いている際、走っている際、片脚で立っている際。 またゴルフのスイングなどのスポーツでの動き。 骨盤部が側方に流れてしまうスウェー。偽性トレンデレンブルグ徴候とも言える腰が側方に流れるような状態で側方トランスレーションとも呼ばれたりします。 (トレンデレンブルグ徴候は腰部の神経の影響とされます。) そのような腰が横に流れる問題に対して、壁を意識して!中殿筋を働かせて!などと技術的な指導によってはなかなか改善しないことが多いです。 動作における腰のスウェー、側方トランズレー

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          膝の学会のホットトピック ACL, ALL, ALC,LET?

          膝の学会のホットトピック ACL, ALL, ALC,LETとはなんぞや? HakuさんのXより https://twitter.com/haku_paramedic/status/1726377070153056591 ・Graft選択はHam8割BTB2割BTB1.5割Quad2%Allo1%人工靱帯× ・ACL Bandの議論は終わった(みんなSingle) ・ALLやLETがトピック ・ACL Repair結構やられている 情報共有ありがとうございます。 I

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          骨の歪み、ズレをボキっ!神経の圧迫を取る?

          Youtubeのボキボキ動画後を絶たずにアップされていますね。 確かにボキっとされると心地よい方々は沢山います。 そのボキって何のために?なんで音がなって?何が起こっているの? 自分でボキってやるのと違うの? 色々疑問があるかと思います。 良く見聞きするのが、骨のズレをボキっと鳴らして歪みを治して神経の圧迫を取るから症状が良くなるという。 しかしながらその歪みが神経圧迫するという説はかなり前に否定されていて、本当に神経の圧迫があれば機能が低下するのではなく、神経のワーラー

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          下ばかり見ていませんか? 下方視野の問題と頸部筋の関係

          特にラップトップでのデスクワーク、遠征時のスマホ、日常的なスマホ依存。 見る位置の設定にもよりますが、視線の位置は下方にいく傾向にあります。 スマホの長時間使用の後にふらつき、違和感、バランスの変化はありませんか? 目を上下に動かして体のバランスが変わってしまっていたらスポーツのパフォーマンスにも影響するかもしれません。 立った状態の体制にするには視野上方、頸部伸筋の活動が適切に誘導されなければなりません。 目を動かすのは眼球の筋肉が動かします。そこには脳神経系が関わ

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          骨盤は動くのか?

          仙腸関節は不動か?可動か? synarthrosis or diathrosis? 未だに職種によって議論があるようですが、実はすでにこの議論はほぼ以下という形で収まっていたりします。 関節面からは不動、機能的には可動。 解剖的に捉えたら不動とも言えますし、実際の機能解剖生理としては可動とも言えるので見ている目線が異なると同じものでも異なって見えるという見解になるのでしょうか。 また、その曖昧な見解となる要因として関節面上では形態的に不動として捉えられ、 機能的には

          骨盤は動くのか?

          ファンクショナルメディシンを考える

          ファンクショナルメディシン(機能性医療) 聞いたことはあるでしょうか? 使用されやすい言葉の繋ぎ合わせなので似たような名前のものが沢山あるかもしれません。 この5-10年でかなり世界的に流行りつつある医療のシステムであり考え方です。 アメリカではいくつかのファンクショナルメディシンの資格があり、MD,DO,DC,など医療系資格の人間が受講しています。 私もその資格のうちの一つを3年前から受講し資格も所得しました。 台湾の知人の整形外科医もこのファンクショナルメディシンに注

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          口腔圧~舌圧と胸郭~上肢

          口内圧は骨盤腔、腹腔、胸腔と並び内圧の維持に重要な部位です。 特に吸気にて上顎の安定、呼気にて下顎の安定は初期の内圧を維持するために重要です。 吸気の動作にて一番影響を与えるのが胸郭部の拡張です。 俗にいう胸式呼吸パターンでは腹部の呼吸パターン以上に通常呼吸では口腔内圧の獲得が必要で、その代償により斜角筋を中心とした呼吸補助筋などによる代償呼吸となり、胸郭の可動を制限してしまいます。 その変化により前鋸筋、小胸筋などの肋骨から肩甲帯へとつながるする組織はその活動パター

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          筋膜リリース?を考える。を考える。 刺激により何が起こっているのか?

          まず先にタイトルの訂正を。 筋膜という表現は適切ではないので以下元の言葉であるFasciaとします。 (私の日本語の論文も悲しいかな筋膜と表記することも有り、共通認識が難しく表現も統一できないのが悲しい現状です。。。) エコーでFascia重積部に鍼を施す鍼灸師の方が増えてきているそうです。 以前Fasciaの学会で諸外国の先生方とそのFascia重積部へのアプローチのメカニズムなどをディスカッションする機会がありました。

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          オーバーヘッドアクティビティと体幹部の機能

          投球などのオーバーヘッドアクティビティと体幹部の機能 投球、サーブ、スパイクなどの回旋を伴ったオーバーヘッドアクティビティにおいて主に活動する体幹部の筋肉は腹直筋、内外腹斜筋、脊柱起立筋になります。 なかでも動作全体として一番活動性が高いのが反対側の内腹斜筋です。 それに同側外腹斜筋、対側内腹斜筋と続きます。 テイクバックでは対側外腹斜筋、加速期フォロースルー時では起立筋の活動性があがりますが、主に腹斜筋の活動は動作継続的に行われます。 またエリートアスリートとアマチュ

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          外側翼突筋を制する者は顎関節を制する

          外側翼突筋を制する者は顎関節を制する。と咬合関連の歯科医の先生方は口にします。 外側翼突筋には筋紡錘がごく僅かしか存在しません。 日々人体で脳への刺激が一番多いのが筋紡錘などのレセプターからの刺激になります。 その筋紡錘の適切な感度による脳へのフィードバック機構が体の平衡性や疼痛抑制に影響を及ぼします。 しかしながら外側翼突筋にはそれが該当しないことになります。

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          外側翼突筋を制する者は顎関節を制する

          アキレス腱の痛みを考える

          アキレス腱炎などに代表される腱の問題はCumulative Stressという繰り返しの体へのストレスによって引き起こされるとされています。 同じ反復ストレスをかけても、腱の状態が同じような状態であっても痛みが出る人と出ない人がいます。 また炎と言いますが、炎症が起きている人、起きていない人も同様に存在します。〜itisの炎ではなくnopathyの炎症ではなく組織の線維の異構築や蓄積が主になることが多いでしょう。 組織の状態関係なしに痛みの感覚は変わります。 ただ反復

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          肉離れは「クセ」になる?を考える

          肉離れはクセになる 都市伝説か? 真実か? また”クセ”にならないためにすべきことはあるのか? 一度肉離れをしたらクセになる。 と言われます。 あながち間違いではないかもしれません。 肉離れの再受傷率はよく起こりやすいハム、下腿、太ももの表の直筋などで高いとされています。 つまり肉離れを繰り返してしまうということ。 その理由(危険因子)としてどの部位も過去の肉離れによるもの。が挙げられます。 その過去の肉離れによる瘢痕組織による影響が定説となっているのではないでしょうか

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          オーバーヘッド競技者のフラットバックを考える

          胸椎が平らな状態のフラットバック Straight backなどともいわれますが、正式にはHypokyphosisという状態です。 こちらの記事を読んで私なりの考えを記事にしようと思います。 以前も別の件で記事にはしました。 アメリカの方の野球系のリハビリ、トレーニングに長けた方々は胸椎の猫背状態(Hyperkyphosis)は注意してみているようですが、Hypokyphosisには特に気にされていない印象です。 伸展制限が猫背状態の方が起こりやすいからなのでしょうか?

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