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コービー・ブライアント

朝目が覚めて、我が目を疑った。

よりにもよって、写真は私が大好きだったオリンピックでのコービー。

悲しいというより、まだ受け入れられていない。そんな錯乱にも近い状態のまま、思いの丈を書いてみようかと思う。

コービーとの出会い

気がつけば、いつの間にか知っていたという印象だ。

日本からたまにNBAを見ていた程度の高校時代。観るのは好きではあったが、自身が部活をしていたこともあり、そこまで追いかけて観るような時間などはなかった。

ただ、今にして思えばジョーダンの試合も、オラジュワンの試合も、マローンの試合も当たり前のように観ることができたのは非常に贅沢な環境だったと思う。

そんな中、一人の若者をはっきりと認識したのは1997-1998シーズンのオールスターだ。

若者らしい覇気のあるプレーと、類稀なるテクニック。それにフックシュートを決めた後に観覧に訪れたマジック・ジョンソンに指を差すなど、生意気ながらも粋な部分にも惹かれた。

この時は、将来とんでもないプレーヤーになることなど考えもしていなかったが。

活躍と苦悩

その後、私はあまりテレビを観なくなり、おのずとNBAを観る機会も激減した。それでも彼の名前を覚え、彼の活躍も耳にしていた。まだインターネットをろくに使いこなせていない時代に、だ。

とにかく、あのときの青年がチームになくてはならない存在にまで成長していた。気づけば独特のショートアフロでもなくなっていた。

もちろんこれは、表面的な情報にすぎない。

後々知ったのだが、2000年代の中盤くらいまで、常に何かと戦っていた。

チームの勝利と、自分の活躍。

そのどちらも譲れないコービーにとって、衝突すべき相手はたくさんいすぎた。時にはHC、時にはチームメイト、そして時にはLAのファンでもあった。

あまりにも有名なのは、あのシャキール・オニールとの不仲だ。元々は兄弟分のような間柄だったのだが、互いにエゴの塊であるが故、衝突は免れなかった。

結局、シャックをチームから追い出し、自分がエースとして残る道を選んだ格好となる。

考えてみれば、これは相当孤独な状況だ。何なれば、ファンも含めてそんな状況など誰も望んではいなかっただろう。彼は自身の風評よりも活躍の場を選んだのだ。

ただひたすら孤独に生きる

世の社長は孤独だと、よく聞く。これはトップアスリートにも当てはまるように思う。

活躍すればするほど、同じ目線で話すことができる相手はどんどんと減ってくる。ましてや気持ちを分かってくれる人など一握りであろう。

思えばコービーは、子供の頃から常に孤独を選んできた。バスケのチームに入っても、ボールを持つのはいつだって自分。周りを頼ることなどなかったという。

独善的と言われればそれまでだが、でもそこには確かな、強い意志があったはずだ。「自分がチームを勝たせる」「自分のスキルを上げる」

チームメイトはたまったものじゃないかもしれないが、この時点で見ている世界が周りとは異なっていた。彼の強い向上心に孤独が付き纏うのは、必然であったのかもしれない。

献身的なコービー

かといって常に独善的でいたかというと、そうでもない。ファンへのサービスは常に怠らない。一歩コートを踏み出せば、鬼の姿を封印した紳士であった。

プレーの面でも、献身的な一面を見ることができた。それはオリンピックだ。スタメンではあったものの、得点面では自分より若いプレーヤーに託していた。

その代わりと言っては何だが、あの鬼気迫るディフェンスは印象的だった。かつてのマイケル・ジョーダンも、オリンピックではディフェンスが得に輝いていたという。まるでジョーダンの生写しだ。

こんな一面もある。そう気づいた頃にはコービーにすっかりとのめり込んでしまっていた。後にレブロンなどといったうスタープレーヤーも出てきたが、あの闘争心剥き出しのプレーは、コービーにしかできない。

ジョーダンももちろん大好きだ。ただ、それ以上に孤独を背負っているように感じたコービーの方が魅力的に感じてしまっていた。

突然の最期

コービーはきっとおじいちゃんになってもバスケをしている。そんな姿を勝手に思い描いていた。

それが、突然の事故。

何故コービーでなくてはいけなかったのか。そう思ったのは自分だけではなかったようだ。

かつての同僚、ラマー・オドムも

「自分が意識不明になった時、もし神様がKobeの代わりに俺を連れていくって言ったら、その方がよっぽど良かった。」

と語っていたようだ。

愛娘のジジも一緒に逝ってしまった。でも、最期の瞬間まで一緒にいることができた。

それに、今日この状況を見て、彼が孤独だと言う人は誰もいないだろう。孤高のスーパースターは、誰からも愛されていたのだから。

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