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知っているようで知らない「きのこ」のこと③~身近にある驚くべききのこパワーの恩恵!~

以前【知っているようで知らない「きのこ」のこと②】で、きのこが「食べ物」として以外にも地球上の生き物や自然に役立つ機能をもっていることをお伝えしました。今回は、その中の「分解」と「共生」にさらに注目。その仕組みを知ることで、知らず知らず受けていたきのこパワーの恩恵が見えてきます。

●分解力を活かして環境浄化

樹木は、自然の風雪に耐えるためリグニンという高分子化合物を細胞壁に集積し、硬く強い体を作ります。リグニンは非常に分解され難い性質を持っていますが、きのこ(木材腐朽菌)の一部は、それを容易に分解してしまいます。

倒木に生えるきのこ

近年、一部のきのこがリグニンに似た化学構造を持つダイオキシンやPCBなどの環境汚染物質をも分解できることが知られるようになり、きのこを用いた環境浄化技術の開発に関する研究が盛んに行われています。分解の仕組みはまだ不明な点も多いようですが、きのこの力が地表が樹木で覆われるのを防ぐだけでなく、汚染された環境を救えるようになる日も遠くないのかもしれません。

●分解が生み出す豊かな海の素

「森(山)が海を豊かにする」とよく言われますが、これは森(山)からの水の流れによって森の栄養分が海に流れて、海の生態系を豊かにするからです。実は、ここにもきのこの「分解」の力が深く関わっていることがわかっています。
きのこなどの菌類によって樹木が分解されるとフルボ酸という有機酸の一種ができますが、そのフルボ酸は海へと流れる過程で鉄と結合してフルボ酸鉄となります。海の中のプランクトンや海藻はこのフルボ酸鉄を吸収することで、森(山)から流れ出た栄養分を体内に取り入れることができるというのです。そしてプランクトンや海藻が豊富な海には、それを餌にする生き物が集まり豊かな海が育まれていきます。

身近なようで、知らないこといっぱいのきのこ。【知っているようで知らない「きのこ」のこと①】でお伝えしたように、世界で既に知られているきのこは、推定数の20%に過ぎません。既知のきのこについても、まだ解明されていない働きや性質があるでしょうし、これからどんなきのこパワーが発見されるのかワクワクしませんか?
そんなきのこたちの中で、日常的に食べられて、うま味も栄養もたっぷりなほししいたけを、一人でも多くの方に楽しんでいただきたい!と改めて感じています。
2024年もほししいたけファン拡大の夢を胸に邁進していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

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