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恥市場

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思い付くまま恥記憶を告白するデジタル懺悔室です。
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恥市場 6 『生首事件』

恥市場 6 『生首事件』

怖い思いをしたが、怪談にはならない――そんな体験もある。

例えば・・・。

目の前に突然、生首が現れた恐怖を味わったことがあるだろうか?

怪談ではありがちな状況だが、日常生活では滅多にないだろう。あったら困る。

ガス爆発の話でも触れたが、学生の頃、飲食店でアルバイトをしていた。本格珈琲を楽しめるファミレスというか、食事の充実した喫茶店というか、そんな店で厨房の助手を務めていた。

閉店は夜1

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恥市場 5『口裂け女と少年探偵団』

恥市場 5『口裂け女と少年探偵団』

怖い思いをしたが、怪談にはならない――そんな体験もある。

例えば・・・。

1979年、日本全国の少年少女を恐怖のどん底に陥れた口裂け女。

事件当時、私は小学6年生だった。

あの頃は子供だけでなく、教師や父兄もメディアにあおられ、右往左往していた。「口裂け女(と呼ばれる不審者)に気をつけよう!」的なプリントを配布したり、集団下校したり。

そんなある朝、T君が特ダネを持ち込んできた。

「オ

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恥市場 4『ベトナム戦争と私』

恥市場 4『ベトナム戦争と私』

怖い思いをしたが、怪談にはならない――そんな体験もある。

例えば・・・。

1970年前後、泥沼化したベトナム戦争が、遠く離れた日本の幼児に爪痕を残した――そんなお話。

私が通っていた保育所にイケダ先生(仮名)という若い保母さん(現代の保育士)がいた。優しくて美しく、児童たちの人気者だった。

お昼前は自由時間。活発な子供たちは外で駆けまわったり、砂遊びをしたり。おとなしめの子供も屋内の大広間

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恥市場 3『ガス爆発』

恥市場 3『ガス爆発』

怖い思いをしたが、怪談にはならない――そんな体験もある。

例えば・・・。

皆さんはガス爆発を起こしたこと、ありますか?

学生の頃、飲食店でバイトしていました。

本格珈琲を楽しめるファミレスというか、食事の充実した喫茶店というか、そんな店です。厨房の下働きでしたが、半年もして仕事を覚えると、チーフが休みの日などは代理で厨房を仕切るようになっていました。

一時期、業務用ガスレンジのオーブンに

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恥市場 2『死を呼ぶ海』

恥市場 2『死を呼ぶ海』

怖い思いをしたが、怪談にはならない――そんな体験もある。

例えば・・・。

八才の夏、海で死にかけた。

家族で海水浴に出かけたときの出来事である。

当時の私は、プールの授業でクラスの中でも比較的早く、ビート板なしでバタ足泳ぎができるようになっていた。その程度で、「オレ、泳ぎ得意だから」と思い上がってしまうところが小学二年のアサハカさ。

海水浴場でも海を舐め切っていて、無謀にもやっと背が立つ

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恥市場 1『猿山の惨劇』

恥市場 1『猿山の惨劇』

怖い思いをしたが、怪談にはならない――そんな体験もある。

俗に言う「霊感」の類は持ち合わせていないし、心霊スポットを巡る趣味もないから、「怪談になる恐怖」よりも、「怪談にならない恐怖」のほうが、より多く体験しているかもしれない。

例えば・・・。

小学5年か6年の遠足で、筑波方面のレジャー施設を訪れた。

そこに、猿山があった。

猿山は木製の柵で囲われていて、その柵にもたれ、猿と大差ない知能

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