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バーチカル手帳を会社で広めたら思ってたんと違うことになった

「あれ?あの人も手帳使ってる」社会人として数年が経ち、役職っぽい肩書がつくようになったくらいから、手帳の存在が気になりだした。

当時働いていた会社は超マニアックな業種で、基本的にはずっとPCとにらめっこ。クライアントとの連絡はメールや電話でのやりとりのみ。出張でもない限り、自社以外の人と仕事で会うことは皆無というわけだ。

ところがとある委員会のメンバーに選ばれたことから、本社への出張の機会が増えてきた。コンサルや業務提携する会社との打ち合わせに出席するようになると、あることに気付いた。

「みんな手帳使ってる」社会人としては恥ずかしい話かもしれないが、井の中の蛙状態で仕事をしていたボクにとっては衝撃的な発見だった。

手帳の存在に気付いたその日に、文房具屋さんへ向かった。でも、なんの知識もない状態で手帳を見たとところで、選べるはずがない。

その日から手帳リサーチの日々が始まった。隙間時間にひたすらリサーチ。仕事時間にもひたすらリサーチ。←

なんやかんやで手帳のことを調べまくったら、運命ともいえる出会いがあった。トラベラーズノートだ。革のカバーにリフィルを挟んだだけというザックリした作りに惹かれた僕は、近くの本屋さんでトラベラーズノートを購入した。(調べるうちにトラベラーズノートが販売されているお店は少ないことを知り、さらに運命を感じた話も書きたいけど、長くなるので割愛)

トラベラーズノートには手帳リフィルがあり、僕はバーチカルリフィルを使ってみることにした。理由は単純。トラベラーズノートの生みの親である飯島さんがバーチカルリフィルを使っていたからだ。

ミーハー気分でバーチカルリフィルを購入した僕だが、オタク精神が顔を出し、使うならとことん使おうと決めた。「毎日を旅するように」というトラベラーズノートのコンセプトに従うのなら、毎日の記録を書いていこう。

完全にトラベラーズノートの戦略に乗せられている気もするが、気にしてはいけない。そう、僕はトラベラーなのだ。と自分に言い聞かせる。

毎日の記録を書くことになれば、その内容のメインは当然仕事のことになる。仕事のことを書き残すうちにあることに気付く。

「書くの楽しー!」

違った。「これで仕事の時間の使い方が振り替えられるし、予実績も把握できる。手で書くから記憶にも残りやすい。これはみんなで使えば業務改善につながるかもしれない」

よし!みんなに広めよう。名付けて「バーチカル手帳を広めよう大作戦」←

ちょうど、係長に相当する役職がついていた僕には、何人かの部下がいた。さっそく部下を集めてバーチカル手帳を使うことを提案。反対されると思ったけど、意外と好反応だった。

さすがに手帳を買うわけには行かないので、バーチカル手帳のレイアウトをExcelで作成。印刷して使ってみることにした。

名付けて「作業日報」←

はじめは30分単位のレイアウトで使用していたが、細かい区切りが良いとの要望があった。(マニアックな仕事やからね)試行錯誤を続け、最終的には6分単位に落ち着いた。(なぜ6分なのかを説明すると長くなるので割愛)

みんなで意見を出し合ったこともあって、使い続けることができた。継続すると色んな効果が出てくる。書き方に個性が出てくるので、コミュニケーションツールとしても役に立った。これは思わぬ産物だ。

「バーチカル手帳を広めよう大作戦」は順調に進んでいた。

そのうち、なんやかんやでなぜかスピード昇進してしまった僕は、別部門の研修にも携わるようになった。ここでもバーチカル手帳を広めようと企んでいた僕は、さっそく別部門の人たちにもすすめる。

そこでの反応はそんなに良いものではなかった。でも僕は諦めない。取締役や部門長が集まる会議の場で提案した。するとその話に乗ってきたのは取締役。「これはイケる」そう確信した僕は取締役を巻き込みながら会社全体でバーチカル手帳を使う流れに持っていった。

これは自分で自分を褒めたいと思った。

しかし、ここからが問題だった。話に乗ってきた取締役の食いつき具合が良すぎたのだ。突如「デジタル化してデータ管理しよう」と言い出した。

「え?手帳ちゃうやん」必死で手で書くことの良さをアピールした僕だったが、そこは会社。権力には勝てないのだ。

結局デジタル化の担当にまで指名された僕は、モヤモヤした気持ちで業務に取り組んだ。アナログ手帳の良さを知っている僕がデジタル化に取り組むという訳のわからない状況だったが、なんやかんやでデジタル化には成功した。

色んなデータがみえるようになったこと自体は成功かもしれないが、それでも僕の「バーチカル手帳を広めよう大作戦」は失敗に終わった。

あのときの悔しさは忘れない。そう思いながら、今日も僕はバーチカルに書き続けるのだ。


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