見出し画像

2拠点生活のススメ|第334回|これも、幸せ

日が暮れるのが早いせいか、1日があっという間に過ぎていく。

今日は日曜日ということもあって、布団を離れがたくモーニングページを書いてSNSを巡回しているだけで、お昼ご飯の時間。朝ご飯さえ食べ損ねてしまった。

焼いた餅を投入したカレーうどんを食べて、録画していた日曜美術館を見る。初めて観るような水墨画にいきなり心掴まれて、テレビの前から動けなくなる。水墨画家・篁牛人(たかむらぎゅうじん)の世界、そんな人ぜんぜん知らなかったな。

画像3

和紙を削り取るように独自の手法で描かれた黒。極端にデフォルメされたちっちゃな顔の動物。細い線だけで描かれた、まるでアニメのような人物。はじめて伊藤若冲を見た時のような衝撃。画風は全く違うけど、独自の世界観に魅せられた。

スクリーンショット 2021-12-05 17.24.19

元々絵を描くのが好きで図案家として生計を立てていたそうだが、戦後復員して45歳で画家として出発、きっと戦争という理不尽な命のやり取りを体験して思うところがあったんだろうな。

けれど、彼の絵は当時の水墨画の常識からかけ離れていたせいか、まったく売れなかったようで、54歳のとき家を出て放浪生活を送りはじめる。酒におぼれ、作品と酒を引き替えにして、絵を描きながらも、あちこちで飲んだくれていたそうだ。

特定の師も持たず、画壇に属することも無く、毎日酒を飲みながら、自由奔放に自分の信じる世界を突き進んだ牛人。自分にはとても真似の出来ない生き方だけに、ますます畏敬の念を感じざるを得ない。

今になって評価され、ようやく時代が追いついてきた、ということのようだ。

そんな牛人の世界に感動している間に、いつの間にか日もどっぷりと暮れてしまった。ジムにも行こうかなとも思っていたのに、結局動けず仕舞い。何もしなくてもお腹だけは空くので、冷蔵庫にある豆腐を温めて、一杯飲むことにしようか。

何事も無く過ぎていく日曜日。こういうのが幸せなのかもと思いつつも、もったいないような、情けないような、複雑な気分。

傍らには、スヤスヤと眠る猫たち。

やっぱり、これは幸せなんだと思うことにしよう(笑)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?