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ユーザーテストで一番大事なのは“観察”だと思う。

(※2019/01/16編集。ページ最下部に追記しました)

今日はユーザーテストについて書きます。

私が担当するPJの多くはユーザーのプロダクト利用状況を調べることから始めます。

プロダクトの利用時から目的達成のゴールまでファネルに分解し、各ステージの数値を見つつ、同時にユーザーがプロダクトの価値を学習するために最適化できているか?を知るためです。

ユーザーテストは特に後者の部分で必要と考えていて、ファネルで目標の数値にたどり着かないときに、どこに問題があるのか?を確認したいからです。

ユーザーテスト提案時にお客さんから言われてハッとした質問


最近、お客さんからUI改善のご相談をいただき、ユーザーテストをしましょうという提案をしました。

お客さんは普段からユーザとコミュニケーション量が多く、プロダクトもどちらかといえば新しい市場を創っているタイプのものです。
(いや、すごい…ほんと)

これまでにもご自身でユーザーテストを繰り返されていて、うまくいったことやそうじゃない経験もされたからこそ、ユーザーテストに対して期待半分、懐疑的な部分も半分あるんじゃないか?と感じております。

キックオフMTG時にお客さんはユーザーテストで以下の点が気になると話されました。

これらは私にとって、とても良い指摘だなと思ったのでここにまとめておきます。

お客さんが“ユーザーテスト”に対して感じている疑問

1. テストをしたけど「それはわかっているよ。」という通り一遍な結果しか得られなかった場合

2. ユーザーさんからの指摘はそのとおりだが、現状の機能からはそもそも無理だよという結果が出た時。

3. この人の意見を聞いたときに、この人だけの問題じゃないの?or not 。

4. 初めてアプリに触る人と、二回目の人の行動って変わるからUIはどう作ればいいの?

5. ユーザーテストの結果が出て、それを UI にどうやって落とし込めばいいの?

どれもすごく良い質問じゃないですか?

自分もそうだと同意される方も多いと思うので、以下に回答も記載しておきます。

 1. テストをしたけど「それはわかっているよ」という通り一遍な結果しか得られなかった場合

ユーザーテストを行うと必ず何らかの気づきが得られます。もし通り一遍な回答しか得られなかった場合はテスト方法が良くない or 設問設計がよくないことが考えられます。
デザイン時に何の洞察もデータもない状態で設計、つくるものはただの雰囲気がいいビジュアルです。(除くヒューリスティックな勘)

2.ユーザーさんからの指摘はそのとおりだが、現状の機能からはそもそも無理だよという結果が出た時。

これはプロダクトのあるべきストーリーや届けたい価値が設定されていれば、優先度を判断できるのでそもそも無視するか、対応時間をつくるのどちらかと思います。

3.この人の意見を聞いたときに、この人だけの問題じゃないの?or not 。

だから、3人以上でユーザテストをしましょう。

1人でテストをしたらこの人だけのケースかな?と感じたりするかもしれません。3人〜5人テストをすることで、偶然なのかその人独特の感じ方なのかどうかに気づきます。

ユーザーテストは3人以上することでユーザビリティ課題の70%は見つかると言われます。(by ニールセン)

4.初めてアプリに触る人と、二回目の人の行動って変わるからUIはどう作ればいいの?

人によってUIを変える必要はありません。ペルソナの種類というよりも行動するグループで明確な違いがある行動グループにわけられる場合は UI の検討が必要かと思いますが、同じ状況で同じゴールを目指してもらう場合はある程度共通の行動に収斂されます。この行動を観察するためにユーザーテストをしましょう。

5. ユーザーテストの結果が出て、それを UI にどうやって落とし込めばいいの?

動線とファネル(=全体のながれ)を見てから、各画面(点)の役割、機能、解決するべき課題を書き出して整理しましょう。

これらの整理があってからデザインガイドライン(あれば)に則ったUIパーツをあてたり、文言を調整します。静止画面でユーザーさんが理解しやすい UI とながれを仕上げつつ、ビジネスの目的も達成できるように設計します。

アニメーションやマイクロインタラクションと呼ばれるところは、UXを上げるために必要ですが、当たり前品質を担保したいのか、魅力品質を担保したいのか?でここへのリソース投下具合を判断しましょう。

といった感じでしょうか。

個別の質問に関して、ざっと回答するとこんなかたちになりましたが、なぜユーザーテストが必要なのか?の本筋としては別だと思うのでそこも書きます。

ユーザーが言ったことではなく、ユーザーの行動を観察する


ユーザーテストの観察時にはインタビューなども行います。

ユーザーさんが話された内容を参考にする時も多分にありますが、どちらかといえば*どんな行動をしているかを観察することが大事だと思います。

冒頭のほうで記載しましたが、お手伝いしているアプリは新しい市場を開拓しているプロダクトです。

創業者の方々はこんな課題がマーケットに存在するのか?という問いを何度もしてきたのだと思います。

この問いを解決するには、サービスを利用してくれる人が本当に満足してくれるまでずっと改善を続けるしかないのだろうと感じました。

本当に満足してもらうためには、ユーザーに「どうやったら使いますか?」などを聞くのはあまり効果がないかもしれません。

ユーザーにヒアリングをしても、初めて体験するサービスだからそもそも望んでいたものかどうかわからなかったり、テストなので模範解答を伝えようとする被験者の方もおられます。

だからこそ行動を観察するユーザーテストが必要で、その行動を発話形式でアウトプットしてもらうことが洞察の数に繋がります。

観察が大事という話はフランシスベーコンが400年前に言っている

私は観察を大事だと思っている理由はいくつかありますが、フランシスベーコンの言葉が一番好きです。

知識は力なり

有名な言葉ですが、フランシスベーコンは知識とは何か?という問いに対して力と断言しています。
人類を前進させたり未来を変える圧倒的な力が“知識”だといっています。

そして、知識を得るためにベーコンが主張したのは観察と実験の大切さです。

本当に大事なことを見つけたいのであれば現実をしっかり観察し、様々な実験を重ねて、その結果をじっくり検討しなければならない。

これらのデータ(観察と実験)踏まえて、理論や結論を導き出す方法が「帰納法」と呼ばれて近代科学の礎になったと言われています。

ユーザーテストを経て、プロダクトをつくるのはまさにこのプロセスを踏襲しているのだと思います。

最後はちょっと趣味的な話になりましたが、ユーザーテストで観察は本当に大事。という事を書いてみました。

なにかの参考になれば幸いです。

では。

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※2019/01/16追記

この時に書いたお客さんのインタビュー記事ができたのでリンクを貼ります。

今ではご自身のチームで改善を繰り返され、プロダクト含めサービスがどんどん良くなっています。
ユーザーさんの意見を取り入れるところと、自分たちが進めたいプロダクトをいいバランスで展開されてほんとにすごいなと思います。


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