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今宵我等命を奪う

ガンダム・ルブリス・ソーンとガンダム・ルブリス・ウルのプラモデルから妄想する、本来想定される運用形態について

ガンダム・ルブリス・ソーンとガンダム・ルブリス・ウル。
どちらもアーシアンのテロ組織「フォルドの夜明け」が運用する、ガンダムタイプのモビルスーツだ。
ルブリス・ウル(以下"ウル"と表記)は2023年3月4日、ルブリス・ソーン(以下"ソーン"と表記)が3月18日にそれぞれ発売された。

まずはウルについて。
Ur。意味は「野牛/本能/勢い」。
後発のソーンに関するネタバレを避けるためか、ウルの説明書には、
「特に短期決戦を想定した性能が与えられており、通常の戦闘特化型と比較しても、極めて高い出力平均値を誇る」と書かれている。
野牛の名を与えられているため、ある程度の単独突破型運用を想定した機体と予想される。

ガンダム・ルブリス・ウル。かなりマッシブなデザイン

ウルのパイロット、ソフィ・プロネについては、公式で
「自分の本能に素直で、欲求を満たすためならば暴力をいとわない」とあるので、この機体はある意味彼女にはピッタリだが……懸念が一つ浮かぶ。
公式サイトの記述によると、ウルの重量は75.9t。ジェターク社製のモビルスーツ並に重い。
関節部分の露出を極力避けるようにレイアウトされた装甲が重量を増加させている。この機体は、おそらく敵の真っ只中に飛び込んである程度「持ちこたえる=時間稼ぎをする」、もしくは「味方機のための壁役(=味方機への攻撃を受け止める役)を務める」ことが期待される。
であるならば、この機体のパイロットについては本来、諸氏の想像される通り「ある程度の自己犠牲と忍耐強さ」が要求されるのだが、当のソフィは……12話で活躍した通りの"あの"性格"のため、ウルが想定通りに運用されるかどうかはとてもとても微妙であると言わざるを得ない。

相方となるソーンについて。
Thone。ルーン文字の3番目。
意味は「茨/棘/怪物/悪魔」。

ガンダム・ルブリス・ソーン。ウルに比べて小柄。

ソーンの説明書の記述には「より高度な戦闘機動に耐えうる」とある。
機動(マニューバ)の意味は
"一般に作戦行動において戦力を適切な時点に、適切な地点に位置させるための部隊の運動である。"
しばしば誤解されやすいのだが、"高度な戦闘機動"とは、高速で機体を動かす事ではない。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/機動

ここで示される"高度"、とは難易度が高い、という意味である。そしてそれは単独機体ではなしえない。
つまり、"高度な戦闘機動"とは"複数機体によって展開される戦闘作戦のための行動"という意味になる。

重ねて、説明書には「バックアップを主体とした戦術を行うなど」と記載されている。この機体は本来前衛(アタッカー)用途ではなく中後衛用(中継もしくは攻撃支援用)機体として設計されている。

ソーンの機体重量は公式発表によると41.2t。高機動性を誇るペイル・テクノロジーズのガンダム・ファラクトが57.1t、同じガンダムタイプのガンダム・エアリアルはガンビットの防御がついて43.9tである。
ソーンは低重心化を図るためか頭頂高14.4mと小柄に作られている。
ウルに比べ腕は太く長く、三方向に分かれた足部は細い。
この機体はおそらく四つん這い状態で地面に低く屈みつつ太い腕で機体を支え、更に足部を地面に深く噛み込ませるためのアンカーとして使用する。そして、どこかに隠れて背中のフェーズドアレイキャノンで多数の敵に有効な一撃を与えることが運用思想に盛り込まれていると想像される。

ゴテゴテに重たいウルと、低重心なソーンをセットで"高度な戦闘機動"に用いるとするなら、それはどういうことなのか。
考えられるのが、日本は戦国時代の大名、島津義久が編み出した戦法、"釣り野伏せ"だ。
これはどういう戦法か簡単に説明すると、まず味方の機体を単独で敵陣深く切り込ませ、ある程度わざと攻撃を受けたうえで逃げる振りをする。これが"釣り"役の動きだ。
釣り役を追いかけてくる敵をある特定の地点に引き連れ、その地点で"野に伏せ"ていた味方が敵を一網打尽に叩く……という、少数が多数の敵を倒すための戦法となる。小規模組織のゲリラやテロリストが導入するにはうってつけの戦術とも言える。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%87%A3%E3%82%8A%E9%87%8E%E4%BC%8F%E3%81%9B

まず厚い装甲を持つウルが単独で多数の敵の只中に突っ込み、戦端を開く。余力を残して逃走を開始し、追ってくる敵を引き連れる。あらかじめ示し合わせていた地点に隠れていたソーンがウルを追う敵に範囲攻撃の"不意打ち"を喰らわせ、壊滅を図る。

この時、ウルはフェーズドアレイキャノンを装備しない。多数に囲まれた状態ではキャノンの展開を待っていられないからだ。……ソフィなら構わずぶっ放すかもしれないが。
ではどうするかと言うと、1つ目の手法として、ソーンに背負わせる。ソーンが与える不意打ちの一撃は、二基のフェーズドアレイキャノン同時運用による集中砲火、と予想される。

2つ目の手法は、ウルの説明書にある「高パーメットスコアでアンロックされる別機能」だ。これについては想像もつかないので割愛する。

ウルは、背中にハードポイント(兵装取り付け部分。ここでは黒くて丸い穴のこと)が3ヶ所用意されている。ソーンは中央のハードポイントでフェーズドアレイキャノンを支えているが、右にハードポイントが別に用意されているのがわかる。
つまり、フェーズドアレイキャノン2基の同時運用はおそらく可能と思われる。

ウルとソーンのハードポイント。2機の頭頂高が違うため、
キャノンの大きさが違うように見えるが、実は全く一緒

さて、ここで思い出してほしい。
ウルのパイロットはソフィ、そしてソーンのパイロットはノレアだ。
ウルの想定される運用思想として「ある程度の自己犠牲と忍耐強さ」を持つパイロットが必要だと上に記したが、乗っているのはソフィである。

大事なことなので、もう一度記す。
ウルのパイロットは、ソフィである。

自己犠牲と忍耐強さ、というか敵を釣り出して指定地点まで引き連れてくるには冷静な判断と演技力が求められるため、自己の本能に忠実なソフィでは、釣り野伏せの釣り役には不向きなのだ。かといってソーンで釣り出しを行うには、ひたすら敵の攻撃を避けつづけなければならない。確実に装甲がウルよりも薄いことが見て取れる、バックアップ目的のソーンでは、敵の攻撃が一撃でも当たると即命取りになりかねない。

結論。
この二人、本当は乗る機体が逆だよ!
ソフィがあんな性格だから、突撃型のウルに乗ってるんだよ!
12話でソフィはノレアに「一人で不安?」と聞かれているけれど、ソフィがあんな感じだから不安なのは実はノレアの方では?


参考資料:
DUCK WORKS
ウル・ウルズ【ルーン文字解釈】野牛・本能・勢い

ソーン・スリサズ【ルーン文字解釈】巨人・棘(トゲ)・茨(イバラ)


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