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【水星の魔女】今更ながら「例の件」について

19話で「なぜガンダムがあるんだ!」と叫んだラウダ。

ガンダム・シュバルゼッテ。
プロスペラからデータ提供は断られたはずなのに、何故?

18話でプロスペラから「その機体、株式会社ガンダムとジェターク社の共同開発として発表するのはいかがでしょうか?」と提案されたこれ。

ミオリネが一目見て「ガンダムぅ!?」(=これはガンダムだ)されたシュバルゼッテ

7話で出てきた謎の単語"例の件"=シュバルゼッテ(を建造するための基礎データ)について推測(という名の妄想を)します。

お互い不干渉で行きましょう、って言ったのに

「例の件」のきっかけは3話、グエルの敗北です。
グエルはダリルバルデに搭乗して決闘に挑み、そして健闘するもスレッタに敗北しました。

本来ならば虎の子のダリルバルデ

ダリルバルデは公式によると「第5世代AIの実証機」、つまり販売可能な量産機よりもっと前の段階にあたる試験機で、存在そのものは公開されているかもしれませんがその詳細については未公開……本来社外秘の機体です。
搭載AIがβ版だったことから、まずは社内における各種試験でAIの成熟度を上げて、いずれは決闘などの実戦形式のステージで運用を重ねて行くつもりだったのでしょう。
その予定を前倒しして投入したにもかかわらず敗北を喫したため、残念なことにジェターク社の株価が下落の一途を辿っています。

4話でヴィムと話す投資家の面々

3話の決闘結果がグループ内に配信された以上、第5世代機の研究/市販化はキャンセルし早急に次世代機開発へ舵を切るべき、と決断したと予想されます。

業績回復のためにヴィムが手を伸ばしたのが、「新型ドローン技術」としてのガンダム・エアリアルのデータと見られます。

2話の審問会でペイル社とプロスペラの間で交わされた
「機体の技術情報は提供してくださるのかしら?」
「もちろんです」
この会話を根拠に、ヴィムがプロスペラにデータ提供を要求したのでしょう。
ここが「例の件」で、プロスペラにのらりくらりと断られたのだと予想されます。
「今後はお互い不干渉で行きましょうって話したじゃないですか」とでも言われたのではないでしょうか。

ガンダムのデータが渡されたのは3年前? 3話のUSBメディアは?

シュバルゼッテの建造開始について、ヴィムとプロスペラが3年前に接触を持っているからそこではないか、というお話を伺いました。
また、2話でプロスペラがヴィムにUSBメディアを渡しているから、そこでデータの授受が行われたのではないか、というお話もありました。

これに関しては、「どちらも違う」と断言します。

2話でプロスペラがヴィムに面会を求めた際、「3年前の社長就任以来だったか。レディ・プロスペラ」と発言しています。
この二人が最初に接点を持ったのは確かにそこなのでしょうが、2話の時点でヴィムは「水星の採掘屋ごときにガンダムが作れるものか!」と罵ってますので、3年前には既に新型ドローン技術を制御できる機体=エアリアルが水星にあった、ということを彼は知りません。
ゆえに、シュバルゼッテの開発開始は3年前ではありません。

3話で渡されたUSBメディアは小説版に「デリング暗殺計画の証拠をおさめたデータ」と明確な記述があるので、こちらも違います。

ダリルバルデが敗北を喫したことにより第5世代機は顧客に見向きもされないことが予想されたため、業績回復の起爆剤として次世代機を前倒しで開発する必要が発生し、次世代機用搭載技術として「新型ドローン」とそれを操作するエアリアルのデータを欲したことが、シュバルゼッテ建造の始まりと私は見ています。

例の件の再検討とは

7話のパーティ会場でラウダがプロスペラを伴い「例の件の再検討を」と持ちかけるシーンがあります。
これは「エアリアルを廃棄させないように取り計らってやるから、引き換えにデータを寄越せ」=例の件の再検討となります。

しかしこれについてはミオリネが株式会社ガンダムを興したことで、ジェターク社に阿る必要がなくなったため、プロスペラは艶然と微笑んで拒否します。
「お話まだ続きます?」と。

「例の件の再検討を」と持ちかけるラウダ(左)
「お話まだ続きます?」と打ち切りを促すプロスペラ

例の件(=ガンダムのデータ提供)の再検討(=交渉)がなくなった(=失敗に終わった)ことをラウダは知っているので、19話でスタッフに「なぜガンダムがあるんだ!(あの取引は立ち消えになったはずじゃないか!?)」と詰め寄っているのです。

7話の株式会社ガンダム発足に伴うシン・セー開発公社&ペイル社ファラクト開発部門の買収決定で、パーティーを利用してエアリアル廃棄に動いていた御三家のうちジェターク社だけが体裁を取り繕えない状態に陥った結果、8話以降文字通りヴィムから懇願する形でデータ提供を願ったのだろう、と推測します。

(ペイル社はファラクト開発部門を売却=リスクが値付けされたのでプラマイゼロもしくはわずかにプラス、グラスレー社はこの回で表だって動いていないのでノーダメージ、廃棄を煽ったジェターク社だけが良くないイメージを被って終わり、結果ますますジェターク社の資金繰りが難しくなった)

実証機? コンセプトモデル? 何それおいしいの?

私が以前勤めていた環境からの引用ですのでここでは当てはまらないかもしれませんが、参考までにコンセプトモデルや実証機について少しだけ触れます。

コンセプトモデル
展示会などでメディアや投資家に公開するための『張りぼて』です。
将来こんなことをしますよ、こんな方向性を目指して開発していきますよ、という会社の方針を外部にアピールするための機体です。
費用や時間の節約のため(※または張りぼてを作るのがめんどくさいため)、実証(実験)機をそのままコンセプトモデルとして展示することや、ある程度動くコンセプトモデルを実証(実験)機にスライドさせることも多々あります。
シュバルゼッテはここに入ります。武装が少ないのはあくまでもコンセプトを形に落とし込むことが優先だった=武装は実証(実験)段階に移ったら本格的に検討、だったのではないかと予想します。

実証(実験)機
コンセプトモデルで打ち出した方針や理論が実際に市場に出せそうか、現場で使い物になるかどうかを検証し試験運用を行うために製造するのが実証(実験)機です。
この機体を使って各種データを収集したうえで検討し、その結果コストに見合わないようであればお蔵入りになったりもします。収集したデータは(機体や計画に対する直接のスポンサーがついていないなら)基本は非公開です。
ダリルバルデはここに入ります。
サマヤ母子が乗ったガンダム・ルブリス(XGF-02/LF-03)もおそらくはこのカテゴリに分類されます。

(量産)試作機
実証(実験)機で集めたデータを元に本格的な量産とコストダウン化を前提として建造するのが(量産)試作機です。ここでも各種データを収集し、量産化へ向けて問題点を洗い出します。実際の使用環境に即した空間へ持ち出すことも多々あります。
テスト時間の短縮を目指す&各種オプションをテストするため、試作機は複数台生産される場合があります。
ガンダム・ルブリス試作量産モデル(XGF-01/LF-01,02)はここに入ります。
よりによってオックス・アースはこの試作機段階のものをバカスカ作って販売していたことになります。
ナディムも「上が焦ってロールアウトするから……(問題点が何も解決してないのになんで販売しとんじゃい)」とぼやくわけです。

試作機で見つかった問題やコストダウン可能な部分を洗い出して反映し、本格的に建造するのが『市販機/量産機』となります。

結構ハイスピードで建造中?

左が18話のダリルバルデ、右が19話のダリルバルデです。
18話で「総裁選まで2週間」、19話で「総裁選まで10日」という台詞があったので、わずか4日でここまで建造が進んでいます。

シェルユニット組み込み前(左)と組み込み後(右)
左はパイプ?ホース?がつながっているため部分的に稼動テストを行っているのでは

左の画像では胸の部分にパイプかホース、もしくはコードのようなものがつながっているので、製作中の部品を待ちながら駆動エネルギーの供給を受けているか、あるいは部分的に稼動テストを行っていたのではないかと見ています。

本社フロント内のハンガーで出番を待つシュバルゼッテ。
誰がパイロットとなってその勇姿を視聴者に披露するのか。
私はその日をとても心待ちにしています。

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