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大寒 ’24

ストーブの筒が青色から赤色へかわってゆくのを眺めていた。

どんな季節であろうと、昼間の生き物たちが寝静まり、月がのぼり夜になるうちに、時間の密度が濃くなり、すこし特別な時間へと変わっていく。私は夜が好きだ。

大寒の夜。
冴え渡る月夜の下、足元の底冷えするような寒さを味わいながら、指先から伝わる温かさに瞼を閉じると、安堵のため息が出た。

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この間、xの相互さんが、東京出張から大阪への帰宅の新幹線で、関ヶ原付近の大雪で足止めを食らって帰れないと呟いていた。
雪が年に一度積もる程度の場所で育ち、今は東京で暮らしている私にとって、雪景色にはかなり憧れがある。
しかし、雪国で生活する方々の呟きをみると、日常的な雪かきや、命に直結するような寒さに、やはりそう甘くはない様だ。私だったらいくらスタッドレスタイヤを履いていようが運転を断念するような雪の日も、雪国の人は難なく運転してしまうのだろう。コツがあるのだろうか。

雪国に出張した時、あまりの寒さに歯の根が合わず、ガチガチと震えながら客先に向かった。
ビニール袋で予防していても、靴下まで雪水が染み込み、足の指の感覚がない。
雪景色の美しさとは裏腹にまるで地獄のような道のりを、私は一生忘れないだろう。

きっと雪国の人は然るべき対策をとり、私のようにはならない。それでも冬を讃え、厳しい寒さを乗り切り、雪景色を心から美しいと感じる事ができるのだろう。
きっと春を待つ喜びもひとしおだ。

正直なところ私は都会があまり好きではなく、東京という場所には魅力を感じていない。住んでいるのは郊外中の郊外の田舎であるが、それでも東京ではない地方の田舎に住む方が私にはよっほど似合っていた。
それでも私はこの場所で生きて行かなければならない。
この場所の愛すべきところを愛すために、私にはもっと知恵と工夫が必要だろう。


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