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立春大吉

2月6日

雲に覆われた太陽が白く光っている。
自然のレフ板に照らされた、すっかり雪化粧をした街並みには独特の明るさがあり、雪かきをする手を止めて丘の上の住宅街からその見慣れぬ景色を眺めていた。
ご近所の紅梅の枝にも雪が積もり、まるで日本画のよう。

年に一度の大雪に街の人たちも興奮が隠しきれないようで、知ってる人から知らない人まで1日で10人ほどと立ち話をした。

保育園まで娘を送る道中、私が雪道に四苦八苦する様子に、和かに話しかけてくれた老夫婦がいた。
最後に、『お母さんはさぁ、大変そうだけど。お子さん、すごく楽しそうだよ、これは絶対良い思い出だよ』
と言ってくれた。私はお金をケチってスタッドレスタイヤではなくオールシーズンタイヤにした事を後悔していたが、娘の笑顔に、これも悪くないなと思えた出来事だった。


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2月7日

仕事が本当に忙しい。

この間承認図を提出したのに、客先都合で何度も何度も修正依頼がくる。承認図という言葉の意味について考えさせられる。
リモートワークは孤独だ。ずっと図面とばかり向き合っていると脳みそがオーバーロードしてしまいそうだ。私の脳みそは決して容量が大きくないので尚更である。
一度過負荷で停止してしまうと立ち直るのは難しい。
それでも電話は鳴る。

客先担当者が20時に送ってきたメールに22時に返信した後、22時30分に返事が来ていたので返信する。

23時。夜中の仕事部屋に、起きてしまった娘が目をこすりながらやってきた。
寝室に行って、布団でテントを作って絵本を読む。
いつもは保育園でお姉さんぶっているらしい娘に、
『娘ちゃんは、赤ちゃんだね』と言うと、嬉しそうに笑って、私の胸元に顔を埋めた。
2歳9ヶ月。シンデレラに憧れるけど、まだまだ赤ちゃんでいたい。可愛い我が家のプリンセスだ。

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2月8日

朝、メールチェックしていると、客先担当者から深夜の2時に返信が来ていた。シビれた。
きっと彼はターミネーターに違いない。数年先の未来から来たのだろう。



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