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携帯電話が普及したことによる負の側面

今までも折に触れて、携帯電話が世間に普及して、いつでもどこにいても連絡が取り合えるようになった負の側面を考えてきました。

たくさん思い浮かぶ負の側面の中で特筆すべきものは、ビジネス上で人が育ちにくくなったことだと思います。

先週1週間、妻と息子と3人で海外旅行へ行ってきました。

子供連れの家族が行く定番の国、ハワイへ。

妻と2人だけで行くハワイは、毎日活動的に過ごすのが常でしたけれど、去年、今年と息子を連れていったハワイでの僕らの過ごし方は以前とはまったく別ものになりました。

出発前に決めていた予定は、朝食と夕食のレストランだけ。

それ以外は毎週金曜日の夜に開催される花火を見ることだけ決めて、現地へ向かいました。

現地へ滞在した6日間は、本当にのんびり過ごしました。

目を覚まして、準備をして、朝食を食べて、プールや海で遊んで、昼食を食べて、買い物に出かけ、夕食を食べて、寝る。

こんな1日を6回続けていた感じ。

息子を喜ばせたくて、街を周遊しているバスに乗ってドライブを楽しむこともしました。

しかも3回も。

バスで隣の席に座っていた家族連れのお父さんが、息子さんを膝に乗せて楽しそうにしているところに、たまたま仕事の電話が入って、対応している姿を見て、休暇中くらい電話を控えてあげるくらいの心遣いも持ち合わせていないのかと怒りがこみ上げてきました。

それまで楽しそうに息子と笑顔でじゃれていたお父さんの顔が、急に真顔になって、ホテルに戻ってから調べて連絡するからと焦っている表情になったからです。

せっかく楽しい気持ちで過ごしていても、これでは台無しです。

本人もかわいそうですし、一緒にいる家族も振り回されます。

現地へ滞在中、体力面は1日中息子と一緒にいて、相手をする必要がありましたので、毎晩ヘトヘトになりました。

ただ、精神面は日中に電話がならないことで、ここまで自分がリラックスできるのかと驚くほどでした。

仕事でかかってくる電話が、精神面に与える負の影響は本当に大きいんだと身にしみて感じました。

もちろん、かかってくる電話の中には僕を喜ばせるもの、楽しませるものも含まれていますので、一概にすべてが悪いとは言えませんが、僕にかかってくる電話のほとんどは誰かが困っているときにかけるくるものですので、堪えます。

毎日電話が震えるたびに、僕の精神はすり減っていっているわけです。

1件1件の電話は些細なことでも、1日にそれが何十件、百件単位で積み上がっていくと、帰宅する頃には、もう今日のエネルギーは底をつき、僅かな気力さえ残っていない状況になっているわけです。

こんな状態で帰宅していては、本来優先すべき将来に向けた新たな試みに取り組めません。

帰国して、会社へ行くと、不在中に僕の代わりに色んな人が対応してくれていて、僕宛の電話が旅行に行く前よりも格段に減っていました。

この状態が、そのままずっと続けばよいのにと淡い期待を胸に秘めて、2日間過ごしました。

ところが、すっかり旅行に行く前の状態に戻っている気がして、すでにげんなりしています。

ただ長期休暇をとって、しかもその期間一度も仕事の電話には対応しないことにして、僕が普段やっている仕事を他の社員が代わりにやってくれる環境をつくってみて、こういうことを意識的に続けていくことこそが必要なことだと強く思いました。

いつでも、どこにいても、普段通り指示を仰ぐことができる環境では、人は育ちませんから。

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