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万人受けする味

万人受けする味とは、広く評価されるものを意味する表現だ。
味覚に対して「万人受け」と表現する場合は、相手の味覚の好みが分からずとも、確実に喜んでもらえる味を選ぶことになる。

言葉にすればあっさりしたものだが、老若男女、どんな地域の人が食べても「おいしい」と思ってもらえる味の追求となると、目の前に天を貫く巨大な障壁が立ちはだかる。

甘くすれば、お子さんのウケはいいかも知れない。ただ、酒飲みの舌に合う味にはならないだろう。
ちょっと濃い味にすれば、関東圏ではヒットするかもしれない。逆に関西では、不評を買いそうだ。

同じ人物がその日の気分で、甘党になったり辛党に転じたりするのも珍しい話ではない。してみると、万人受けなんて考えるだけ無駄な気分にもさせられる。

しょうゆ・酒・みりんなどの調味料を混ぜて作る「合わせ調味料」には、決まった比率「黄金比」というものがある。
酒1:醤油1:みりん1。これさえ守って調合すれば、どんな料理にも合う万能和風だれが出来上がる。

失敗はないが、個性もないのが「黄金比」だ。
家庭と同じ味では、わざわざ我が社の漬け魚を買っていただく理由がなくなってしまう。
漬け魚なら、この味。そうした個性の打ち出せる独自の比率を追求したくなる。

一方、個性を追求する程に、万人受けからは遠ざかるジレンマを抱えてしまう。

食の世界も、一期一会だ。
お客様が口にされた最初の瞬間、「うん、これならもう一度食べてみたい」と思っていただかなければ、次はない。
今日もまた、理想の味付けをもとめ、試行錯誤の繰り返しが続く。

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