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インボイス制度が生み出す歪み

あんたはインボイス制度って言葉を聞いたことがあるかい?

まあ、消費税に伴う法改正なんだけれども、そもそも消費税の仕組みが非常に複雑怪奇なのに、そこに輪をかけて消費活動を抑制する仕組みなんだよな。

しかも、この法律はすでに可決していて、2023年10月1日から施行となる。

はっきり言って、この仕組が導入されたらえげつない事が起きる。

今回は改めてインボイス制度で起きることについて考えてみる回だ。

ちっと、税金ってものについて真剣に考えてみようぜ。

インボイスは個人の経済活動を抑止する

今回、あらためてインボイス制度について考える切っ掛けをくれたnoteがある。

春日さんは出版社を経営なさっている御仁なんだけれども、元出版業サポートのフィールドシステムエンジニアである俺にとっては、めっちゃ刺さる記事だった。

考えてみると、出版業を始めとする個人からの仕入れを行う業界にとって、このインボイス制度って悪魔の制度だよな。

何?そもそもインボイスってなんだって?

そらそうだ。
インボイスってのは「請求書」のことだね。

なんで請求書が個人の経済活動を抑止するんだって?

この問題はまず消費税って仕組みが複雑すぎるって話から始めないといけない。

そもそも、日本の消費税ってアメリカが導入している間接税とは仕組みが違うって話を聞いたことがあるかい?

アメリカでは消費税ではなく「小売売上税」ってのが間接税として導入されている。

何が違うんだって?
ポイントは税金がかかるタイミングの違いだ。

アメリカの場合は「小売」での売上が発生したときのみに小売売上税がかかるんだよ。

言ってる意味がわかんないって?
そうなんだよ。メチャクチャめんどくさい話を今俺はしている。

小売売上税の場合は、こんな感じだ。
比較しやすい様に円で表現してみるぜ。

小売売上税の場合

本体価格1000円の商品を小売売上税10%で売った場合。

本体価格:1000円
小売売上税:100円

ってなる。

なに?消費税と同じじゃんかって?
じゃあちっと比べてみよう。

消費税の場合

本体価格1000円の商品を消費税10%で売った場合。

本体価格:1000円
消費税:100円

で、消費税の場合はこれで終わらない。
この商品を本体価格500円で仕入れていたとする。

消費税は小売売上だけにかかるわけじゃないから、仕入れのときにも消費税ってのはかかるわけだ。

仕入れ本体価格:500円
仕入れ消費税:50円

で、この本体価格1000円で販売した事業者はいくら消費税を収めないといけないのか?

消費税 - 仕入れ消費税 = 100円 - 50円 = 50円

なんだよ。

理屈としては仕入れ消費税は仕入元の会社が消費税として収めているはずだから、その分は差っ引いていいよって仕組みなんだよ。

わけわかめだべ?

インボイス制度が破壊するもの

で、この複雑怪奇な消費税の仕組みを前提として、導入されるのがインボイス制度だ。

ざっくり言えば、この仕入れ消費税ってのが「確かにその取引は消費税を収めているヒトから仕入れた」ってのを請求書に示されている場合だけ差っ引くことが出来ますぜって仕組みだ。

それの何が問題なんだって?
ポイントは消費税を納める義務が生じる売上高だな。

消費税ってのは年間売上が1000万以上の場合に納税義務が生じる。

つまり、年間売上が1000万無いような個人事業主は消費税を収めなくても良いわけだ。

ところが、インボイス制度によって、売上が1000万に行ってようがいまいが「消費税を収めている」って状態になっとかないと仕事をそもそももらえなくなる可能性が出てくる。

だって仕入れる側からすれば、その仕入れのときに相手が消費税を収めているって証明をしなければ収めなきゃいけない消費税が実質的に増えちまうわけだもんな。

そこで春日さんの出版業における状況を想像する。

作家さんなんてほとんど個人事業主だろうから、消費税を収めるまでの状況に達していないと思う。
ってか、達していたとしても仕組みとして請求書に明確にインボイス制度が求める状態の記載が出来るための仕組みってのを使えていないことがほとんどだと思う。

でも、インボイス制度の導入によって、そう言う正確な仕組みなくしては税制上のデメリットがでかくなるので、現実的には出版社は作家さんに対するギャラを減らさざるを得ない。

これってさ。
なにげに文化の危機じゃないか?

本を書いて食っていけるって状態が担保されなくなりつつあるって意味だもんな。

なあ、あんたはどう思う?

なんで俺たちは「消費税」なんて仕組みを許してしまったんだろう?

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