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コンテンツの価格破壊

あんたは最近のコンテンツに対する価格についてなんか感じるところがあるかい?

ここならのイラストのサービスなんかを眺めていると、なんつーか価格破壊が起きちまっている。

物によっては2,000円だってさ。

いや、これどんだけ時間かけなければペイするんだよって感じだよな。
プログラムみたいに部品化して生産性を上げるなんてイラストでは出来ないんだしよ。

質の良いコンテンツが提供される土壌としては、そのコンテンツを提供してくれる人がまっとうに生き残っていく環境が不可欠だと思うんだが、この安売り状況ってなかなかにつらい状況を作り込んでいっている気がする。

今回は、そんなコンテンツ価格について考えてみる回だ。

俺たちの大好きなコンテンツは生き残っていけるんだろうか?

コンテンツの価格破壊の源

今回のテーマを与えてくれたnoteはこちらになる。

陽菜ひよ子さんはEテレのすイエんサーのイラストを手掛けていらっしゃるイラストレーターさんだ。

この中で今回の俺に刺さったのがこの箇所だった。

大勢の「絵が得意な人」が、無償や一点100~1,000円などのタダ同然とも言えるような仕事を引き受けていくうちに、どうなっていくのか。
イラストというのは、タダ同然でやってもらえるものと言う認識が広がってしまうのです。業界全体の単価が下がってしまうのは、これで生活してる「プロ」にとっては、ゆゆしき問題、いや、死活問題です。
出典:陽菜ひよ子さんのnote

つまり、イラストって安いって状況は「それで飯を食っている」プロが存続できない環境を作り出す。

これって結構いろんな業界で起きている現象だよな。

例えば有名所だとアニメ業界。

アニメ業界ってものすごく制作費を抑えなきゃ作れないって聞いたとき無いかい?

その製作コストをわかりやすいところで表現できるのがアニメーションで使われる動画用の絵1枚の価格だ。

こいつがびっくり仰天の135円~300円だってんだよな。

いやいやいや、そんなのどうやったって無理じゃんか。
なので、アニメーションの絵を書くって仕事は日本国内ではほとんど出来ずに、海外に発注することになる。

あんたもアニメーションの制作スタッフロールをみることあるだろ?
最近の作品はほとんど日本人の名前が出てこないケースもあるよな。

なんで、安売りしなければならなくなったのか。

その原因を作り出したのが天下の巨匠、手塚治虫先生の手掛けていたアニメーション会社「虫プロ」だ。

虫プロは、アニメーションを世に広めたいという社是のもと、信じられないような低単価でアニメーションを創っていたんだ。
目的はかなって、アニメーションは日本で大いに受け入れられた。

ところが、この虫プロは1973年に倒産してしまっている。
あまりに低単価の仕事は会社の存続を許してくれなかったってことだ。

悲劇はそれにとどまらない。
虫プロ以外のアニメーション制作会社も、虫プロと同等の低単価で制作を進めざるを得ない状況を創ってしまったんだ。

そして、時は経ち現代。
未だにその低単価制作の状態は続いている。

陽菜ひよ子さんはこう言っている。

一度下げた価格は上げることはできない
出典:陽菜ひよ子さんのnote

価格を下げないで仕事するために必要なこと

価格を下げたくなるのはそもそもなんでなのか?

まずはそこから紐解いていってみよう。

(1) 自分の仕事に自信が持てない

イラストに限らず、あらゆるコンテンツ作成についてまわる問題だよな。
自分の価値を客観的に評価出来ないと感じるのは普通に起きることだしね。

こいつをどうにかするために必要なものってなんだろうかと考えてみる。
一つの解として「コンテンツが生み出す価値」ってやつに思いを馳せてみるってのも手だと思う。

例えば、イラストが電子書籍の表紙に使われるとするよな。
で、電子書籍が1,500円で売られていたとする。
電子書籍の場合はKindleなら7割が利益として得られるから1冊辺り1,400円の利益が出る。

その本が1万部売れたら、1,400万円ってわけだな。

仮に表紙のイラストが無かったらどうなるか?

例えば売上が10%下がるくらいの影響は普通に考えられるよな?
そうだとすれば、イラストが生み出す利益は140万円ってことだ。

そう考えてみた時に、あんたがイラストを作り出すってことに対して自信が湧き出てくる気がしないか?

(2) コンテンツ作成にかかる原価構造を把握できていない

こいつは、単純に「商売の仕方が理解できていない」ってスキルの問題。

例えば、イラストのような1回やったらそのコピーでは商売できないようなケースでは、そのイラストを制作するためにかかった時間と経費を意識することになる。

例えば2時間でそのイラストを創ったとする。
1時間あたりのあんたの労働単価を例えば2,000円とする。
つまりあんたの人件費だけでそのイラストの原価は4,000円ってわけだ。

さらに制作に使ったパソコン。こいつの減価償却費だってあるよな。

パソコンの場合は5年償却だったと思うんだが、1年200営業日、1日8時間労働の前提で15万円のパソコンを2時間専有した時の経費はこうなる。

150,000円 ÷ (200営業日 × 8時間 × 5年) × 2時間= 37.5円

ってなる。

さらに電気代もあるよな。パソコンだけでなく空調、照明などもろもろだ。
ざっくり月に2万円の電気代がかかっているとしたら、1日あたりの電気代は666円。そのうち、あんたがイラストを作るのに使った電気が30%程度だとすれば、経費はこうだ。

666円 ÷ 24 × 30% × 2時間 = 16.7円

つまり2時間かけて作られたイラストの原価はこうなる。

4,000円+37.5円 + 16.7円 = 4,054.2円

ここに利益を乗せる。
仮に原価率を80%で計算するとこうなる。

4,054.2円 ÷ 80% = 5,067.75円

イラストを2時間で仕上げるのって至難の業だと思うんだが、それが出来たとしても、これだけの販売価格が適正ってことになるよな。

このことを踏まえていけば、2,000円のイラストの仕事がいかに成立出来ていないかが分かるよな。

この「生み出す利益」と「原価構造」の2つを理解して行けば、値引きの誘惑に勝てるかも知れない。

なあ、あんたはどう思う?

コンテンツの販売価格の下落は止められないと思うかい?

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