否定することと理解すること
あんたは誰かを否定することってあるかい?
人間誰しも何かしらの否定をすることってあると思う。
その否定はもしかしたらあんたの正義に反するような行動をしている奴らに対してかもしれないし、あんたの道を塞ぐ奴らに対してかもしれない。
そりゃあ、あんたにとってそんな奴らは見たくもないような奴らなのかもしれない。
でもさ、その否定という表現は確実にあんたの生きる選択肢を狭めていると思うんだよね。
あ、これも否定か?
というよりは自分に対しての戒めのつもりね。
今回は誰かを否定する以外の選択肢について考えてみる回だ。
あんたも一緒に考えてみてくれるよな?
俺たちが誰かを否定するわけ
そもそも俺たちはなんで俺たち以外の誰かを否定するなんて面倒くさいことをするんだろう?
例えば、最近こんなことがあった。
そろそろ新人が配属になるってんで、その新人のトレーナーが指定される時期なんだが、とある人がトレーナーに指定された。
ところがその人は3年連続でトレーナーに指定されるような御仁で、そのモチベーションが保てないという理由で上司に断りを入れていた。
それに対して、俺は他の人よりもその人が新人を教えたほうがうまくいく気がしたので、新人が可哀想だとぽろりと言ってしまった。
そのときのその人のなんとも言えない表情が俺に向けられた。
その表情から俺が受け取ったのは、「面倒くささ」だった。
その人にとって見れば、自分がトレーナーをしないことによって新人がどうなるかってよりは、自分の人生においてトレーナーという役割をこなすことに意味を見いだせないことのほうが重要だったってことなんだろう。
その上で、その人生の選択を否定された時、人はその否定をする奴らを肯定するようには出来ていないってことだ。
そんなふうに否定は大抵は何も生み出さない。
それでも俺たちは何かを否定してしまう。なぜか?
なぜ俺は新人が可哀想だと言ったのだろう?
多分俺は全体最適ってことを念頭に話したんだと思う。
他の誰よりもその御仁がトレーナーをすることが意味のあることだと思ったからだ。
でも、その思いも熟慮をして言ったわけではなく、ただただ感覚的な物言いをしただけに過ぎなかった。
要するに俺は感じたことをストレートに言葉にしてしまったわけだ。
思ったことをそのまま言葉にするって選択をしてしまった。
このケースにおいては、多分俺のミスだ。
俺は深い考えもなく誰かを否定して、結果何も生み出せなかったんだからな。
こんなふうに、俺たちは俺たちの感覚ってやつに結構な割合で支配されている。そして、その感覚ってやつは意識しないと誰かを否定する方向に動いてしまうってことなのかもしれない。
否定のかわりに理解すること
そんなふうに誰かを否定するやり方は自分の世界観をどんどん縮めていってしまう。
まあ、そりゃあ否定された奴らにとっちゃ、否定する奴らってのは敵だからな。
わかりやすいところで行けば、従軍慰安婦問題で韓国の人々が度々色々日本に行ってくるのに対して、俺たちは「あん畜生め」くらいのことは思ってしまう。
で、その「あん畜生め」って思いを言葉にして表現する奴らも一定数居る。
でもさ、その表現の向こうにあるものは何なんだろうな。
韓国っていう国が日本って国とした約束を破っているのはそうかもしれないが、問題の本質はその問題の渦中にいる人たちがなぜその行動をしているのかってことにきちんと寄り添えている人がごく少数派だってことなんだよな。
従軍慰安婦問題に対して問題視している人は、なぜ問題だと感じているのか?
自分の家族が従軍慰安婦として過ごしていたからか?
従軍慰安婦ということそのものが自分のモラルに抵触するからか?
ただ「日本が嫌い」というポジションをとることで得られる何かがあるからか?
このネット社会にあって、実際に従軍慰安婦問題を問題視する人とダイレクトにコミュニケーションをとる方法はいくらでもある。
でも俺たちはその方法を取りはしない。
ただ、「韓国政府良くない」って思ってそのことを言葉にするだけだ。
でもそれじゃあ、いつまでたっても相手を理解することにはならないんだと思うんだよね。
自分が否定してしまう人の思いに寄り添ってこそ、はじめて理解が生まれるんだと思うんだよ。
従軍慰安婦問題のケースで行けば、「日本悪いよね」⇒「その時はみんなやってるでしょ」⇒「何だよ開き直るのか」⇒「わーった、きちんと賠償しよう」⇒「よーしそんなら許してやろう」⇒「うん、これで一件落着ね」⇒「って思ったけど、やっぱり悪いよね」⇒「おいこらなんだそりゃ」って流れだけれど、この最初の「日本悪いよね」に対して、相手の思惑ってやつをきちんと把握出来ていたら、やり方も少し変わってきたような気がするんだ。
なあ、あんたはどう思う?
俺たちは、俺たちが気に食わないものをどうやったら解釈できるんだろうな?
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