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サザエさんという地面

あんたはサザエさんを毎週見ていたりするかい?

我が家は妻のこだわりで毎週サザエさんをテレビで見ているんだけれど、俺自身は斜め見をしているだけな状況なんだよな。

斜め見をしていてノリスケさんが「おめーそれはダメなやつじゃんか」みたいなことをしていたりする。

家で待っている家族をほっといて、飲みに出かける。
しかも、仕事関係の人間関係じゃなくて親戚との飲みだ。
いや、それどうなのよ?
って思ったりするようなシーンもサザエさんでは描かれているよな。

今回はサザエさんという作品の意味について考えてみる回だ。

ちっと時代の変遷ってやつに目を向けてみようぜ。


サザエさんと言う昭和の象徴

実際んところだよ。
サザエさんほど、何一つ変わらない生活様式を貫いてるアニメって無いと思うんだよな。

でも、今現在の家族形態からすると磯野家の構成って実に特殊な気がしないか?

だってサザエさんは24歳。
次のカツオくんは11歳。
ワカメちゃんは9歳。

サザエさんとカツオくんが歳が離れすぎてないか?

これは実は時代の事情ってのがあったらしい。
なんだろうって?

戦争だ。

サザエさんが連載開始された当初、男性は軍に招集されて戦場に赴く必要があったって現実があった。

当時は医療技術もそれほど発展していなかったから、戦争が終わって戦地から帰ってきた男たちは、夫婦でどんどん子どもを作る必要があった。

文字通り命の危機を乗り越えて帰ってきたんだってのもあるだろう。

そんな事情でサザエさんとカツオくんの年齢は離れているってわけだ。
エグくね?

磯野家に見る昭和の風景

そんな時代背景そのままにサザエさんと言う物語は紡ぎ続けられている。

完全に時を止めたまま。

例えばテレビ。

今じゃ骨董品かってくらいに思える家具調テレビ。
微妙に液晶テレビにはなってるのかな?
ってかブラウン管のテレビとか今の20代のヒトは見たことすらないべ?
おお、じゃあ「チャンネル回して」って表現も聞いたときない感じか?
まあ、そりゃそうかもな。

例えばカツオくんの半ズボン。

あの短さの半ズボンってもうないよな。
スポーツ選手のケースではあるかもだけれど。

あれってなんでなんだろな?
子どもが転ぶたびにズボンが破れるってのが経済的に耐えきれなかったってことなんかね?

例えば三河屋さんの御用聞き。

今じゃ、専業主婦なんてのはレアだから、御用聞きなんて営業形式が成立しないんだよな。
あ、在宅勤務がメジャーになって来ている今なら成立するのか?
いや、普通にネットで注文するから意味ないか。

時代を超えて磯野家が求められる意味

いや、ぶっちゃけね。
現実として磯野家の有り様が求められているってのが現実だとは思うんだ。

だって、「サザエさん」と言う番組は成立し続けているんだから。

調べてみたら1969年からアニメ化してんだもんな。実に長寿番組だ。

なんで、俺たちはサザエさんを見続けているんだろう?

たぶんだけれど、「変化しないもの」を求めるってニーズが根っこにあるんだと思うんだよな。

今の世の中ってめっちゃ変化しまくってるじゃんか。
あまりにも変化しまくるから、今自分がどこに立っているのかが不安になるほどだ。

そんな状況の中で、テレビの向こう側にある磯野家は全く揺るがずにそこにある。

そうか。
サザエさんは地面ってことなんだな。

俺たちが今どこにいるのかを指し示す基準ってわけだ。

いくつになっても「ばっかもーん!!」と叱ってくれるナミヘイさん。
いくつになっても優しく諭してくれるフネさん。
いくつになっても工夫をしながらいたずら心を見せるカツオくん。
いくつになっても優しく兄を心配しているワカメちゃん。
いくつになっても無償の愛を一身に受けてにこやかに過ごすタラちゃん。
いくつになっても真っ直ぐな大人であり続けるマスオさん。

そして、いくつになっても天真爛漫であり続けるサザエさん。

日曜の夕方にその姿を眺めることで、月曜日からの自分の位置を再確認しているってわけだ。

なあ、あんたはどうだい?

あんたにとって地面になるような作品ってなんだい?

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