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キミは今、どこにいてこれからどこに向かう?・「新世界」を読む

ようこそ「新世界」の世界へ。

この記事はお笑いコンビキングコングの西野亮廣さんの著書「新世界」をその章立てごとに読み解くことで、より「新世界」という作品をあんたに楽しんでもらうための記事だ

今回は12回目。「キミは今、どこにいてこれからどこに向かう?」の章を読み解いていこう。
目次はこちらね。

「炎上商法」ってなんだっけ?

炎上商法ってよく聞く言葉だよな。

俺のざっくりとした言葉の理解で行けば、SNSで炎上(これもざっくりだが、ある発言に対して不満に思っている奴らがこぞって批判すること)をさせて、関連するサービスで儲けを出すって方法だよな。

基本的に炎上商法って、あんまり良い意味では使われていない。

でもですよ?新世界の中ではこんなふうに触れられている。

SNSで炎上すると、決まって「炎上商法だ~!」と騒ぐ輩が現れる。
ブログの場合は閲覧数に応じた広告収入が入るけど、Twitterの場合はどれだけ閲覧されようが1円にもならない。
出展:新世界

そうなんだよね。炎上するケースには収益になるケースとならないケースがある。

それを十把一絡げにして、「炎上ヨクナイ」ってのはちっとばかし思考停止ってやつなのかもしれないぜ?

まあ、日本という国が農耕民族で成り立っている経緯から考えると「炎上」ってのは無条件で「悪」ってされるのも無理も無い話だ。

なぜかって?
農耕民族ってのは「和」が基本にないと生活が成り立たないからだ。

農業っていうやつは、自然と向き合って戦い続ける仕事だ。
日照りもあれば、大雨や台風だってある。
1年かけてきた苦労が自然のせいでパーになることも普通にある。

だからこそ、農業に携わる人はお互いに助け合うことが必然なんだ。

その助け合わなければいけない状況において、「和」を乱すことがどういう意味を持つのか?
それは想像に難くないよな?

ただでさえ、自然っていう意味のわからない脅威と対峙していかなければならないのに、その対峙するための行動を「和」を見出して邪魔するやつがいたのではたまったもんじゃない。

そういう理由で俺たち日本人は「和」を乱すものを「悪」とみなしている。

そしてその「和」を乱すもの。それが「炎上」ってわけだ。

でも、そこでちっと考えてみないか?

「炎上」ってのは何を間違えたから起きたんだ?

例えば、江戸時代には「炎上」ってのがあったとしても、その範囲ってのはものすごく限定的だった。
せいぜいが村の範囲での「炎上」だったと想定されるよな。
まあ、その村の単位での「炎上」が命取りになるっていう意味では、より「和」を重んじないといけない状況があったとは思うけどね。

ところが、インターネットとその基盤に支えられたSNSが俺たちの生活に入り込んできた時点で「炎上」は問答無用でワールドワイドな範囲で起きることになってしまう。

そして、範囲が大きくなればなるほど、俺たちは「常識」ってやつに縛られることになる。

常識っていうのは、その世界で生きていくために必要な共通認識なわけだけれど、その共通認識が文化とか歴史とかをあっという間に飛び越えて、個人の「感覚」なんていう曖昧極まりないものによって成り立っているってのが今の現実だ。

そして、「炎上」はこの曖昧極まりないもの「常識」との乖離によって起きる。

そんなもの誰が想定出来るものかね?

炎上商法って商法があるとしても、それを狙って起こせる奴は、その得体の知れない「常識」ってやつを正確に捉えることが出来る天才ってことだよな。

そんな天才がいたとして、その天才が仕掛けた商法なら俺たち凡人はその行く末を見守るのが吉ってやつだよな。
でも実際にはそんな天才はほとんどいない。

あるのは「発信者の意見と「常識」が食い違った」って事実だけだ。

それってさ、そんなに攻め立てるようなもんか?

食い違ったんだったら、「常識」と「発信者の意見」のどっちが俺たちがより良くなれる可能性があるのかを冷静に考えたほうがいいよな?

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